2026年6月27日土曜日

Buika “Vivir Sin Miedo”

Mucho Dinero

2015年。ブイカ、もしくはコンチャ・ブイカ Concha Buika は、スペインはパルマ・デ・マヨルカ(マジョルカとも)生まれの歌手。フラメンコが軸に有って、などといわれておりますが、さほど構えなくてもR&Bやジャズ、レゲエ好きであれば聴けるかなという取っつきやすさ。情熱的ですけど。

このアルバムもマイアミとロンドン、それにニューヨークやマドリッドでも録音と記載されている通りに、いろいろな曲があって楽しく。英語とスペイン語が混ざって歌われているようです。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は一曲にベースで参加。アルバムの中では目立たない曲でしょうか、ベースもこれかなという程度で聴こえるぐらい。

フラメンコといえば自分には縁遠い世界のものであります。たまたまですがこのアルバムを聴いた際に思い出したのが、マイルスのやったアランフェス協奏曲で。それしか知らないですし。
それで、このアルバムをブイカと共にプロデュースした人物、マーティン・テレフェ Martin Terefe がこの後に、アルバム「ビッチェズ・ブリュー」の50周年を記念しての企画に深く関わって、そのトリビュート作品としてアルバム “London Brew”(2023年)をまとめたと知り。



2026年5月29日金曜日

Terri Lyne Carrington “The Mosaic Project: Love And Soul”

Imagine This
Get To Know You

2015年。テリ・リン・キャリントンはジャズ畑を中心に、高名な方々とさまざまに共演しているドラマー。一方で作曲や時には歌ったりと自分のアルバムも数多く発表して、幅広い活躍ぶりを見せています。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello とは互いにゲスト参加したアルバムのいくつかで、すでに共演済みという間柄。
こちらの全曲に女性ボーカルを招いた歌ものアルバムでは、ミシェルは2曲でベースをプレイ。

ベテランの歌手も多く、しっとりと落ち着いた歌が楽しめるアルバムであります。
“Imagine This” の歌はナンシー・ウィルソン Nancy Wilson を主に、バック・ボーカルでレイラ・ハサウェイ Lalah Hathaway も。“Get To Know You” の歌はレデシー Ledisi と、実力派のボーカルを邪魔することなく、ミシェルのプレイは(いつも通りに)的確に曲を支えております。

同じような歌ものアルバムとしては、例えばロバート・グラスパーの Robert Glasper Experiment “Black Radio”(2012年)がありますが。
あれほどアルバム一枚を通してトータルな仕上がりにはまとめ上げておらず。
こちらは、もっと歌伴というか普通にボーカルを聴かせるというか。そこはピアニストとドラマーの違いもあるのかもしれませんが。

もちろん歌手だけでなく、演奏陣の方もそれぞれの個性が活かされていて。
例えばミシェル以外にも、強力な女性ベーシストが2名参加しており。ロンダ・スミス Rhonda Smith(5曲も)、リンダ・メイ・ハン・オー Linda May Han Oh(4曲も)、どちらも巧みなプレイぶりを聴かせて目立っております。
ミシェルが2曲のみですから、では一曲ぐらい歌っても良かったのかも。歌手の皆さんの顔ぶれも相当なものですけれど。ともかく、これもテリ・リン・キャリントンの采配でありましょうか。二人はこの後も共演します。



2026年4月30日木曜日

Anthony Joseph “Time”

2013年。アンソニー・ジョセフは、詩人、作家でありシンガー。カリブ海は小アンティル諸島のトリニダードに生まれ、英国、欧州を中心に活動とのこと。

このアルバムも全曲を自作、ポエトリーリーディングをしております。
サウンドの方はミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello が全面的にサポート。コンポーズにアレンジ、それにプロデュース、加えてベースをプレイしております。

となると、ジャマイカに生まれ11歳の時にロンドンのブリクストン地区に移住した、というリントン・クウェシ・ジョンソン Linton Kwesi Johnson を思い起こしますが。
で、リントンのダブポエトリーを支えたのがデニス・ボーヴェル Dennis Bovell のサウンドでした。彼はバルバドス出身、12歳でサウスロンドンに移住。
リントンが英国に移住したのが1963年、アンソニー・ジョセフといえば1989年だそう(ウィキペディアより)。

なんともこれはミシェル達の演奏の方ばかりに耳がいってしまいます。
やはりアール・ハーヴィン Earl Harvin のドラムでしょうか。一打一打が強力で印象に残ります。ジェフ・ベックとか宇多田ヒカルとか、ミシェルのアルバム “Comet, Come to Me”(2014年)でも叩いております。
ギターにはおなじみの Christopher Bruce (Chris Bruce) も。彼はミシェルとは長いつきあい、“Devil’s Halo”(2009年)から現在までのミシェルのすべてのアルバムに参加している人物。
また鍵盤のジェビン・ブルーニ Jebin Bruni ですが、こちらもアルバム “Pour une Âme Souveraine: A Dedication to Nina Simone”(2012年)(ニーナ・シモン追悼作)からミシェルのすべてのアルバムに参加している人物。

ベースのリフが強力にドライブするファンクや、アフロっぽいの、ブラジルっぽいの、ドラムとパーカッションのみ、とさまざまなトラックが見本市のように並んで。飽きさせないように、という趣向でしょうか。
翌年のミシェルのアルバム “Comet, Come to Me”(2014年)とはプレイヤーの多くが重複しておりますが、こちらの方が単純にリズミカルなトラックが多く。

その “Comet, Come to Me” にまつわる2014年の来日公演では、こちらに収録されている “Hustle To Live” を披露したというライブ・リポートが有り。歌うはミシェル自身ですが、まさにミシェルのアルバムに収録されてもおかしくないようなファンク。このカッコ良いベースは Christopher Bruce (Chris Bruce) によるプレイとクレジットが有り。

“Comet, Come to Me” といえばいつも通りにミシェルの挑戦的な姿勢が楽しめるアルバムではありました。とはいうものの、円熟味、あるいは余裕、ちょっとした手練れ感も感じられるような。そんな微妙な線は置いておいて、こちらは単純にダンサブルに楽しめるのではないかと。アンソニー・ジョセフの詩の内容は別にして、ですが。

2026年4月19日日曜日

Benji Hughes “Songs in the Key of Animals”

Shark Attack
Peacockin’ Party
Freaky Feedback Blues
Longshot

2016年。ベンジー・ヒューズとカタカナ表記すれば良いようですが。米国はノースカロライナ出身のミュージシャン。
彼はミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello のアルバム “Weather”(2011年)に参加していて。ボーカルにピアノ、それに曲を提供したりと。三曲に名前がクレジットされて(採用されて)いるのだから、なかなかの貢献ぶりでしょうか。

その “Weather” や “Devil’s Halo”(2009年)といったミシェルのアルバムに参加していたのが、鍵盤の Keefus Ciancia という方。こちらはミシェルがゲスト参加した仕事の方でもいくつか一緒にやっているおなじみさん。この方、先立ってベンジー・ヒューズのデビュー作 “A Love Extreme”(2008年)にプロデュース他で大きく関わっていたようで、この辺りからベンジーとミシェルがつながったのではないかと思われますが。
“Weather” の(プロデュースはジョー・ヘンリー Joe Henry でしたが)副プロデュースが Keefus Ciancia でしたし。

で、ベンジー・ヒューズのこのCD二枚組みのアルバムですが、ミシェルは4曲でベースをプレイ。特に前に出てくるわけではありませんが、小気味よく曲をドライブさせております。
また “Girls Love Shoes” にもボーカルと一応クレジットされていますが、何人かと混じって声を発しているのみでこれと判別できるほどではなく。

このアルバム、元々は2014年に他のアルバムとセットにした形でベンジー・ヒューズ自身のサイトからセルフ・リリースされていたそう(ウィキペディアより)。それが曲順を変えたりした上で単体で販売、入手しやすくなって。

ジャケットのイラストを見る限りは、これにそそられるかな?というデザインですが、肝心の音は(ミシェルの参加とは関わらずに)なかなかに楽しませてくれるもの。
ロックな曲をさらりと軽やかにやっています。
個人的には、しばしば(特に Disc 1 など)グラムの頃のボウイを思わせたり。これを押し付けがましくなく、声高でなく、すんなりと聴かせて。
きっとネタというか音楽的な素養をまだまだいろいろと持っているのでしょう。



2026年3月8日日曜日

Mark Guiliana “My Life Starts Now”

Strive

2014年。マーク・ジュリアナは米国はニュージャージーの生まれ、新世代を代表するとの呼び声も高いドラマー。このアルバムも曲としてはレゲエだったりギターがうなったり、あれこれビートが展開しますが、すべて人力のドラミングとのこと。
シンプルに、スマートに、凝ったビートを聴かせるジャズ系ドラマーのソロ作でありましょうか。

単純にバカテク自慢ではないにしても、ずっと叩いております。
これ聴くというよりは、ビートに合わせてギターを弾いてみたりドラムの練習したりと、そんな使い方にも適しているような。実際のところ、プログラムでもサンプリングでも(気持ち良ければ)構わないのですが。なるほど大した芸ではありますが、ちょっと途中で、もっとローカルのいなたいレゲエやダブ、ブルースの粗っぽいリフなんかが聴きたくなったりして。雑味たっぷりの、そっちの気持ち良さが。
それとCD盤は米国と日本のみ、これは配信が主でしょうか。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は一曲に参加、ぶつぶつ呟いているだけですが。
ミシェルはジェイソン・リンドナーのアルバム Jason Lindner “Gives You Now Vs Now”(2009年)で共同プロデュースの一人として名を連ね、ベースをプレイもしましたが、そこでのドラマーがマーク・ジュリアナでした。
鍵盤のジェイソン・リンドナーとマーク・ジュリアナの二人は、共にデヴィッド・ボウイのあのアルバム(2015年)に参加したわけですけども、もしももしも、ひょっとしたら、ボウイとミシェルの共演もあったかもしれないと思うと、なかなか楽しく。



2026年2月8日日曜日

Ruthie Foster “Promises of a Brand New Day”

2014年。ルーシー・フォスターはテキサス州出身の歌手。14歳でソロイストとして地元のクワイア(合唱団、聖歌隊)で歌っていたとのこと(ウィキペディアより)。

ゴスペルにブルース、フォークとさまざまな曲が並んでおりますが、主役は歌声。言ってしまえば、聴きやすい薄口のメイヴィスといったところですが、しっかり揺るぎなく。“Promises”(約束された)というタイトルにこめた確信に揺るぎなく。

アルバムのプロデュースはミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello が。ベースも担当しておりますが、渋いプレイに徹してバンドの屋台骨を支えております。
どちらかというとギターの Christopher Bruce (Chris Bruce) の方が目立っているかも。彼はミシェルとは長いつきあい。“Devil’s Halo”(2009年)から現在までのミシェルのアルバムにすべて参加している人物で。
またギターではブルースな一曲にドイル・ブラムホール2世 Doyle Bramhall II も参加。彼はミシェルの “Comfort Woman”(2003年)でもゲストとしてバリバリと弾き倒しておりました。

特にアルバムの前半では、ドラムやギターが大きめのバンド・サウンドが鳴っていて、歌を盛り上げておりますが、出すぎるということはなく。
ザ・ステイプル・シンガーズ Staple Singers も(STAX期の1968年に)カバーした “The Ghetto” を取り上げていたりも。オリジナルはデラニー&ボニー Delaney & Bonnie のソウル・クラシック。

ちなみにジャケットの裏面には、(曲目が並んでいるだけで)ミシェルの表記はなし。自分の名前や存在も出すぎては主役の邪魔になるといわんばかり。そういう契約だったのか、ともかく理由は不明ですが。