2017年11月25日土曜日

William Bootsy Collins “The One Giveth, The Count Taketh Away”

1982年。ジョージ・クリントン親分の自伝を読んだところ、80年代の到来を本格的に見据えた、このブーツィー初のセルフ・プロデュース作のアルバムについて、コメントが有り(324ページ)。

親分自身の “Atomic Dog” とブーツィーの “Body Slam” が、同時にヒットチャートに昇っていたことを素直に嬉しがっているのですが、一方で、ブーツィーの(“Body Slam” 以降の)レコードを聴くと、もどかしい気持ち、複雑な心境になるとも述べています。なるほど、親分の親心が知れるコメントです。

確かにブーツィーだけでは、という面があるのは仰る通り。実際、もう少し親分に毒を盛ってもらえば良かったのかもしれません。どうすればもっと効くのか、処方箋も見えていたのでしょう。

とはいえ当の親分にも、ブーツィーにも、旅立ってしまったバーニーにも、なかなか事は思うようには運ばず。今もって、理想の音は遠く。
Pファンクのファンの皆にはとっくに聴こえているのですけどね、その音は。


2017年11月23日木曜日

Midnight Star “Victory”

“Hot Spot”

1982年。これもモロに80年代アタマの音。ブーツィーが元気よくボーカルであおるこの曲、ダンスフロア直送のサウンドでありますし、いかにもブラックなタイトルをつけられていますが、けっこう細かく聴かせたりもして飽きさせません。

ミッドナイト・スターといえば次のアルバム “No Parking (On The Dance Floor)” があまりにもヒット作。
写真は彼らの“Anniversary Collection” と題された1999年のベスト盤。こちらの選曲でもその83年以降の曲が多く。ブーツィー参加の “Hot Spot” も入っていますが、なんといっても “Slow Jam” がスタジオ版と、オマケにライブ版まで収録されていたりするのが得点高し。
彼らの場合、ダンスものばかりではね、やっぱりスロー・ナンバーが大事。

Dayton “Hot Fun”

“Krackity Krack”

1982年。Xavier(ゼヴィア、イグゼイヴィア)の “Point Of Pleasure” をプロデュースしていたラーニ・ハリス(ラーニ・ソングとも。Rahni P. Harris, Jr.)が、同じく手がけたデイトン(Dayton)の3作目のアルバム。

ジョージ・クリントン親分の初ソロ・アルバム “Computer Games” にも参加しているラーニ・ハリスですが、ブーツィーとも、つきあいは70年代末からと長いよう。ここではゲストとしてボーカルを披露しているブーツィーです。

デイトンの代表作といえばラーニが正式メンバーとして関わる次のアルバム “The Sound Of Music” が高名ですが、スライのカバーで幕を開けるこちらも80年代アタマな勢いが魅力。ジャケのイラスト通りです。


2017年11月13日月曜日

Xavier “Point Of Pleasure”

“Work That Sucker To Death”
“Do It To The Max”

1982年。ジョージ・クリントン親分と共にブーツィー、2曲に参加。
親分の自伝によると、否も応もなしに70年代の全盛期から下り坂を迎えて、なんとかソロ名義でのヒット “Atomic Dog” が生まれる前の、ちょうど谷の時期に呼ばれたゼヴィア(ゼイヴィア、イグゼイヴィア)との仕事は、自分はまだやれる、良い曲を作れると自信を持たせてくれたそう。

その言葉通りに、楽しくダンサブルの一言につきる2曲。80年代始めらしい(これホメ言葉です)シャープなノリで、ブーツィーのベース・ラインも快調に走っています。


2017年11月5日日曜日

O.G. Funk “Out Of The Dark”

1993年。ビリー “ベース” ネルソン(Billy “Bass” Nelson)も、ファンカデリックのオリジナル・メンバーだった一人。
加えて、他にはバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)、ジェローム・ブレイリー(Jerome "Bigfoot" Braily)といった(かっての)Pファンクの面々も参加したアルバム。
ビル・ラズウェルが共同プロデュース、タル・ロス(トール・ロス、Tal Ross)のソロ・アルバムに大きく絡んでいた Peter Wetherbee なる人物の名前も見えます。

ビリーを主役に立てたファンカデリックの(本家ではない一部の)再結成バンドという位置づけになりましょうか。
曲はストレートにファンカデリック。オマージュとかカバーというより、俺達の作った曲、スタイルという主張も強く。オリジナル、というバンド名の通りです。

今となっては、そのオリジナルという一言がポイントでしょうか。Pファンク好き向けだろうと、そうでない人向けだろうと、魅力あるオリジナルの音を発しているかどうかです。
例えばタル・ロスのサウンドと、やっぱり比べられたりしますし。

2017年11月4日土曜日

Tal Ross a.k.a Detrimental Vasoline “Giant Shirley”

1995年。タル・ロス(トール・ロス)はファンカデリックのオリジナル・メンバーだった一人。71年にバンドを抜けた後、何をしていたものか、実に25年ぶりに出したソロ・アルバムがこれ。
伝説的なギタリストのよみがえりでありますが、この一枚のみで今もまた沈黙を続けています。

プロデュース、および全曲をタルと共作とクレジットされている、Peter Wetherbee なる人物が仕掛け人でしょうか。ビル・ラズウェルと関係のある方のようですね。
アルバムの巻頭に置かれたのが、20秒に満たない “Ain’t No Reason” という曲。デルタなブルースです。オープニングを飾るのが役目の小品ではありますが、これでぐっと捕まれます。タイトルは “理由は無し”、ですか。このブルースにとても惹かれます。

この曲の続きだとか、他にもブルースな曲が聴いてみたいものです。元ファンカの看板に恥じない一枚だと思いますが、そこに頼らなくても、さらにこの後に2作目、3作目とアルバムが続いていたとしたら、もしかすると聴けたのかもしれません。

2017年10月1日日曜日

Little Axe “Slow Fuse”

1996年。リトル・アックスことスキップ・マクドナルド(Skip “Little Axe” McDonald)の2つめのアルバム。
ウェイラーズの “Small Axe”、それとゴスペル・シンガーの Willmer “Little Ax” Broadnax からインスパイアされたというリトル・アックスの名前ですが、現在までにいくつかのアルバムが発表されています。その中でも、このアルバムには他にはないスペシャルな特典がありました。

本編である “Slow Fuse” に、ボーナス・ディスクを加えて2枚組とした仕様の存在であります。そのボーナスというのが “Fuse” とタイトルされたダブ・アルバムでした。
いつも通りに On-U からリリースされ、共同プロデュースとミックスはエイドリアン・シャーウッド(Adrian Sherwood)が担当した “Slow Fuse” と、その隠れキャラである “Fuse”。こんなカッコ良いオマケがあるのはこのアルバムだけです。

“Fuse” には、導火線とか異なる金属を溶解、融合させるという意味がありますが、さらに進めて溶かしこんだというタイトルでしょうか。スキップ・マクドナルドのギターに、ベースのダグ・ウィンビッシュ(Doug Wimbish)、ドラムのキース・ルブラン(Keith LeBlanc)、そしてダブ・サウンド。なんとなくあのファンカデリックのファースト・アルバムを思い起こさせるような溶け具合です。

2017年9月30日土曜日

Bootsy’s Rubber Band “Live In Louisville 1978”

ブーツィズ・ラバーバンド、独り立ちしてメインアクトを務めた Player Of The Year ツアーからのライブ音源。1999年。

“Live In Oklahoma 1976”

同じように、こちらはマザーシップ・コネクション・ツアーからパーラメント-ファンカデリックの前座を務めたステージの模様といわれるライブ音源。2001年。

演奏はとにかく押せ押せでグイグイ乗せてきます。ひたすら攻めてきます。両ツアーからの映像はそれぞれDVDやネットでも見られる訳ですが、音だけでも知らず知らずに乗せられてしまいます。
この頃はバーニーは不在ですが。もし同行していたらどんな音になっていたでしょうか。

それにしてもこのような音源は(CDメディアにしなくても)Bootzilla Productions のサイトからでもどんどん公開して、もっと楽しませて欲しいものであります。


2017年9月9日土曜日

William Bootsy Collins “I Wanna Bee Kissin’ U”

1989年、ブーツィー初来日時のライブが聴けるブート盤。消えていくだけの雑多ブートの一枚でしかありませんが、これもついでに。
今はなきMZA有明での7月のライブ、今でこそ気軽に映像もチェックできますが、あえて言うと、この時の音はおもしろいです。

この後、92年-93年-94年と来日公演を重ねていくブーツィーですが、おかげですっかり、日本のファンにもブーツィーのステージの進行とか音とか、またジョージ・クリントン & Pファンク・オールスターズとの違いといった、基本フォームもお馴染みとなりました。

ですが、アルバム “What’s Bootsy Doin’ ” でもって現場復帰したばかりだった初来日の音からは、このフォーマットが固まる前の段階を聴くことができます。これを挑戦、もしくは試行錯誤と捉えるかはともかく、今とはまた別の姿や可能性を聴きとれるといいますか。

2017年9月7日木曜日

Bootsy’s New Rubber Band “Live In Japan 1993”

1993年にまずビデオテープ、次いで2002年にDVDで再リリースされた、1993年8月、川崎でのライブを収めた映像。
ジョージ・クリントン & Pファンク・オールスターズの前座となるステージなのですから、ゼイタク極まりないですね。1時間ちょっとのコンパクトにまとめられた収録時間も濃密です。

ラバーバンドの曲を前振りに、パーラメント、ファンカデリックの曲が強力。見所はやはりバーニー。ブーツィーと二人して肩を組んで、カメラに向かってポーズを決める瞬間もヤマ場です。そうしてあのベース・ソロになだれこんでいきます。

次の再発の際は、カットされているバーニーのソロ・コーナーをぜひフルで収録して欲しいものです。


2017年9月3日日曜日

Bootsy’s Dvd Box

“Stretchin’ Out Live 1976”
“Player Of The Year 1978”
“Houston Summit 1978”

2011年。これ以前にすでにビデオでリリースされていた、ラバーバンドとしてはお馴染みといってよい映像の、DVD3本をセットにしたパッケージ。それぞれでバラ売りもされていますが、なんといってもこのボックスの売りは、河村要助氏のイラストを復活させて採用したアイデアです。

元になったミュージック・マガジン1981年3月号の表紙が強力です。この雑誌は今も根強く表紙にはイラストを使っていますが、だんだんとフォントが大きくなって、文字組みにも頼ってきていますね。かってはイラストレーターの作家性と、ミュージシャンの顔のアップだけで語らせていた頃がありました。その頃の、ブーツィーの顔がまた何というか。

このボックスに含まれている1978年のワシントンD.C.のライブですが、音だけでも、ブートCDが出回ったりしました。1992年の、UK製といわれる “Funk Prophets (Chapter II)” です。Chapter I の方はファンカデリックだったり、また同じ内容で “Spacebass” というブートもありました。
ブーツィーの初来日が1989年。90年代の前半は、まだまだ Pファンク自体が得体の知れない存在でありました。



2017年8月18日金曜日

Little Axe “The Wolf That House Built”

1994年。オハイオはデイトンの生まれ、スキップ・マクドナルド(Skip “Little Axe” McDonald)のアルバム。
ベースのダグ・ウィンビッシュ(Doug Wimbish)、ドラムのキース・ルブラン(Keith LeBlanc)がサポート、共同プロデュースとミックスはエイドリアン・シャーウッド(Adrian Sherwood)、といつもの On-U な顔ぶれですが、このアルバムだけでなく他の作品も含めて、リトル・アックスのアルバムはカッコ良いです。

日本での宣伝文句に、リトル・アックスの紹介文としてエイドリアン・シャーウッドが、 “Science Fiction Dub Meets The Roots Of The Blues”
と言ったとかなんとか。出来すぎの言葉であります。

ブルース、ダブ、アンビエント、レゲエ、ダウンテンポ、遠い昔のファンカデリックの影、、、なんというか型通りでないかもしれないですが、このブルースにはやられます。


2017年8月15日火曜日

Doug Wimbish “CinemaSonic”

2008年。ダグ・ウィンビッシュ(Doug Wimbish)の、“Trippy Notes For Bass” (1999) に続く2つめのソロ・アルバム。
いつものエイドリアン・シャーウッド(Adrian Sherwood)、スキップ・マクドナルド(Skip McDnald)、キース・ルブラン(Keith LeBlanc)といったメンバー。

最初のソロ作 “Trippy Notes For Bass” がダブ・アルバムとすると、こちらは一曲毎に多彩な曲調が展開します。タイトルからすると、映画のさまざまなシーンを彩るサントラのような想定なのでしょうか。とはいえ、やっぱり曲の後半にダブなサウンド・エフェクトが噴出したりしますけれど。

“Jungle Funk” に収録されていたスタジオ録音版の曲 “Trance” も再び再演。アルバムに合わせて派手めな曲調になっています。
それから、バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)が一曲、“Special Request” に参加。シスター・キャロル(Sister Carol)がボーカルの、レゲエとファンクが合体したバーニーらしい曲ですが、絶妙にダブがからんできます。


Jungle Funk “Jungle Funk”

1999年。ダグ・ウィンビッシュ(Doug Wimbish)を筆頭に、リヴィング・カラーのドラマー、ウィル・カルホーン(Will Calhoun)、ボーカル、パーカッションの VinX の三人組によるアルバム。

“Live at Conrad Sohm, Dornbirn, Austria: April 12-14, 1998” とある通り、オーストリアでのライブ録音を基本に、それにスタジオ録音の曲も加えてあるという構成。
プログラムされたドラムンベースのビートも目立って使われていますが、人力の演奏もたっぷり。拍手や歓声も抑えめに、落ち着いた雰囲気にまとめられた一枚です。

歌がメインとなるような曲も多く、シンプルなビートの曲では、ダグ・ウィンビッシュのベース・プレイが楽しめます。当たり前ですが、これが実にファンクで。
しかし、ジャケットのデザインを完全に間違えています。
予想以上に大人向けなアルバムで、テーブルについて軽く飲みながら的な雰囲気もあって。ジャジーと表現しても良いくらい。そんなお洒落なデザインにでもしていれば、もっと売れたかも。


2017年8月14日月曜日

Christmas Is 4 Ever

2006年。たっぷりとノイズを盛りこまれて炸裂するクリスマス・ソング集。これはまさにブーツィーの世界。
日本でもお馴染みのあの曲もこの曲もファンクして、間違って幼いキッズに聴かせれば笑顔よりも怯えを見せるに違いない、というサウンドです。

久々のブーツィー単独のプロデュース、自分のスタジオでの録音にミックスというやり方もはまって、こってり味のビートにベース。
“Fresh Outta ‘P’ University”(1997)、“Play With Bootsy”(2002) を経て、ようやく自分の庭に戻って楽しんだはずのサウンドは、かわいい顔しながらも黒く。

そして、わがままなくらい奔放にブッチンブッチンと飛びはねて踊るスペース・ベースが楽しめるのも、どうやらこのアルバムをもって最後のよう。


2017年8月4日金曜日

Fear Da Tiger

2005年。ブーツィーのプライベート・レーベル、Bootzilla Productions からリリースされたシングル盤。地元オハイオのシンシナティ・ベンガルズの応援歌ということで、ひたすらシンプルなビートです。

Bootzilla Productions からは他にもフリークベースのアルバム等がリリースされていましたが、今では削除されているものも多く。配信というチャンネルもありますし、やはりCDといったメディアは残さない方向ですね。
どちらかというと音よりも、グッズ、ギアの方に力を入れているように思われるのが少々残念。


2017年8月1日火曜日

キラキラ♡魔女ッ娘♡Cluv ~魔女ッ娘アニメカバー集~

“おジャ魔女カーニバル!(おジャ魔女どれみ)” 里見茜×Bootsy Collins
“ラブラブミンキーモモ(魔法のプリンセスミンキーモモ)” 小嶺麗奈×Bootsy Collins

2010年。〈魔女ッ娘〉アニメのテーマ曲を集めてカバーしたコンピレーション。
ブーツィー参加は2曲。キャスパー好きで知られるだけに、どうせならもっともっと好きにしていただいたマンガなサウンドを聴きたいところ。


2017年7月31日月曜日

William Shatner “Seeking Major Tom”

“She Blinded Me With Science”
Featuring Bootsy Collins, Patrick Moraz

2011年。あのカーク艦長で知られる俳優ウィリアム・シャトナーのアルバム。直訳すれば「トム少佐を探して」というタイトルですが、メイジャー・トムとはもちろんボウイのあの曲から。宇宙やSFに関わる曲が集められて、多数の有名ゲストも呼ばれてカバーされています。

ブーツィーが参加しているのは、トーマス・ドルビー Thomas Dolby の1982年のヒット、邦題は「彼女はサイエンス」。主役はあくまでもウィリアム・シャトナーの語り、ボーカルというアルバムですので、サウンドは引き立て役、添え物という仕上がりです。

ジョージ・クリントン親分とも共演したトーマス・ドルビーの曲ですし、アルバムのテーマといい、もう少しなんとかなれば。もし次にクリンゴン人を主役にしたアルバムを制作するのであれば、その時こそ思いきりPファンク軍団に暴れてもらいましょう。


Back in the Day: The Best of Bootsy

1994年リリース。1976年-1982年のワーナー時代のグレーテスト・ヒッツ集。コンパクトにまとめた一枚ものながら、価値あるベスト盤です。

ブーツィーがラバーバンド以前に組んでいたハウスゲスツ(House Guests)の、1971年のシングル盤 “What’s So Never The Dance”。
ラバーバンドのデビュー盤から “Psychoticbumpschool” が、これは1976年のPファンク・アース・ツアーに同行した際のライブ版で。
そして1980年、ラバーバンド後のブーツィ初のソロ・アルバム “Ultra Wave” から、7インチのシングル盤 “Mug Push” のウラ面に収録されていた “Scenery”。

と、この3曲がポイント。1982年のシングル盤 “Body Slam!” も収録されていますし、この後の2001年にライコから出された2枚組のベスト盤と比べても、今でも価値の高い一枚です。


2017年7月30日日曜日

The Official Boot-Legged-Bootsy-CD

2008年。ブーツィーのプライベート・レーベル、Bootzilla Productions からリリースされたコンピレーション・アルバム。盤はCD-R。

全13曲中に、他には未収録でここでしか聴けないものが5曲。その内の3曲は、1993年の Bootsy’s New Rubber Band “Blasters Of The Universe” から、新たにボーカルやラップを差し替えたリミックス版となるもの。
残りは、1997年の “Fresh Outta ‘P’University”、1988年の “What’s Bootsy Doin’?” から既出のままの収録。
各曲のタイトルはなぜか適当なものに変更されています。直販ということで権利的なからみでもあるのかもしれませんが、ただ遊んでいるだけかも。

このアルバムはベスト盤と言ってよいものなのでしょうか。もしも今後、きちんと80年代以降のブーツィーのベスト盤を作るとなれば、単純にブーツィ自身の曲を集めるだけでなく、様々にゲスト参加した曲もうまくからめて欲しいものです。それが無いと楽しくならないでしょう。


2017年7月27日木曜日

Funkadelic “First Ya Gotta Shake The Gate”

2014年。ファンカデリックのCD3枚組33曲。さすが、だらだらと長いです。
この「さすが」がホメ言葉だったりその逆だったり。

各曲のメンバーを見ますと、老いも若きも鬼籍に入っていたりもいなかったりも、幅広い顔ぶれが召喚。ブーツィーの名前がクレジットされているのは2曲のみです。
“Boom There We Go Again” ではベース、パーカッションで。こちらには鍵盤でバーニーも参加。“Meow Meow” ではベース、ギターで。
録音はいつ頃のものでしょうか。ブーツィーとバーニーの残した素材を使ったということでしょうか。

また、ラバーバンド時代の曲、“As In” もジェシカ・クリーヴス(Jessica Cleaves)のボーカルによるリメイク版が収録されています。
こちらはコーデル・モースン(Cordell “Boogie” Mosson)のベースに、タイロン・ランプキン(Tyron Lampkin)のドラム、それに鍵盤とストリング・アレンジメントでバーニー、となっていますから、この曲のベーシックな部分もかなり過去のものでしょうか。

このアルバムを聴きながら想うのは、どうしてもPファンクのこれからでしょう。昔の名前はいつまで使えるものか。果たしてどんな名前ならば、認めてもらえるものか。とにかく、新たなヒット曲が欲しいところでしょうか。クリントン親分の悩みも吹っ飛ぶような、それさえあれば。
と言いつつも、新曲が聴きたいのか、それとも往時の未発表曲として聴きたいのか、という悩みも。


2017年7月9日日曜日

LL Cool J “Authentic”

“Bartender Please” (featuring Snoop Dogg, Bootsy Collins and Travis Barker)

2013年。この曲の冒頭30秒ほど、ブーツィーのベースとボーカルにTravis Barkerのドラムだけで展開される導入部が、なんとも言えずバウンスしていて、実にファンク。
すぐに本編が始まってしまいますが、ブーツィー目当てであればこのパートだけでOKです、なんて。スヌープだと、この部分に絞って一曲展開、ファンクに仕上げるのでは、などと考えたり。


2017年7月2日日曜日

Fred Wesley featuring Jab'o Starks & Clyde Stubblefield with Bootsy Collins “The Godfather of Soul TRAIN”

2008年。“Funk For Your Ass - A Tribute to the Godfather of Soul” のリミックス盤。
Afrika Bambaataa、Chuck D、それにJim O'Rourke といった面々が、それぞれに趣向を凝らしたバージョンを披露しています。
ブーツィーも “Livin’ In America” を自身でいじって “Chilli’n & Dealin’-N-Amerika” としたナンバーを収録。こちらはフリークベース(Freekbass)も参加した、ベースを強調した音になっています。

アルバムの売りとしてはもう一点、スペシャル・ギフトとされたオマケの2曲。
“Clyde” - Gift track from Fred Wesley
“Man Maid Child” feat. DJizzle - Gift from the (Booted-One) 

“Man Maid Child” はブーツィーとキャットフィッシュに、さらにバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)とレザーシャープ(Joel "Razor Sharp" Johnson)が参加しているナンバー。最後に置かれた、ブーツィーの今現在の音。


2017年7月1日土曜日

Fred Wesley featuring Jab'o Starks & Clyde Stubblefield with Bootsy Collins “Funk For Your Ass - A Tribute to the Godfather of Soul”

2008年。御大JBとボビー・バードに捧げる一枚。
全16曲中の11曲が、フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)のプロデュースによる、JBズを再現したようなインストもの。
残る5曲が、ゲストを招いてのボーカルもの。こちらのプロデュース担当がブーツィー。

“Livin’ In America”
“Man’s World”
“Lap-Dancer”
“Out Of Sight”
“Let It Flow”

ブーツィーによるスペース・ベースが活躍するのは2曲。“Livin’ In America” のカバーと、ボビー・バード(Bobby Byrd)を招いた “Let It Flow”。ブーツィーと共にキャットフィッシュ・コリンズ(Phelps "Catfish" Collins)のギターもいます。
そして、“Lap-Dancer” ではオハイオ・プレイヤーズのシュガーフット(Leroy “Sugarfoot” Bonner)とボーカル共演し、“Out Of Sight” ではドラムもプレイといった具合。
この5曲が良いアクセントになって飽きさせませんが、アルバムとしては基本、フレッド担当の曲がメイン。

大半の曲をジャボとクライドが叩いていますが、そうでなくとも、フレッドとは長いつきあいとなるドラムのBruce Cox、ベースのDwayne Dolphin がさすがの一言。このコンビによるアルバムのタイトル・ナンバー “Funk For Your Ass” は、トップを飾る一曲めに置かれて、これが思わず引きこまれる熟練とスリリングさ。ジャズ屋でもある二人だけに、活きが良いです。


2017年6月26日月曜日

Hifi Sean “FT.”

“Atomium”

2016年。元スープ・ドラゴンズ(Soup Dragons)のショーン・ディキンソン(Sean Dickson)が、Hifi Sean と名乗ってリリースしたこのアルバム。
全13曲すべてにゲストを招いて、フューチャリングしているからタイトルも “FT.”。オノ・ヨーコといったゲスト陣に混じってブーツィーも一曲、ボーカルを聴かせています。


2017年6月24日土曜日

Soup Dragons “Hydrophonic”

“Motherfunker”

1994年。80年代半ばから活動したスコットランドのグループ、スープ・ドラゴンズの最後のアルバムから。ブーツィー参加のこの曲は踊れる系のロック・ナンバー。

出だしのサイケな感じから、ブルースハープの音色、スペース・ベースが太く刻むリズムがカッコ良く。
メインのボーカル・パートが少々弱いのと、もう一段階、次の第2弾ロケットが炸裂しないままに曲が終わってしまう感もあるような。


2017年6月11日日曜日

Lucky Peterson “Black Midnight Sun”

2002年、ラッキー・ピーターソンがフランスのレーベルから出したアルバム。
ブーツィーとデニス・チャンバース(Dennis Chambers)を招いたアルバム “Lifetime” (1996) から数年後の、これも意欲作です。

プロデュース、ベースはビル・ラズウェル(Bill Laswell)。ドラムは今回ジェローム・ブレイリー(Jerome “Bigfoot” Braily)に、ギターと鍵盤がラッキー。それに管楽器という編成。
Muddy Waters、Syl Johnson、Johnnie Taylor、James Brownといった有名どころのカバー曲を中心に、独自のサウンドを聴かせます。

ロック方面へのアピールとなるのは、ミック・ジャガー(Mick Jagger)の曲 “Lucky In Love” のカバーでしょうか。1985年のミック初のソロ・アルバムは、プロデュースにビル・ラズウェルがからんでいましたし。
よくある型通りのブルース曲は飛ばしても、他にも、スライ(Sly Stone)の “Thank You For Talkin’ To Me Africa” や、JB御大のカバーなど、ファンク好きを充分楽しませてくれます。
フレンチなアートワークも良い感じ。なんとなく小説の方のセリ・ノワールとか、我がハヤカワ書房みたい。


2017年6月10日土曜日

Standing In The Shadows Of Motown

The Funk Brothers With Bootsy Collins
“Do You Love Me”
“Cool Jerk”

2002年。ドキュメンタリー映画「永遠のモータウン」のサントラ。
ザ・コントゥアーズ(The Contours)の1962年と、ザ・キャピトルズ(The Capitols)1966年のヒット・ナンバー2曲を、個性派ボーカリストとしてブーツィーが歌っています。
力いっぱいの歌声に、ノベルティ・ソングとかジャンプ・ナンバーの原点のような破壊力がむき出しですね。


2017年6月4日日曜日

Lo Fidelity All Stars “Don’t Be Afraid Of Love”

“On The Pier”

2002年。イギリスの白人グループ、ローフィディリティ・オールスターズの一曲。リリースはファットボーイ・スリムで有名なスキント・レコーズ(Skint Records)から。

しっかりとアレンジされたスローなナンバーに、完全に(個性派の)ボーカリストとして招かれているブーツィー。ですが、たとえば普通に女性ボーカリストが歌っていても良いような…とちょっと考えてしまうような。


2017年5月31日水曜日

Power Of Soul : A Tribute To Jimi Hendrix

Bootsy Collins Featuring George Clinton & The P-Funk Mob “Power Of Soul”

2004年。豪華なゲストの集まった力作揃いのトリビュート・アルバムですが、とりわけ気合の入った、この一曲に勝負した意気込みの伝わってくるナンバーです。
プロデュースはブーツィー。ベースにドラム、それにエンジニア、ミックスもと完全に自身のサウンドでジミを調理しています。

クリントン親分とPファンク・オールスターズ(P-Funk Mob)もフィーチャリングとなっていますが、ベリータ・ウッズ(Belita Woods)、ゲイリー・シャイダー(Garry Shider)といったボーカル隊の顔ぶれ。

演奏陣は、いつものキャットフィッシュ(Phelps “Catfish” Collins)のリズム・ギター、レザーシャープ(Joel “Razarsharp” Johnson)のキーボード。リード・ギターとしてクリス・ウォーカー(Chris Walker)、ブーツィーとは長いつきあいのロン・ジェニングス(Ron Jennings)が。それにドラムに、JBズ時代からのつきあいとなるメルヴィン・パーカー(Melvin Parker)の名前もあります。

2017年5月20日土曜日

King All Stars “The Fabulous King All Stars”

“Hard To Handle”
“Looks Like I'm Walkin”
“Let’s Go, Let’s Go, Let’s Go”
“Try Me”
“Honky Tonk”

1991年。1988年に録音したという、キング・レコードがらみの同窓会。
オハイオ州はシンシナティにて、シド・ネイサン(Syd Nathan)によって1943年に設立されたキング・レコードは、JB御大がらみはもちろん、逸話だらけのまさに伝説の存在。ゆかりの方々が集まって、往年のヒット曲などを再演しています。

クライド・スタブルフィールド(Clyde Stubblefield)ドラム、ボーカル
ビル・ドゲット(Bill Doggett)オルガン
セント・クレア・ピンクニー(St. Clair Pinckney)サックス
ピー・ウィー・エリス(Alfred “Pee Wee” Ellis)サックス
ババ・ブルックス(Bubba Brooks)サックス
フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)トロンボーン
ボビー・バード(Bobby Byrd)ボーカル
ヴィッキ・アンダースン(Vicki Anderson)ボーカル
ハンク・バラード(Hank Ballard)ボーカル

等々、皆さん元気そうで、集まればさっとプレイできそうな現役感が良い感じ。全11曲中、ブーツィーが演奏に加わっているとクレジットにあるのは5曲。太いベースが聴けますが、これはあくまでご愛嬌。


20世紀ポップ・ロック大全集 Vol.8

1995年にイギリスのBBCが制作したポップ・ミュージックの変遷をまとめたドキュメンタリー番組 “Dancing In The Street”。これの日本語版をNHKが放送したものを2001年にDVD化。

シリーズ中、70年代のブラック音楽をテーマにしたこの巻「 ファンキー・ソウルの新展開~ファンクからディスコ~」には、JB御大やスライ、マーヴィンにスティービーといったキラ星たちと共に、フィラデルフィア・サウンドの裏方連中や、黒人音楽にかぶれて「当時、ひ弱なJBみたいだった」と語る “Young Americans” ボウイまで登場してかなり楽しめます。

とにかく名曲が次々に流れて、JBズ関連のメンバーや、ブーツィーとバーニーの仲良しコンビがインタビューに答えながら時に楽器を弾いて説明するのだから、堪らないですね。
特にJBズ〜Pファンクと渡り歩いたブーツィーは、マル特の重要人物として扱われています。


2017年5月10日水曜日

Bootsy Collins and The New Rubber Band “Live In Concert 1998”

2006年にヨーロッパで発売されたDVD/CDのライブ盤2枚組。North Sea Jazz Festival 1998 でのブーツィーのステージが楽しめるのがこちら。

オランダで開催される有名音楽フェスということで、他にもいくつかリリースされている同種のシリーズの内のひとつ。イレギュラー的な作品となりますが、内容は極上です。映像のDVDがメインで、オーディオCDはあくまでオマケなので、例えば曲間の編集が雑だったりしますが、この音だけでも充分に楽しめます。

まず前年のアルバム “Fresh Outta ‘P’ University” から新曲をやっていること。それに全編にわたってスペース・ベースがバッキンバッキンとプレイされていること。ラフなプレイも映像そのままで、先のライブ盤 “Keepin’ Dah Funk Alive 4-1995” と比べても、ブーツィーのリラックスした素のステージが楽しめます。


2017年5月6日土曜日

Bootsy Collins And Bootsy’s New Rubber Band “Keepin’ Dah Funk Alive 4-1995”

1995年。ブーツィー初となるライブ盤、CD2枚組み。90年代前半を締めくくる気合い作です。

まずは前半を占めるのが自身のラバーバンドでの代表曲、ヒット曲ですが、これがメドレーで各曲短く、軽く導入部という展開。
続くバーニーの鍵盤ソロ演奏によって導かれるまま始まる次のコーナーが、往年のパーラメント、ファンカデリックの代表曲の4曲。

ここで改めて、バーニーとブーツィーのコンビが作りあげた各曲をじっくりと。
“P-Funk (Wants To Get Funked Up)” でのベースと鍵盤とか、ディーディー・ジェームス(Dee “Dirty Mugg” James)の重心低くのたうつギターとか、このバンドでやりたかったのはこちらなのかなと思わせる演奏です。

そしてまたラバーバンドの曲コーナーに戻って山場を迎えますが、聴きものは13分を超える “Medley: Stretchin’ Out / Touch Somebody” ~ “Night of the Thumpasorus Peoples”。
とにかく今現在のこのバンドの爆発力が楽しめます。
この爆音は実際のライブとは異なる音かもしれませんが構いません。クレジットには、ライブ盤にまとめたリミックスはブーツィ自身、とあり。



2017年5月1日月曜日

Sacred System “Nagual Site”

1998年。こちらもビル・ラズウェルのプロデュース、ベースにキーボードなども。ベースにはジャー・ウォブル Jah Wobble、コルネットでグラハム・ヘインズ Graham Haynes も参加。Gulam Mohamed Khan なるボーカルもいて、塩辛い声で唸りますし(Harmonium, Voice とクレジット)、ビル独自のダブ・サウンドの中でも民族音楽色が目立つ一枚か。
バーニーのキーボード、オルガンも聞けますが、あまり表立った活躍ではないです。

Sacred System という名義ですが、ROIRレーベルに残したダブ・アルバムとは直接的な関係はないかと思いますが、どうでしょうか。


2017年4月30日日曜日

Bill Laswell “Version 2 Version : A Dub Transmission”

2004年。ニューヨークのレーベル ROIR に、ビル・ラズウェルが残した5作のダブ・アルバムの内、これは最後のひとつ。先の4作がアルバム名からいっても連作的な感じがするのに対して、これだけは追加されたようなタイトルです。
4作でまとまったものを、補完するような、次へつなぐ(Transmission)というような。

プロデュースはビル。全6曲中、4曲がジャー・ウォブル(Jah Wobble)との共作で、これにバーニー・ウォーレルも参加。バーニーとダブ? とも思いますが、アルバムの中盤では、なんだかファンカデリックな歪んだギターがふと聴こえてきます。
これはビルでしょうか? このギターのためなのか、バーニーがいるからなのか、70年代初期のあのファンカデリックを思い出させてくれる場面があります。わずかな時間ですが、ダブの場合、こういった瞬間が大事です。

Bill Laswell - bass guitar, guitar, producer
Jah Wobble - bass guitar
Chris Cookson - drum programming
Bernie Warrell - keyboard
Karsh Kale - drum, tabla
Abduo M’Boup - percussion


Fanu + Bill Laswell “Lodge”

2008年。このアルバムは Fanu という方のビートとビル・ラズウェルのベース、ダブ・サウンドを組み合わせたコラボ企画。ビルとバーニーのつきあいはずっと続いていて、ここでもサポートしています。

DJ、プロデューサーであるFanuのビートというのが、ドラムンベース。レゲエでいうドラム・アンド・ベースではなく、90年代に流行った高速なアレの方。2008年のより複雑なビートによって、疾走するダブ・サウンドが聴けます。

そこに乗っかって、人工的で未来的、まるで無国籍なSF映画に似合いそうな彩りを添えるのが管楽器と鍵盤の役目。バーニー・ウォーレルを始め、グラハム・ヘインズ、ニルス・ペッター・モルヴェルらのプレイが控えめながら、すっと斬り込んできます。 

Fanu - drum programming
Bill Laswell - bass guitar, effects, producer

Graham Haynes - cornet
Nils Petter Molvaer - trumpet
Bernie Warrell - keyboard


2017年4月29日土曜日

SociaLybrium “For You - For Us - For All”

2010年。バーニー(Bernie Warrell)のキーボードと、ブラックバード(Dewayne “Blackbyrd” McKnight)のギターに、ドラムがリヴィング・カラーのJ.T. Lewis、ベースがMelvin Gibbsと、なんとも黒くて派手な顔ぶれが集まったバンド。
ソーシャリブリウム、なんて意味? Social + Librium = みんなの抗不安薬 or みんなで精神安定剤?

一枚だけ残されたこのインスト・アルバムは、聞き進むにつれて引きこまれていきます。そこは手練れのベテラン達、仕上げます。

今やバーニーを偲ばずにはいられないようなスロー曲 “Another Day” を中盤に挟んで、ラストのバーニー作 “Over There” は大団円を迎えるにふさわしいナンバーです。
これだけのプレイヤー達を引っぱるような、さらに老獪なプロデューサーでもいれば、とも思いますが、完成度とは逆に、もっとダラダラした発展途中のセッションも聴いてみたかったり。


2017年4月28日金曜日

Illya Kuryaki & The Valderramas “Leche”

“DJ Droga”

1999年。アルゼンチンはブエノスアイレスの2人組。アルバム・タイトルは英訳すると Milk 、これは母乳ということでしょうか。写真を見れば一目瞭然ですが、茶色の肌色に白いミルク色のCDの盤面と凝っていますね。で、胸元の白いアルバム・タイトルの感じがまたね。

Wikipedia によるとその音楽スタイルは70s、80sのファンクとディスコ・ミュージック、ラップとロックだそう。ブラジルのリオデジャネイロでいうファンキとどのように違うのか? 分かりません。

聴けばすごくストレートなダンスもの。ブーツィー参加の “DJ Droga” も気持ちよく聞けて、エンディングのスペース・ベースのソロまで一気になだれこんでいきます。
ファンクへの憧れも理屈抜き、頭でなく腰に、まさに踊ってくれよ! というダンスフロア直送便。
“Droga” はやっぱりドラッグのことのようですが、深い意味はどうも無さそうです。


Kyle Jason “Generations”

“Uptown”
“Hash”
“Generations”

1997年。パブリック・エネミー(Public Enemy)のチャックDが起こしたレーベル “SLAMjamz” からリリースされたアルバム。カイル・ジェイソンは今もそこで活動を続けているようです。
ブーツィーは上記の3曲をプロデュース。ベース、ドラム、ギターとトラック作成も。

唯一ボーカルまで入れて、3曲中で目玉となるだろう “Hash” 、“Dr. Funkenstein” (1976) に似たベースラインを持つ “Generations”、そしてブーツィとしては珍しいマーヴィン・ゲイな曲調の “Uptown”。

あくまでもカイル・ジェイソンのボーカルが主役の、ベース・ソロが前に出てくるようなことのない展開ですが、完全にブーツィー印のトラックです。
3曲も関わるとは、やはりチャックDとの親密な関係があるからでしょうか。

ディアンジェロ(D'Angelo)の登場以降を横目ににらんでのアルバムと言われる一枚ですが、他にもミスター・フィドラーの兄弟(Joseph “Amp” Fiddler、Thomas “Bubz” Fiddler)も参加の曲あり。


2017年4月26日水曜日

Menace The Men X Perience “La Mancha Negra: The Black Stain”

“Truth Of Sex”

1998年。デビュー盤の後に、メナースが日本だけの発売という形で残したアルバム2枚の内のひとつ。
この曲はブーツィーのベース、メイシオのサックスと完全にPファンク。ブーツィー裏方に徹しての端正な(無記名な)ベース・プレイです。
ブーツィーが目当てということであれば、デビュー盤 “Doghouse” の方が露出度も高いでしょうか。

マルチ・プレイヤーで自作自演、プロデューサーでもあるメナースは、Pファンクという括り以上に、このアルバムでも多彩なゲスト(Don Blackman、Vernon Reid、Keziah Jones)を招いてプレイしています。

メナースの日本発売アルバムのもうひとつが、

Zoopadelica featuring Menace “The Life And Times Of One Chocolate Baby”

1993年。こちらの “Motown” にブーツィー参加。デトロイトの街を、有名なロックのリフをもじって歌っています。
さてメナースの次作はいつ? 曲のストックに困ることはない才人だと思いますが。


2017年4月25日火曜日

Andre Foxxe “I'm Funk And I'm Proud”

“Pizzazz”

1993年。アンドレ・フォックスの日本だけで発売されたソロ作。当時のPファンク・ブームのたまものですね。

小品ですがベース、ギター、キーボード、ドラム・プログラムをブーツィー、という一曲。
打ち込みのチープな音は80年代の録音のような印象で、ジョージ・クリントン親分の “Computer Games” や George Clinton Presents “Our Gang Family” に収録されていても違和感はないかも。

元々は1986年にリリースされた12インチ・シングルの The A Foxxe Jam “Pizazz/Black Beach” でした。9分30秒ほどあったものが、こちらでは5分30秒ほどに短縮されて再録。
右チャンネルから滑りこんでくるリズム・ギターが何気なくカッコ良い。のですが、アルバム版ではエンディングぎりぎりに少し聴けるのみ。


2017年4月24日月曜日

Ground Zero “Future Of The Funk EP”

1991年。EPとあるように6曲入りのミニ・アルバム。Featuing Bootsy Collins と、ブーツィー参加(と公認)であることを強くうたっています。
ブーツィーがどこまで後押ししたものか、クレジットのようにPファンクの大ネタが使われています。ネタというかそのまんまの流用なので。本人参加とはいえ、オリジナルになにかを足したというものでは、、、。
グラウンド・ゼロのラップとブーツィーのボーカルは共に勢いあって元気。

1. Lettin Ya Know (Hampin’We Will Go) - Radio Mix
contains samples from “Disco To Go”
2. Show N Tell
contains samples from “Pumpin It Up”
3. Nuthin To It
contains samples from “Agony Of Defeat”
4. Lettin Ya Know (Hampin’ We Will Go) - P-Mix
5. Grim Reaper Prelude
6. The Zone Of Zero Funkativety
contains samples from “Mothership Connection”


2017年4月23日日曜日

Sweat Band “Sweat Band”

1980年。初CD化は1994年、日本のみで。
ブーツィーがホーニー・ホーンズと組んで送りだしたアルバム。Wikipedia によると “P-Funk Spin Off Act” とある。また、アルバム “Ultra Wave” と同じ週にリリースされたとも。

プロデュースはブーツィー。アレンジ担当もフレッド・ウェズリー(Fred Wesley)と連名で、他にベース、ドラム、ギターも。ブーツィーの陣頭指揮によるサウンドなのですが、アルバム “Ultra Wave” やゴッドモア Godmoma の “Here”(1981年)に比べれば、参加メンバーとのバンド構成を活かした音に。

ギターでマイケル・ハンプトン(Michael Hampton)、ゲイリー・シャイダー(Garry Shider)。キーボードにバーニー(Bernie Worrell)、レザーシャープ(Joel “Razorsharp” Johnson)等々も参加。ボーカル陣多数。
クリントン親分というヘッダーのない見本でしょうかこれは。


Godmoma “Here”

1981年。長らく待たされた末の2012年に、ようやく日本限定でCD化。輸出禁止と明記されています。
女性コーラス・トリオのゴッドモマですが、その名前が主役にならないのはPファンク系の常。プロデュースに、ベース、ギター、ドラムはブーツィー。

サポートとして、ギターにキャットフィッシュ(Phelps “Catfish” Collins)、キーボードにレザーシャープ(Joel “Razor Sharp” Johnson)、ホーン隊はフレッド、メイシオ、といつもの名前も。
バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)がいない、というのもこのサウンドの特長と言えるでしょうか。

このアルバムは、ブーツィー自身のアルバムである1980年の “Ultra Wave” と、1982年の ”The One Giveth, The Count Taketh Way” の間を埋めるサウンドを聴くことができる、というのが最大のポイント。
アルバム・タイトル曲の “Godmoma Here” を始め、“Hands Up (Punk Funk)” のベース・プレイや大団円を迎える “Godmoma Of Love” まで、ブーツィー好きには聴きどころ満載です。


Space Cadets “Da Bomb”

1981年のオリジナルLP盤の7曲に、さらに未発表7曲を追加という充実の内容で、1999年にヨーロッパにてCD化されたもの。
スペース・カデッツ(士官候補生)の中心人物は、プロデューサーおよびギターのNairobi Sailcat。ピアノ、クラヴィネットでバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)、そしてドラムのタイロン・ランプキン(Tyrone Lampkin)がPファンク本家から参加。ベースはT.M. Stevens、などなど。

Pファンクがらみで紹介されるアルバムですし、実際それらしかったり、実にブーツィーを思わせるスロー曲まであります。
Pファンク本家(ここでは候補生に対する士官クラスか)からの関係とか位置づけはともかく、これは気持ちよくダンサブルに聴かせてくれる一枚。80年代に向けた、バーニーの代表的な仕事でしょうか。

万人向けのサウンドということはなく、ジャケットのイラストなど含めて、やっぱりPファンク好きでなければヒットしないだろうというセンスですけど。(MAU-MAU MYSTERY SHIP とか)


2017年4月15日土曜日

Eddie Hazel “Rest In P”

1994年。これもやはり当時のブームの流れの中の一枚。
ある曲が完成するまでの経過だったり、ちょっとしたリフを基にしたセッションだったりと、エディ・ヘイゼルのギターを主役に、Pファンクの舞台裏が覗けます。

曲毎の細かなクレジットはないものの、アルバム中でも特に印象的なベースが聴けるのが “No, It's Not!”。これはファンカデリックのアルバム “Hardcore Jollies” に収録のナンバー “Comin’ Round The Mountain” に至る発展途中のセッション。カッコ良いです。


2017年4月13日木曜日

The Horny Horns “The Final Blow”

“Lickity Split”
“The Cookie Monster”

1994年。これも当時のブームに乗ってリリースされたホーニー・ホーンズの未発表曲集。

“Lickity Split” は、Pファンク・オールスターズ本体の未発表曲集の2枚め “Plush Funk” に収録されていた曲のロング・バージョン。5分44秒だったものが、9分を超える長さに。

1979年の録音ということで、ドラムにタイロン・ランプキン(Tyrone Lampkin)、ギターにマイケル・ハンプトン(Michael Hampton)、そしてバーニーのクラヴィネットとブーツィーのベースという強力メンバー。メイシオとフレッドの吹きまくりを支える、クールなホット・ナンバーです。

“The Cookie Monster” では、ブーツィーのぐにょぐにょベースの暴れ具合が楽しめます。曲としては発展途中な分、ラバーバンドの方に収録されてもOKのような、のたうちっぷり。
このような蔵出しのネタや、あるいはドラムだけ、ベースだけのチャンネル、といった素材が、まさに山のように眠っているかと思うと。クリントン親分はそりゃ大変です。