2016年12月26日月曜日

Burning Spear “Jah Is Real”

“Step It”
“You Were Wrong”
“People In High Places”
“Wickedness”

2008年。トゥーツに続いてこちらもレゲエの大御所。ブーツィーは、バーニーと共に4曲にベースでクレジットされています。ですが、聴こえませんね。“Step It” の後半で聴けるベースとか、これかなとも思いますが、いかにもというベースは聴けず。

バーニーはレゲエ好きを公言していました。70年代にボブ・マーリィを聴いてトーキング・ヘッズやスライ&ロビーとからむ、その流れはよく判ります。

Toots and The Maytals “True Love”

“Funky Kingston”

2004年。レゲエの大御所、オリジネイター(おそらく)60歳代のアルバム。
往年のメイタルズを名乗っていますが、レゲエやロック、カントリーといった各方面からビッグネームなゲストを呼べるだけ呼んで、セルフカバーを中心に編んだお祝いのような一枚。
まさにグラミー賞狙いの企画ですが、主役のトゥーツが元気だから良いか。

トゥーツの喉も衰えを知らないですね。ブーツィーはジミをカバーする際と同じく、レゲエを代表するこの名曲を自分の十八番であるビートで調理、強力なボーカルと向き合っております。ドラムはクエストラブ。
親分を祭り上げるのは元々JB仕込みですし。もしも御大JBでこれと同じ企画が出来ていたら、とも想像してしまいます。


2016年12月25日日曜日

Fatboy Slim “Palookaville”

“The Joker”

2004年。英国のファットボーイ・スリム4枚めのアルバムにもブーツィー参加。ダンス一辺倒でなく落ち着きも聴かせるアルバムだという評を見かけましたが、オリジナルはスティーヴミラー・バンド73年のヒット曲というこのカバーも、完全に歌もの。
アルバムを締めくくるエンディングとなる重要ナンバーですが、ボーカルで勝負してその大役を果たしているブーツィーであります。

いくつかのリミックス版がありますが、元となるアルバム版と同じくボーカルを聴かせる形を崩していないものが、シングルCD盤にも含まれています。
The Joker (Justin Robertson Vocal Remix)
レゲエっぽさが増したこちら。ボーカルを抜いた Dub Remix もあるというのがまた英国らしいです。


Boy Meets Girl “New Dream”

“I Love This World”
“Mission”

2004年リリース。録音は90年ということで、2曲にドラム、ギターでクレジットされています。ボーイ・ミーツ・ガール、という名前通りにさわやかな男女のボーカル・デュオ、軽いビートの仕上がり。

“I Love This World” のファルセットでキュートにポップな歌は、どことなくプリンスをイメージさせるような、ちょっとGo-Goビートな曲。これの隠し味というか黒いエッセンスが欲しくてのブーツィー起用だったのでしょうか。
89年にはシンディ・ローパー Cindi Lauper のアルバムにも参加していたブーツィーですが、ここでは完全に裏方としてリズム・ギターを決めています。


Claude VonStroke “Bird Brain”

2009年。クロード・ヴォンストロークの1曲に参加。パズルチックなハウス・ビートの上にボーカルがサンプリングされて乗っけられています。とぼけた味わいの展開がクセになりそうな。

The Greasy Beat (Tech - Funk Mix) というバージョンが収められているのが “Fabric 46”。これは缶仕様のパッケージのCD。ブーツィーとは同郷のオハイオ出身の方のようですね。


2016年12月3日土曜日

Brian Culbertson “Bringing Back The Funk”

“Funkin’ Like My Father”

2008年。ブライアン・カルバートソンはスムーズ・ジャズで稼いでいる人のようですが、この方もファンクがお好きなんですね。アルバム名や曲名にも表れていますが、“Up For The Down Stroke” を下敷きに、Pファンクな要素をちりばめたこの曲を共作、弾けています。

クレジットによれば、ブーツィーのスタジオまで行って、ブーツィーのボーカル、スペース・ベースに、キャットフィッシュとバーニー、そしてホーニーホーンズの4名(Fred Wesley、Maceo Parker、Rick Gardner、Richard "Kush" Griffith)までゲストに招いています。

他の曲でもゲストにラリー・グラハムの名前なども見えて、70年代のファンクを再現する人力バンド・サウンドですね。ノリ良く攻めてナツメロ以上のアルバムです。

とはいえ、ヒップホップ育ちの世代に向けて人力バンドのファンクを聴かせる、というよりはもう少し上の世代を狙ったもののようです。アルバムのプロデュースにはモーリス・ホワイトの名前あり。


2016年12月2日金曜日

Tony Ozier & The Doo Doo Funk All-stars “Keep The Funk Alive”

“Keep The Funk Alive”

2010年。ソロ作もいくつか発表しているTony Ozierなる人物が、なにやら大世帯のファンク・バンドと組んで発表したアルバム。70年代のファンクにオマージュを捧げるという人力サウンドで、ブーツィーのゲストは一曲。ノリ良くベースが走る上で歌っています。

ナツメロという以上に元気が良く、大好きなのも分かりますが、ローカルの好き者という以上の何かがあるのかどうか。ストリートとかゲットー、みたいな匂いよりもマニアっぽさを受ける印象ですが。


2016年11月28日月曜日

Honest - Music From And Inspired By The Film

“You’re All I Need to Get By” Natalie Appleton and Bootsy Collins

2000年。ユーリズミックス(Eurythmics)で知られるデイヴ・スチュワート(Dave Stewart)の監督した映画のサントラ。

テンプテーションズ、マーヴィン・ゲイ、シュープリームスといったモータウンのナンバーをメインに収録。
本家本元のマーヴィンとタミー・テレルのオリジナル版に続いて、ブーツィー版が始まる。
(なぜか両者トラック分けされていないのは、単なる不良品? 知らずに聴いた単なるモータウンのファンを驚かすため?)

主演のNatalie Appletonとのデュエットでありますが、出だしは普通の歌ものかと思わせて一転、後半はファンクに。スペース・ベースがベベンで、ぐっと重心が下がってブーツィーのノリに。

Lara Croft: Tomb Raider (Music From The Motion Picture)

“Illuminati” Fatboy Slim featuring Bootsy Collins

2001年。ファットボーイ・スリム(Fatboy Slim)とのつきあいは、このヒット映画のサントラでも。
曲調はますます派手めに。まあ聴くというナンバーではないけども。

この後にまた、ブーツィーのアルバム “Play With Bootsy”(2002年)にファットボーイ・スリムが参加。

2016年11月27日日曜日

Fatboy Slim “Halfway Between The Gutters And The Stars”

“Weapon Of Choice”

2000年。スパイク・ジョーンズ監督のPVが傑作と名高い一曲。確かにブーツィーのボーカルも含めて音だけで座って聴く、という曲ではないし、映像向けなのでしょうか。


2016年11月26日土曜日

Play With Bootsy -A Tribute To The Funk

2002年、ブーツィーのソロ・アルバム。曲毎に複数のプロデューサーと組みながら、多彩なゲストを招いて、それぞれとコラボを試みている一枚です。

トラック・メーカーとしてラッパーやボーカルを立てつつ、レゲエっぽかったりと、パーカッシブなナンバーが多く。
“All Star Funk” やジョージ・クリントン親分の参加した “Funky And You Know It” など、カッコ良いですね。
シングルになった “Play With Bootsy” は、“Body Slam!” タイプのすっきり、キャッチーな曲。ここではオーソドックスに、円熟のベース・ラインを聴かせたりしていますが。

全体には、地味めの曲が多い印象でしょうか。
ロック寄りの尖がった方面がなかったり、スペース・ベースの轟音も聴かれなかったり。
多彩なゲストといっても、ブーツィー自身が多方に出かけて参加している数の方が、もうはるかに多いという事実もあるし。

ある海外サイトの情報によると、プレリリース版には “Pressin’ On” “Rhythm Is Life” の2曲が含まれていたそう。1曲は日本盤にボーナスとして収録、もう1曲も検索すれば聴ける。


2016年11月23日水曜日

Bootsy’s New Rubber Band “Blasters Of The Univers”

1993年。“What’s Bootsy Doin’?” (1988) 以来となるブーツィー、オリジナルのフル・アルバム。

この90年代始めといえば、ブーツィーがゲスト参加した新作がさまざまにリリースされて、一方でパーラメントやファンカデリックといったPファンク往年の代表作もCD化されては、次々と輸入盤屋に投入されていました。
ファンには新作も旧作も両方が楽しめるという、実に幸せな時期、Pファンク・ブームの真っ只中でありました。

そこに2枚組みというボリュームで登場したこのアルバム、時流に乗った派手めの内容とは少々異なって、地味めに真面目にファンクを聴かせてくれます。
地味めにというのは、異物感たっぷりのスペース・ベースがバキバキに鳴らされ、轟音がバリバリに轟くという電化宇宙のブラスター・サウンドではないのですね。その辺りは抑えめです。
ちょっとアルバム・タイトルが強すぎですか。タイトルといえば、バンド名義ですし。

参加メンバーを見ると録音時期も幅広いようで、録り貯めてあった素材も使ったと思われる構成です。
2枚組の内、一枚はリミックス集となっていますが、ボーカルを抜いて、ベースやバーニーのシンセのプレイがじっくり聴けるという仕掛け。“What’s Bootsy Doin’?” のような加工された音ではなく、その逆に素材の良さを浮き彫りにしようというような。ブーツィーの繊細なまでの音の組み立てぶりが楽しめます。
シンプルな飽きのこない魅力を、できるだけ音量を上げて聴きたいですね。


2016年11月11日金曜日

Zillatron “Lord Of The Harvest”

1993年。前年のプラクシスとサードアイ、バーニーのソロ作(93年)といった諸作に続いての、ビル・ラズウェル(Bill Laswell)がらみの一枚。

ブーツィーが主役的に立っていますが、バケットヘッド(Buckethead)のギター、バーニー(Bernie Worrell)の鍵盤という組み合わせによるサウンド。
エキサイトメントがテーマだと当時のインタビューに発言があったと記憶していますが、打ち込みのビートに炸裂するスペース・ベースと、気持ちよくたたみかけてきます。

これはロック好きの方面にも積極的なアピールになったでしょうか。逆にダンサブルを求めるファンク・ファンには、拒絶反応がでるだろうなという曲もあり。
正直、アルバムの半分がたを占めているのが、バケットヘッドとビルの色が強すぎると思われる曲・遊び。個人的には、それよりここはバーニーの出番じゃないかと。異次元な鍵盤ソロからスペース・ベースとの一対一の対決とか。あるいは凶暴・凶悪な、とぐろを巻くような破壊的轟音のベース・ソロとか。

2003年には、ビル・ラズウェルのレーベルから安いデザインで再リリース。リミックス版というものの、大きくいじられた音ではなく。

2016年11月6日日曜日

Buckethead “Giant Robot”

“Welcome To Bucketheadland”
“Buckethead’s Toy Store”
“Want Some Slaw?”
“Aquabot”
“Binge And Grab (Instrumental Version)”

1994年。バケットヘッドの2作目は、デビュー作 “Buckethead Land” をメジャーにて作り直したようなアルバム。プロデュースはビル・ラズウェル(Bill Laswell)に。

メジャー向けにメリハリはつけてありますが、やっぱりマニア向けのロック・アルバムなのは変わらないか。シンプルな編成で聴かせる点も変わらず。全19曲中、5曲にブーツィーのベース、そしてジェローム・ブレイリー(Jerome “Bigfoot” Brailey)の人力ドラムで、さすがに演奏は強力版にアップグレードしてます。

ブーツィー目当てには8分近い “Buckethead’s Toy Store” が聴きどころ。ブーツィーのスペース・ベースによるフレーズがさまざまに聴けます。


Buckethead “Buckethead Land”

1992年。バケットヘッドのデビュー作、2枚組。
打ち込みのドラムにギターが基本というシンプル極まりない音で、ブーツィーのスタジオで夜な夜な録音したようなホームメイド感あり。これはマニア向け。曲もあれば音のスケッチみたいな断片もあって、現在ならネットでタダで配布しても疑問に思わないかも。

ビル・ラズウェル Bill Laswell はプラクシス Praxis のアルバム “Transmutation (Mutatis Mutandis)” を作成する際に、このような素材をイジッたのかもしれない。

スペース・ベースもところどころで聞こえますが、ブーツィー目当てであれば、ブーツィーによるリミックス盤という2枚目でしょうか。ビートが強調された数曲が納められています。

しかしブーツィーとバケットヘッドはウマが合うというのか、この後もずっとつきあいが続くことに。これは予想外でした。


Axiom Funk “Funkcronomicon“

1995年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)企画によるレーベル Axiom からファンク系の曲を集めたCD2枚組のコンピ盤。
マテリアル Material とかプラクシス Praxis から再録された曲と初出の新曲が並んでいますが、ほぼPファンクがらみのプレイヤーが参加した曲ばかり。ビル・ラズウェルによるPファンク再構築の総決算アルバムでしょうか。ビルが何ゆえにそこまでPファンクに入れ込んだのかは定かではありませんが。

90年代前半は、ヒップホップが黄金期を迎えようとし、つられてファンクもジャズもと、とにかく黒くてカッコ良いビートが世の中にあふれていた頃です。
この総決算アルバムのタイトルを見ると、あの「虚空に暗黒の光芒を放つ巨星」といわれる(創元推理文庫より)ラヴクラフトの創出した「ネクロノミコン」が浮かんできます。「ネクロノミコン」とは、死者の掟の現れを書きつづったものでした。
遊びのタイトルではありますが、Pファンクを古代の死者、亡霊として認識していたのは間違いのないところ。

ブーツィーのからんだ新曲としては、ジミのカバー “If 6 Was 9” が収められています。暗い沈みこむようなビートに、スペース・ベースがからみついていきます。
翌1996年のAxiomからのアルバムには、これのリミックスが2つ収録。

Axiom “Altered Beats: Assassin Knowledges of the Remanipulated”
If 9 Was 6 (Prince Paul Instrumental Mix)
If 666 Was ’96 (DXT Mix)

さらにさらに深く沈みこむムードになっております。完全に別の場所のもので、ブーツィー版の残響すらあるかないか。


2016年11月5日土曜日

Praxis “Transmutation (Mutatis Mutandis)”

1992年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)企画によるバンド。
スリーブには、実際にメンバー一同が集合し、リラックスした様子の写真が掲載。これはスタジオの一角でしょうか、きっと演奏の方も息の合った楽しいものだったのだろうと想像できる雰囲気です。

Bootsy Collins - space bass, vocals
Buckethead - guitar, toys
Bryan “Brain” Mantia - drums
Bernie Worrell - synthesizer, clavinet & vital organ
AF Next Man Flip (Lord of the Paradox) also known as Afrika Baby Bam of the Jungle Brothers - turntable, mixer
Conceived and constructed by Bill Laswell

5名の皆がそれぞれ活躍を見せるセッションを存分に録音し、最終的に仕上げたのはビル・ラズウェルでしょうか。練習、実践というバンド名にして、その担当が、想像に組み立て、だそう。(ビル以外のメンバーのクレジットはそのままで、そっけない。)

くるくると曲調が変化していく展開で、ブーツィーとバーニーが生みだすコンビネーションもきちんと収められています。
エンディングに配置された16分を超える “After Shock (Chaos Never Died)” では、バーニーのストレンジなソロ演奏も聴けます。ここでのバケットヘッドとのやり取りは、その後のバーニーのソロ作品にも引き継がれていくことに。

ビル・ラズウェルがらみの諸作の中でも、このアルバムは繰り返し聴けますね。カオスは眠らない、とか突然変異とか。こういった言葉からは、あのバタフライ効果の寓話(ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?)を連想させられます。


2016年11月3日木曜日

Stevie Salas “Anthology of Stevie Salas Colorcode 1987-1994”

1996年にリリースされた、スティーヴィー・サラスのCD2枚組みベスト盤。
これにサードアイに関わる未発表の2曲が収録されています。

“Shake It -1991”
Original Demo Version from the album “Hardware/Third Eye” session

“Any Noise -1991”
unused demo song for the album “Hardware/Third Eye”

スティーヴィーとブーツィーの二人に、バックボーカルでゲイリー・マッドボーン・クーパー(Gary “Mudbone” Cooper)が加わった3人で制作されたデモ版、
Recorded at Bootsy’s Big Ass Funky Ranch House Studio, Cincinnati, Ohio
と記されています。

このような曲が出てきますと、アルバム制作は、もしかするとスティーヴィーとブーツィーの二人が先行して進めていたのかな、などと勝手ながら妄想してしまいます。
というのも、ジミのイメージもあってバディのドラムをセットした企画や人選は理解できるのですが、一方で、必ずしもバディでなくても、Pファンクには良いドラマーがいるしなとも考えるわけで。
さらに言えば、実際スティーヴィーとブーツィーの二人で事足りるわけで。ドラムじゃなくて、バーニーの鍵盤ではだめなの?とか。


2016年11月2日水曜日

Third Eye “Hardware”

1992年。スティーヴィー・サラス(Stevie Salas)、バディ・マイルス(Buddy Miles)、ブーツィーのトリオ編成。プロデューサー、ビル・ラズウェル(Bill Laswell)がらみの企画。

 カッコ良いリフだらけで、ストレートに攻めてくるロックな一枚です。
ボーカルをスティーヴィーとバディがほぼ占めており、キャラとしてこの二人が前に出てくるのも分かりやすく。とはいえ、聴きたいのはやっぱりブーツィーの部分。

ボーカルが引っ込んだインスト部分に聴こえてくるスペース・ベースが、やっぱり不気味です。この黒いノイズ、ロック・ファンには異物じゃないでしょうか。いってみればトリオのダークな部分。

どうでもいいようなバラード曲は外して、このダークな部分をもっと入れてよと思いますが。バンド・オブ・ジプシーズでいえば、“Machine Gun” のような。


2016年11月1日火曜日

Material “The Third Power”

“Playin’ With Fire”
“Cosmic Slop”
“Power Of Soul (Black Chant)”
“Glory”

1991年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)企画によるレーベル Axiomから、マテリアル名義で出されたアルバム。
全8曲中、クレジットにブーツィーの名前があるのは上記の4曲。ファンカデリックのカバーやジミに関わる曲もあり、バーニーにゲイリー・シャイダー(Gary Shider)、マイケル・ハンプトン(Michael Hampton)らも参加。

といっても、このアルバムのキモになるのはスライ&ロビー(Sly & Robbie)。全曲のボトムを担当して、ブーツィーのギターやバーニーの鍵盤があろうと、独自のノリになっています。
スライ&ロビーがこれまでビルとやったアルバム “Language Barrier”(1985年)、“Rhythm Killers”(1987年)のまとめともいえる一枚でしょうか。レゲエな曲が登場するとやっぱり安心します。


2016年10月29日土曜日

Third Rail “South Delta Space Age”

1995年。バーニーがメンバーとして参加したこのアルバム、顔ぶれの組み合わせが素晴らしい。主役はジェームス・ブラッド・ウルマー(James Blood Ulmer)。ドラムにジガブー・モデリスト(Joseph “Zigaboo” Modeliste)。鍵盤にバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)とアミナ・クローディン・マイヤーズ(Amina Claudine Myers)。

このメンツにこのバンド名、このアルバム・タイトル。とにかく期待度がすごい。この盛り上がりだけで充分楽しめます。

プロデュースが、J.B.ウルマーとビル・ラズウェル(Bill Laswell)。
ビル・ラズウェルはとにかく夢の企画を現実にしちゃいますが、大事な夢だからこそ大切に育てるよりもスピード重視なんでしょう。バーニーはそれに応えられるのでしょうね。
ウルマーもビルのベースも、ファンクな疾走感が気持ち良く。個々のプレイは黄金級です。
アートワークが横尾忠則とのことですが、これはもう少しライトな感じの方が内容に合っているような。

2016年10月25日火曜日

Baby Elephant “Turn My Teeth Up!”

2007年。バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)とプリンス・ポール(Prince Paul)のコンビ。ここにもPファンクへのオマージュが詰まっています。

ジョージ・クリントン、ショックG、イエローマン、ノナ・ヘンドリックス、デビッド・バーンなどなど、ゲストも多彩。ジャンル的にファンクとかヒップホップとかひとつに指定しづらい音ですが、主役であるバーニーのサウンドがきちんとアルバムにまとめられて聴き応えあり。
もう少し派手というか、ハッタリをかましても良かったのかもしれませんが、じっくり鍵盤プレイが楽しめます。指定しづらい音こそ、つまりPファンクの音でした。

でもとにかくバーニーには、ブーツィーとの連名共作アルバムを一枚、形にしておいて欲しかったですね。

Bernie Worrell “Improvisczario”

2007年。妙なアルバム・タイトルですが、improvisation? 即興、アドリブ、悪く言えば即席、インスタント。バーニーを中心とした、シンプルなバンド編成によるジャム演奏が楽しめます。
印象としては、若手のロック野郎たちがバーニー大兄を担いでPファンクへの愛を表現したもの、でしょうか。

各曲盛り上がりはありますが、ちょっと型通り? まだまだラフな仕上がりという段階ではありますが、それは承知の上でのこのアルバム・タイトルなのでしょう。バーニーの鍵盤からは、くるくるとファンカデリックやパーラメントの曲のフレーズやらも飛び出します。独壇場をお気軽に楽しむとしましょう。

バーニーには、ブーツィーとの連名共作アルバムを形にして欲しかったですね。

2016年10月24日月曜日

moog - original film soundtrack

“When Bernie Speaks” Bernie Worrell and Bootsy Collins

2004年。moog生誕50周年を記念したドキュメンタリー映像作品『moog』のサントラ。
実はCD2枚組で、オマケとして7曲入りボーナスディスクが付いています。
そちらは、EL&P、YESとかDEVOとか聞いたことがあるような名前の方々ばかり。ところが本編の方が聞いたこともない面々で、マニアなら分かる? その中にバーニーとブーツィーのコンビが混じっています。

バーニーが喋るよ、という曲名ですが(インタビューに応じて語るわけではなく)もちろんシンセをプレイすること。バーニーが操り弾き倒す演奏はおなじみのワザが惜しみなく、くるくると展開していく、ブーツィーも歌うように喋る喋る。カッコ良いです。

バーニー主体の演奏は、ブーツィーと渾然一体となった最強コンビぶりを聴かせてくれます。このコンビは結成何十周年だろうか?

2016年10月23日日曜日

Victor Wooten “Soul Circus”

“Victa”

2005年。ヴィクター・ウッテン、またブーツィーをゲストに。なかなか3回めというのはないと思うけど。ブーツィーはボーカルのみ。

さてヴィクター、もう少し普通に名前が広く知られるといいですね。日本盤の宣伝コピーにある「ベース・ウィザード」はカッコ良いし、その通りだけど。なかなかジャコのようにはいかない。

ところでブーツィー、2000年代のアルバムには(ヴィクターを含めて)多くのジャズ・プレイヤーを招いてはソロ・パートを用意しておりますが、自分がベースを弾くのが控えめになっていく一方で、腕が自慢のジャズ屋に弾かせては、そりゃあ尚更差がつくというものでしょ。ただテクを披露するだけの、あまり意味のあるプレイとも思えないし。
そしてヴィクター、このアルバムではまた多くのファンクなベース・プレイヤー達にトリビュートを捧げています。そのやり方というのがまた素晴らしくて。魔術師です。

Victor Wooten “Yin-Yang”

“What Crime Is It?”

1999年。ヴィクター・ウッテンのソロ3作め。両者初顔合わせとなるこの一曲、ブーツィーはボーカルのみ。さりげなく良い曲。他にもしなやかなファンクが楽しめます。
だけどアルバムのCD2枚組は、ブーツィー目当ての者にはちょっと長い部分も。

2016年10月22日土曜日

Victor Wooten “Live In America”

“Are You Ready Baby?”

2001年。ヴィクター・ウッテンもよく分からない人かな。ジャズ、フュージョン畑ではすでに最高ランクの評価を得ているベース・マスター。そういう人がファンク・マスターにも憧れて、ストレートなダンス曲を発表することはよくあることですが。

このライブ盤でも予想以上にお客を盛りあげるファンク野郎ぶりが聴けます。J.B御大からスライにプリンス、ジミからブラック・サバスまで登場させて、逆にジャズ・ファンからはやり過ぎに思われるくらいの芸人根性です。

そしてCD2枚組のボリュームで、それなりに集大成となるだろうアルバムのトップの曲が、ギター、ベース、ボーカルとブーツィーが担当。スタジオ録音のこの曲に導かれるまま、ライブが始まるという展開。
言ってみればステージの呼びこみ役を完全にお任せした状態なわけですが、これがまたあの “Ahh...The Name Is Bootsy, Baby!” を再現するような曲で。

どうしてもこの形にしたかったのでしょうね。ジャズ・ファンにも、ブーツィー好きのファンクのファンにも挑んでいるということでしょうか。
ヴィクター自身の曲はすっきりと、あくまで上品。聴衆であるお客さんもおそらく、踊るというより聴きにきた、という皆さんでしょうか。


2016年10月17日月曜日

Richard ‘Kush’ Griffith “Kush: Blues & Rhythm. Volume 1: Back in the fray”

“The Last Soulman In The Hood”
“That was Then, This Is Now”
“A Little Bit Of Money And A Whole Lotta Booty”
“How Do You Like Me Now?”
“Captain P’s Love Blues”

2002年。長いつきあいとなるリチャード・クッシュ・グリフィスのソロ・アルバム。ブーツィーのスタジオでほぼ録音したようで、ブーツィーはボーカルにドラムとかギターも担当。ギターは他にキャットフィッシュ(Phelps “Catfish” Collins)とゲイリー・シャイダー(Garry Shider)も。鍵盤にレザーシャープ(Joel “Razor Sharpe” Johnson)、そしてフレッドとメイシオ(Fred Wesley,Maceo Parker)はもちろん。

上記の5曲には直接、ブーツィーの名前がクレジットされていますが、アルバム制作をかなりサポートしたようです。続編はまだの模様ですね。


Fred Wesley “Full Circle From Be Bop To Hip Hop”

“Chocolate Soup”
“Funk School Hymn”
“Funk School”
“Like This, Like That”

1998年。フレッド・ウェズリーのこのアルバム、「ビバップからヒップホップへ」というタイトルは、まさにJBズの音楽を指したものといえます。

JBズは御大J.Bを支えたのはもちろん、ヒップホップ畑にも大量にネタという恩恵を与えてくれました。文字通りにズタズタに切り取られて使い回しされましたが、とにかく大きな存在であります。

このアルバムに手をかしたブーツィーは副プロデュースとしてもクレジット。“Chocolate Soup” の作曲にも名前があり、ギター、トラック作成を担当したこの曲をはじめ、とにかく気持ちが良いインストが並んでいます。
ちなみにインナーに記載された簡単な曲紹介のコメントにあるのは、
“this is a smooth and funky reunion wesley’s horns and bootsy’s space bass”

日本盤は97年のブーツィー “FRESH OUTTA 'P' UNIVERSITY” と同じ時期に発売。

The J.B.’s Reunion “Bring The Funk On Down”

“Up On 45 (Part 1)”
“Mistakes And All”

1999年。JBズのリユニオンという触れ込みですが、JBズ関連のCDというのがまた様々にあって。サックスのセント・クレア・ピンクニー(St. Clair Pinckney)追悼盤でもあるこのアルバムは、クライド・スタブルフィールド(Clyde Stubblefield)と、ジョン・ジャボ・スタークス(John “Jabo” Starks)の黄金ドラマー二人の参加がキモでしょうか。

ブーツィーのからんだ “Up On 45 (Part 1)” は “Doing It To Death” 風のリズム・パターン。“Mistakes And All” もカッコ良いとしかいえないドラムで聴かせます。“Mistakes And All” はボーナス扱いとなっていますが、これは1990年の MACEO “For All The King's Men” でのメイシオのプレイでしょうか。ボトムを差し替えたリミックスみたいなものでしょうか、とにかくカッコ良いですね。

2016年10月16日日曜日

Bootsy’s Rubber Band “Jungle Base”

1990年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)とブーツィーのプロデュース、2曲4トラック入りのミニ・アルバム。MACEO “For All The King’s Men” とは兄弟みたいな関係で、演奏メンバーや制作スタッフのクレジットも一部重複、日本盤は同じ時期に発売でした。

こちらはラバーバンドの名前を復活させて、ホーニーホーンズの4名(Fred Wesley、Maceo Parker、Rick Gardner、Richard “Kush” Griffith)、バーニー(Bernie Worrell)にゲイリー・マッドボーン・クーパー(Gary “Mudbone” Cooper)も。

当時のアシッド・ハウスのサウンドに乗せて、Pファンク・ネタがくるくると展開されます。“For All The King’s Men” と比べてもっと新しい層へのアピールでしょうか。昔のネタをいじるという、やっている事は同じですが。
曲の要所でホーン隊一丸となったフレーズがびしっとキメてくるのは、復活させたラバーバンドの名前にふさわしいですね。

MACEO “For All The King’s Men”

1990年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)とブーツィーのプロデュース、3曲5トラック入りのミニ・アルバム。 J.B御大の “Sex Machine”、“Soul Power” をモチーフにした再演版2曲がメイン。
当時、塀の中に収監中だったJ.B御大を出してやれよ、てな内容で。ブーツィーの打ち込みトラックに乗って、メンバーにバリバリに吹いてもらおうという企画。

メイシオの名前が立っていますが、フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)もいますし、ボビー・バード(Bobby Bird)のボーカルも目立っています。こっそりとあのスライまで鍵盤を弾いていますし。
各人がアレンジの中に収められた感があり、メイシオのブロウを聴くということでは “Roots Revisited” に軍配があがるかな。
やっぱり主役は実はブーツィーのサウンドですか。“Sax Machine” にはバーニーも参加。


2016年10月15日土曜日

Maceo Parker “Roots Revisited”

“In Time”

1990年。メイシオのルーツ再訪。ということでレイ・チャールズやカーティス、チャーリー・パーカーやミンガスをカバーしたアルバム。ジャズとも違うし、もちろんファンクではないし。ソウル・ジャズ、ジャズ・ファンク? とにかく、メイシオのブロウにナツメロな響きは皆無です。

ピーウィー(Pee Wee Ellis)やフレッド(Fred Wesley)のJBズ組も参加。そんなアルバムのラストに収められたオマケがスライのカバー曲、ここにブーツィー登場。スペース・ベース、ギターをキメてきます。ドラムもサックスもライブ感たっぷりの仕上がりでドライブします。

本編はオルガンがベースラインを担当するサウンドなので、全体からは少し浮いた存在ですが、ファンク目当てで聴いた人はこれで満足、最後に落ち着く一曲です。それはそれとして、このアルバムを聴いてオリジナルのミンガスまで聴いてみた、みたいな人が増えたなら良いですね。


2016年10月2日日曜日

Bernie Worrell “Blacktronic Science”

“Flex”
“Time Was”
“Dissinfordollars”
“The Vision”
“Won't Go Away”

1993年。バーニー3作目のソロ作は、共同プロデュースとして大きくビル・ラズウェル(Bill Laswell)がからんで、前作よりもPファンク色が強い方向に。
ジャケットのイラストもそれっぽく。
ジョージ・クリントン親分を始めとして、ブーツィーも全9曲中の5曲にも参加して脇を固めています。

“Time Was” はかの “Aquq Boogie” をモチーフにした再演版。元曲にあるあの印象的なフレーズやリフを取り入れて、カッコ良い曲になっています。
ただ、同じことをDJの連中がサンプリングしてやっていたら、もっと理屈抜きにダンスフロアを踊らせるはず、などとも考えてしまいますが。
やっぱりヒップホップとの勢いの違いを感じてしまうのでしょうか。

そこのところで、ミュージシャンとしてきっちり聴かせようと狙ったと思われるのが、トニー・ウィリアムス(Tony Williams)、メイシオ・パーカー(Meceo Parker)の3人だけでやったジャズな2曲。確かにこのベテランならではの人力なセッションは、DJの連中や機械仕掛けには、ちょっとやれないできない音楽であります。

Pファンクからクラッシックにロックにレゲエにジャズ、そして宇宙との交信も行う、この鍵盤使いのマジカルな世界を、黒いサイエンスと名づけた狙いはとってもよく判ります。
そんな幅広いバーニーの魅力を、タイトル通りに上手いことパッケージするには、CD一枚では容量不足でしょうか。
ビル・ラズウェルがさらに何枚かこのタイトルで続編を続けていれば。それこそ、ビルがトライしたPファンクの解体や再構築の答えにもなっていたかも、と思ったりも。とりあえずのスケッチとしてこのアルバムを聴くとしましょう。

Bernie Worrell “Funk Of Ages”

“Funk-A-Hall Licks”
“Ain't She Sweet”

1990年。“All The Woo In The World” (1978) から12年振りのソロ。その間に拡がった各方面の人脈からゲストを招いて、にぎやかに展開した各曲。ブーツィーはこのアルバムでは2曲に参加。

“Funk-A-Hall Licks” では、トラブル・ファンクの録音の際にやったスティーヴ・ジョーダンをドラムに、ベースがブーツィー、そこにキース・リチャーズのロックなギターが斬り込んできたり。
“Ain’t She Sweet” では、ブーツィーの打ち込みドラムに、ビル・ラズウェルつながりのハービー・ハンコックが参加したり。

アルバムの聴きどころは、他にもトーキング・ヘッズ組やヴァーノン・リードの参加など各所に。参加した皆からミュージシャン・シップを感じます。

2016年9月30日金曜日

Gospel Gangstaz “The Exodus”

“Gangstaz Don’t Dance”

2002年。ゴスペルとギャングスタというその名前にまず興味を引かれますが、Gファンクなスタイルを聴かせながら、クリスチャン・ラップのグループであるんですね。コンシャスな内容をラップしているようですが、ジャケの絵柄を見るとこれが Ball And Chain で。
このグループの立ち位置とかメッセージとか、あるいはマーケティングとか、西海岸の風土背景とか、ちょっと感覚的にわかりませんが。

曲は昔の曲をモチーフにしたものでなく、新録新曲のトラックです。ライムの内容よりも、ついブーツィーとバックトラックばかりに耳がいってしまいますね。


Triple Beam “Conspiracy”

“Playa’s Instinct”

2000年。カリフォルニアはサクラメントのヒップホップ/ラップ系レーベル、Black Market Record からリリース。ジャケットのデザインやCD盤の作りなどは雑、メジャー感ゼロ。(トリプル・ビームという名前も安易、というのは言い過ぎか。)

曲はこれも “Hollywood Squares” をモチーフに、テンポとかアレンジとか絶妙に変えて聴かせてくれます。ブーツィーはボーカルのみ? 実に気持ちいいこのトラックの制作にはどれくらいまで関わっているのでしょうか。
しかし “Hollywood Squares” はネタとして人気あります。


2016年9月27日火曜日

Big Daddy Kane “Daddy’s Home”

“W.G.O.N.R.S.”

1994年。誰もが知っているマーヴィン・ゲイのあの曲をモチーフにした導入部に続いて、ベースラインが走っていきます。ですがブーツィーだよね、というくらい無記名な感じ。
クレジットはあるのでブーツィーなのは間違いはないでしょうけど。

Da Lench Mob “Planet of da Apes”

“Mellow Madness”

1994年。ダ・レンチ・モブもアイス・キューブ一派。ベースにブーツィー、ギターとキーボードでディーディー・ジェームス(Dee “Dirty Mugg” James)も参加したこのナンバーは、ブーツィーの “Hollywood Squares” を下敷きにしたリフを転がしていきます。
プロデューサーはもちろんアイス・キューブ。

2016年9月26日月曜日

H-Bomb “Narcissism”

“On Tha Job Training”
“Red Light Districk”

1997年。“On Tha Job Training” にはブーツィー、キャットフィッシュ(Phelps “Catfish” Collins)、そしてゴッドモマ(God Moma)、レザー・シャープ(Joel “Razor Sharp” Johnson)も。
これはブーツィーのアルバム “Ultra Wave” から “F-Encounter” をヒップホップ版で再演。これをやるか、という渋いセレクト。

“Red Light Districk” はブーツィーに、キャットフィッシュ、そしてオハイオ・プレイヤーズのシュガーフット(Leroy “Sugarfoot” Bonner)、ザップのロジャー(Roger Troutman)も。
ブーツィーと同郷であるオハイオの親分衆が一同に会した1曲ですが、ブーツィー好きはやっぱり “On Tha Job Training” の方に興味がいってしまいますね。
このアルバム、正規盤に先行してブートらしい盤 “In Your Face” が輸入盤にありました。


Dru Down featuring Bootsy Collins “Baby Bubba”

1996年。ドゥルー・ダウンのアルバム “Can You Feel Me” から、12インチになった “Baby Bubba” のプロモ盤CD。
ブーツィーはボーカルのみ。(この曲のビデオにも登場しますが。)
CDになったのはプロモ盤のみで、またアルバムの方にはブーツィーは入っていないので注意。


2016年9月19日月曜日

State Of Art “Community”

“Know Who You Are”

1991年。元シック(Chic)のボーカル担当でソロ・アルバムも発表しているノーマ・ジーン(Norma Jean Wright)と、やはりシックを始め様々なミュージシャンと共演しているキーボード担当のレイモンド・ジョーンズ(Raymond Jones)の二人が組んだのが、ステート・オブ・アート。

ブーツィーの参加は1曲のみ。“Know Who You Are” はPファンクな曲調ですが、ベースのプレイは半歩ほど下がった、あくまでボーカルをフロントに立てたもの。曲が進むにつれて、スペース・ベースのフレーズがすっと食いこんでくるのがカッコ良し。ジャズっぽさも増す終盤、ブーツィーはそれ以上出てこないまま終わってしまいますが。

大音量で聴きたくなるカッコ良い曲なだけに、ベースがソロを取るようなロング・バージョンでもあれば、うれしいところですが。
ブーツィーとは別に、“I Like” にはバーニー・ウォーレルも参加。またドラムのゲストに、William “JuJu” House が呼ばれた曲も有り。

アルバムが発表されたレーベル(40 Acres and a Mule Musicworks)は、映画監督のスパイク・リーが創設。ユッスー・ンドゥールとか関連のサントラも出している。レーベル名の「40エーカーとラバ1頭」についてウィキペディアで読むとおもしろい。パーラメントの “Chocolate City” の歌詞にもこれは引用されているという話しです。


2016年9月15日木曜日

Menace “Doghouse”

“Doghouse”
“Give It Up”

1989年。メナースのデビュー・アルバム。プロデュース(ベースも)はビル・ラズウェル(Bill Laswell)。
ブーツィーということでは、上記の2曲でしょうか。バーニー(Bernie Worrell)にメイシオ・パーカー(Maceo Parker)も参加。
他に“Silly Stupid” と “Farfetched” では、ギターにマイケル・ハンプトン(Michael Hampton)も参加。

“Doghouse” は、“Party On Plastic” タイプの強力ナンバー。スペース・ベースのヘビーなリフがぐちゃぐちゃっと、この倍の収録時間でも良いのではないでしょうか。
“Give It Up” はラリー・ブラックモン風でしょうか。
“Doghouse (Doggy Dub)” は、キース・ルブラン(Keith Leblanc)によるダブ仕立て。これが一番強力だったりして。


2016年9月14日水曜日

Keith Richards “Talk Is Cheap”

“Big Enough”

1988年。キース・リチャーズの初のソロ・アルバム。
ドラムのプレイヤー兼プロデューサーであるスティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)が、元ラベルのサラ・ダッシュ(Sarah Dash)を呼ぶとか、ホントに良い人選、良いお膳立てを整えたと。

アルバム中でもとりわけ派手なのが、このオープニングを飾るファンク・ナンバー。
サックスにメイシオ・パーカー(Maceo Parker)、ベースにブーツィー(Bootsy Collins)、オルガンでバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)。バーニーは他にも3曲でプレイしてバンドに馴染んでいます。

プロフェッショナルなこのバンドの中で、キースというロック野郎は主役ではあっても同時に不思議と異物でもあります。で、招かれたブーツィという男もまた異物感たっぷりの黒いノイズで。

考えるに長年、ブラック・ミュージックを対象としてきたストーンズ。
キースにとってこのアルバムはアレサ・フランクリン、チャック・ベリーと続くプロジェクトでもありました。スティーヴ・ジョーダンをキーマンに、ブラック・ミュージックとの関係においてこれはピークの一つだったのでは。


2016年9月13日火曜日

Trouble Funk “Trouble Over Here,Trouble Over There”

1987年。ブーツィーのプロデュースは3曲。

裏ジャケを見るとメンバーの足元の写真で、“NIKE” を履いています。これはランDMCの “adidas” に対抗する戦略だったそう。ランDMCのヒット曲に “My adidas” があるように、当時のヒップホップといえばまずイメージするのがアディダスの3本線でした。

ランDMCに続け。ヒップホップ畑でもできたのだから、ワシントンD.C.のローカルなGo-Goだって全国区のスターへ。そんなヒットを狙って企画されたアルバムに、“NIKE” と共にブーツィーも登板。

“Trouble” にはキーボードでマイコ・ウェイヴ(Mico Wave)も。“Women Of Principle” のドラムはスティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)。このあたりは “Body Slum!” タイプのシンプルな音で勝負です。87年のブーツィーらしいギター、ベースのプレイも聴けるのが “New Money”。

体力も自慢の肉体派グループですから、 人力ドラムの音も明快。打って出ようという勢いがみなぎっていますね。

Go-Goとかヒップホップとかファンクとか、今となっては誰も気にしません。
ちなみに現在、Googleで検索してみた際の、検索結果の数を比べてみますと。
「ランDMC」で検索すると、約 4,880,000 件、
「トラブル・ファンク」では、約 204,000 件、
「ブーツィー」では、約 45,200 件、
「ブーツィー・コリンズ」では、約 27,200 件。
うーん、予想以上にダメだったのがブーツィーとは。


2016年9月11日日曜日

George Clinton “The Cinderella Theory”

“Banana Boat Song”

1989年。このジャマイカ生まれの労働歌のカバーに、ブーツィーが参加。同じ89年に出た George Clinton Presents “Our Gang Family” や、マイコ・ウェイヴ、トラブル・ファンク、インコーポレーテッド・サング・バンドで聴けた、80年代後半のブーツィーの仕事とつながるサウンドです。

リズム・トラックとかが打ち込みで、すべてシンセでやっているような音。チマチマしたパターンの、デジタルな整合感がクセになるよな、アンバランスなような。
その手の曲の中で、この演奏が完成形でしょうか。パキパキと鳴らされるベースの効果音、いいですね。クセになります。

アルバム自体は、クリントン親分の個性あふれるもの。そうは言っても、幾度も繰り返し聴いた今でも、その魅力をこれと一言では説明できませんが、そこがまた。


2016年9月10日土曜日

George Clinton Presents “Our Gang Family”

1989年。 アンプ・フィドラー(Amp Fiddler)等、Pファンクの若手組を前面に立てて、ショウケース的に並べた全6曲のコンピレーション。

Gary Shider “Beautiful” (Bootsy Collins, Mico Wave, Linda Shider)   released as a 12” single
Babyfatt “Manopener” (G Clinton, W Collins, Joe Harris)
O.T.W “He Dance Funny” (G Clinton, W Collins, Wes Boatman)

ブーツィーの名前がクレジットされているのは上記の3曲。これらとマイコ・ウェイヴやトラブル・ファンク、インコーポレーテッド・サング・バンド等、80年代後半のブーツィーがらみの曲は皆同じ質感。
リズム・トラックとかが打ち込みで、すべてシンセでやっているような音。チマチマしたパターン。

12インチになった Gary Shider “Beautiful” にはマイコ・ウェイヴも参加。Babyfatt “Manopener” は打ち込みとシンセの隙間にパキパキ弦を叩いたりとスペース・ベースがうねる。これぞPファンクな曲調、コーラスの O.T.W “He Dance Funny”。

例えばマイコ・ウェイヴのアルバムと比べても、聞かせてくれますね。やはりクリントン親分の存在でしょうか。


INCorporated Thang Band “Lifestyles Of The Roach And Famouth”

“Body Jackin’” (George Clinton, Bootsy Collins, Joseph Fiddler)
“What If The Girl Says Yes?” (George Clinton, Bootsy Collins, Joseph Fiddler)
“44-22-38” (George Clinton, Jimmy Giles, Bootsy Collins, Michael Lane)

1987年。Pファンクの若手組、ライジ・カリー(Lige Curry)とアンドレ・フォックス(Andre Foxxe)を中心にしたアルバム。インコーポレーテッド・サング・バンドを「法人化した集まり」とすれば、独立したとか一本立ちしたとかの意味でしょうか。
ジョージ・クリントン親分を始めベテラン勢が脇を支えた中で、アンプ・フィドラー(Joseph Amp Fiddler)、スティーヴ・ワシントン(Steve Waskington)といった名前に混じって、上記の3曲にブーツィーの名前も有り。

ベースやギターのプレイでは目立った主張はせず、裏方に徹しているものの、ブーツィーだと分かる音。“Body Jackin’” の勢いも良いですが、プリンスを意識したような音色も聞かせつつ個性的なボーカル・ラインを持つ “What If The Girl Says Yes?” が、しっかりとPファンクしています。ブーツィーとアンプの組み合わせというのはこの後、他にありましたっけ。