2018年11月25日日曜日

Vynil “flea market”

“Summertime”
“The Code Is Cold”
“Haunted House”

2001年。ヴァイナルという名のインスト・バンド、2作めのアルバム。バーニー参加が3曲。
“Summertime” はジョージ・ガーシュウィンのあの有名曲、“Haunted House”(お化け屋敷)のどちらも共に7分を超える長尺曲で、レゲエのビートも活かされた凝ったもの。
“The Code Is Cold” は1分ほどのセッション演奏の断片。

他にレス・クレイプール(Les Claypool )をゲストに迎えた曲もあったりと、凝っているし真面目そうな演奏なのですが、どうも地味、少々ハッタリに欠けるかという印象もあり。
毒っ気やヤマっ気、色気みたいなものは人を踊らせるには大事であります。とPファンク好きはつい考えてしまいますが、あんな道化師バンドではないよと返されるかも。

アルバムのインナーには、タイトル通りにノミの市 “flea market” を描いたイラストが掲載。雑多な人物に売り物が並べられていますが、中にはレコード盤も。サンタナ(のキャラヴァンサライ)や、イエス、レッド・ツェッペリン、それにウッドストックが見て取れます。
このような記号の出し方にも真面目ぶりが感じられるような。単なるイラストレーターの勝手な遊びかもしれませんが。



2018年10月28日日曜日

Manou Gallo “Afro Groove Queen”

“ABJ Groove”
“Leve-Toi Et Move”
“Come Together”
“Dalla”

2018年。マノウ・ギャロ(マノウ・ガロ)はブーツィーのアルバム “World Wide Funk” (2017年)でも目玉となるナンバー “Bass-Rigged System” で、スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)、ヴィクター・ウッテン(Victor Wooten)らと並んでプレイを披露していたベース弾き。
彼女の4枚めとなるこのアルバムには、なんと4曲にブーツィーの名前が。

ブーツィーは “ABJ Groove” と “Come Together” ではしっかりボーカルを聴かせてくれます。後者にはチャックDも参加。他の2曲の方は、実に残念ながらこれぞという存在は聴けず、どうも不明であります。

ヨーロッパ発のアルバムのサウンドは基本、アフロ・ポップなインスト。ほどよくエスニックを効かせてファンクだったりジャズだったり。
ブーツィー目当てとしましては、きっちりとブーツィーがベースを弾く一曲ぐらいあれば、とか、ここはバーニーの出番なのにな、などとつい考えてしまいますが。
ともかく、主役はこれからが楽しみなベース弾きであります。やはり米国を狙っていくのでしょうか、とか。


2018年10月13日土曜日

Zak Morgan “The Barber Of The Beasts”

“Case Of The Dry Markers”

2012年。ザック・モーガンは子ども向けのユーモアや言葉遊びに満ちた音楽をやっている方のよう。ブーツィーとは同郷となるオハイオはシンシナチで活動しており、聴けば確かに両者相通ずる部分も多いのかなと思わせる一曲であります。

ジャケットを飾るけっこうキツめのイラストに、“ケモノ達の散髪屋” とか “乾いたマーカーペンの場合” といったタイトル、これらのセンスも米国風でしょうか。
PVもあってブーツィーも楽しげに歌っておりますが、映像なしの音だけできっちりと聴かせてくれる仕上がりです。

かってクリスマス・アルバムを作ったブーツィーですから、次作は子ども向けという土俵に挑んでみるのも有りかも。ぜひ聴いてみたい。


2018年9月22日土曜日

Asterism “Ignition”

“Blaze”
“Warning”

2018年。ブーツィーによるプロデュースの2曲。バケットヘッドのギターに、にぎやかしでブーツィーの声がはやしたててきます。完全にロック方面のあれで、ブーツィーやバケットヘッドのアルバムではお馴染みの。このスタイルに、日本の若手が食いつくとは。

曲のエンディング間際に、スペース・ベースがぐっと前に出てきたりします。幕引きを飾る挨拶みたいにほんの少しだけで、ここからというところ。
欲を言えば、曲を破壊するノイズとして展開してくれるパート2などあれば楽しいのですが。あるいはバケツ野郎の狂った部分とかも、もう少し、さわりだけでも。アステリズムというこのバンドがどこまで行くのか、でしょうか。

ジャケット裏ではブーツィーとバケットヘッドの存在が大きくアピールされてますが、90年代の頃のようで懐かしくもあり。まさかこの二人を売りにするとは、どこに向けて?


2018年9月17日月曜日

Bernie Worrell “Free Agent - A Spaced Odyssey”

1997年。自由契約選手としてブーツィー以上にさまざまな場に出没するバーニー、5作めのソロ・アルバム。ジャケットのイラストを見ると、Magical Dragon にまたがってのバーニーの音の旅行記という想定でしょうか。

2曲のみをビル・ラズウェル(Bill Laswell)が副プロデュース。共演ゲストもバケットヘッドが一人目立つぐらい。
気ままながら、じっくりと聴かせる、落ち着いた一人旅であります。

全6曲ですが、曲と曲の間には鍵盤によるソロ演奏コーナーもたっぷりと配置されているので、曲数以上の内容が展開される流れ。90年代にはすでにビル・ラズウェルと共同でプロデュースした2つのアルバムがありますが、そこで上げられたハードルもけっこう高いですし。続く3作めとしては、これは少々地味めかもしれません。

この後、もしもビル・ラズウェルが2000年代に入ってバーニーとの次作を製作できていれば、どんなアルバムにまとめ上げたことでしょうか。
Magical Dragon にまたがってのバーニーというモチーフは、ヴァイナル(Vinyl )の “Fogshack Music Volume 1” にも登場することに。


2018年8月10日金曜日

Vinyl “Fogshack Music Volume 1 Featuring Barnie Worrell And The Rond Brothers”

2006年。ビニールとは、柔らかいプラスティックの総称らしいですが。こちらはトロンボーン、サックスの管楽器も含むインスト・バンドの名前。ビニールでもヴァイナルでも、検索向きとはいえない、ややこしいバンド名であります。

バーニー・ウォーレルとロンド・ブラザーズ(Rond Brothers)を含む、というサブタイトルのこのアルバムの説明も何やらややこしそう。プロデュースが誰で、リミックスがどうとか。バンドの他のアルバムとは違う企画ものなのでしょうか。

リミックスされていますが、曲はファンクやレゲエ等、真面目そうな演奏です。あくまでバーニーはゲストなのですが、聴きどころも多し。それだけに、せっかくだから、長丁場になっても、もう少しバーニーのプレイをじっくり聴きたいと思ってしまう部分も。ジャケットや中面のイラストではまるで主役扱いですし。

この絵柄をよく見ると、バーニーの肩ごしに二人組のシルエットの方が実は目立っていることに気づきます。これがロンド兄弟か。なにやら冥界のような仄暗い背景、すると手前のバーニーはすでに異界の住人、霊魂か。兄弟、黄泉の国に音の魔術士を訪ねるの図。実は怖い絵。


2018年8月6日月曜日

Marisa Monte “Mais”

1991年。マリーザ・モンチとアート・リンゼイ(Arto Lindsay)に釣られて、ファンク好きの多くがブラジル音楽の世界に引き込まれていったことと思います。そのきっかけとなった一枚がこれ。
マリーザ・モンチのこの後に続くアルバムはどんどんブラジルとかバイーア度が高くなって、評価も高まりますが、ニューヨークとブラジルにまたがって制作されたというこのアルバムの持つバランスや気軽さも変わらずに魅力的であります。

全12曲中、バーニーの鍵盤とメルヴィン・ギブス(Melvin Gibbs)のベースの組み合わせが聴けるのは4曲。アート・リンゼイのノイズも、それに坂本龍一も聴けますし。
北米と南米とか、フォーキーな曲とファンクな曲とか、聖と俗とか。
このアルバムの魅力は今も尽きません。

それに今やほんとに身軽になったバーニー、カリブ海から赤道といったこの辺りをよく飛びまわっているらしいです。

2018年8月2日木曜日

DJ Logic And Jason Miles “Global Noize”

2008年。ターンテーブリスト(これが皿まわしと呼ばれたり、スクラッチマイスターと称されたり)と、ジャズ系のキーボーディスト/コンポーザーとの二人組によるアルバム。
ジャケットのデザインといい(よく見るとチープで)、クラブ向けのちょっとマニアなサウンドを聴かせそうですが。

インドはボンベイ出身という女性ボーカルもいたり、エキゾチックな面もありますが、基本はダンサブルなインスト集。人力による演奏がたっぷりで、例えばビル・ラズウェルをぐっと親しみやすくしたような取っ付きやすさです。

バーニーの参加は2曲(2曲め “Spice Island” と9曲め “Pool Of Honey”)。曲も良いし、いつものバーニー通りの指さばき、鍵盤使いで充分に楽しめます。
なのではありますが、このアルバムの最大の売りといえば、やっぱりオープニングの1曲めでしょうか。
ミシェル・ンデゲオチェロ(Me'Shell NdegéOcello)のベース、ヴァーノン・リード(Vernon Reid)のギター、という顔ぶれ(バーニーはいない)による “A Jam 4 Joe”。
ミシェルには珍しいアッパーなカッコ良さ、ぐいぐいと走るファンクなベース・プレイが聴きもの。


2018年7月8日日曜日

Kali Uchis “Isolation”

“After The Storm (feat. Tyler, the Creator & Bootsy Collins)”

2018年。カリ・ウチスのデビュー・アルバム。
彼女はブーツィーの最近作であるアルバム “World Wild Funk”(2017年)に収録のスロー・ナンバー “Worth the While” で、その歌声を披露していました。PVにもたっぷり登場します。

このデビュー・アルバムのタイトルは “ひきこもり” とでも訳しましょうか。ブルーベルベットかサテンの敷かれた彼女の自室は、さまざまなカクテルも取り揃えられて、ゆるい気持ち良さに溢れています。普段は洋楽を聴かないような女子でも、何気なく聴いていそうなアルバムです。

“After The Storm” には、ボーカルを軽く乗せて、加えてPVにも少しだけ登場しているブーツィーですが。この曲は、同じゲストでもタイラー・ザ・クリエイターの方が役どころが上。ラップも長く入れていますし、PVでも個性全開です。

タイラー・ザ・クリエイターといい、ブーツィーといい、カリ・ウチスといい、三者三様のキャラクター合戦であります。
次作ではどのような方向性に絞りこんでいくのか楽しみなカリ・ウチスですが、できれば、ブーツィーにはベースをプレイして欲しいところ。


2018年6月24日日曜日

Malina Moye “Bad As I Wanna Be”

“K-Yotec”

2018年。左利きのフェンダー弾き、マリーナ・モアイ。
彼女の公式サイトを見るとこんな紹介文が。マリーナ・モアイはマザーシップの奥の間で秘密裡に実験された、ジャネット・ジャクソンのように歌い、プリンスのようなパフォーマンスを見せ、ジミとS・レイ・ヴォーンのスピリットを持っている。と、まあ、“Rock & Roll Baby” という6曲入りEPに対するラジオ局のレビューを引用したものですが、すごい勢い、激烈な宣伝文句です。

確かに女版なになに(ジミとか、あるいはプリンスとか)と枕詞もつけやすい路線でしょうか。アルバムにはジミのカバー “If 6 Was 9” もありますが。まだ今は、なにかに形容されないといけないのかな。

ブーツィーが軽く声を乗せたこの曲は2014年にPVの映像版と共に配信されていたもので、今回こちらのアルバムCDにも収録。
映像無しの音だけとなると、この声が浮いて聴こえるかも。ブーツィー抜きのアルバム版にした方がバランスが良いような気も。
それではブーツィーのお墨付きをもらったような形にならないですけど。何年後かに、問答無用の貫禄のロック姉御となってからでも、スペース・ベースとがっちり共演すれば良いのかなと。


2018年6月15日金曜日

Nicole Renée “Nicole Renée”

1998年。歌うだけでなく、プロデュースにアレンジ、作詞作曲も自分で手がけるというニコール・レネーが唯一残したアルバム。
これがデビュー作であるわけですが、バックの参加メンバーにひと癖ある顔ぶれが見受けられます。

なんといっても全15曲中のアタマの6曲に、バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)が。
加えて、2曲のベースがダグ・ウィンビッシュ(Doug Wimbish)だったり、ドラムにスティーブ・ジョーダン(Steve Jordan)やウィル・カルホーン(Will Calhoun)の名前があったり、という具合。

プレイとしては、さほどバーニーが目立っているわけではありませんが、このアタマの6曲が印象的。これでひとかたまりのヤマ場、勝負どころになっているような。
プロデューサーでもあるニコール・レネーのボーカルも、アルバム後半の残りの曲と比べて強力に聴こえます。

この声はクセがあると評して良いでしょう。例えばジョージ・クリントン親分ならば、どのように料理するでしょうか。仮にPファンク・オールスターズの方で歌っていたとしても、それも充分に有りじゃないか、という声です。けっこうケッタイ、もちろんホメ言葉です。


2018年6月10日日曜日

Bernie Worrell “Pieces Of Woo:The Other Side”

1993年。バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)、4作めのソロ・アルバム。同年の “Blacktronic Science” と同じく、共同プロデュースはビル・ラズウェル(Bill Laswell)。
バーニーの鍵盤による音宇宙を、黒い科学と名づけてパッケージした “Blacktronic Science”。その一枚では収まりきらない広大な魅力を、さらにカバーしようとした、断片:違う側面というタイトル通りのアルバムです。

ドラムにベースといったリズム、ボトムの編成はありませんが、フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)による精緻なホーン・アレンジメントを幕開けに、ウマー・ビン・ハッサン(Umataro Bin Hassan)の語り、バケットヘッド(Buckethead)の生々しいギター、アミナ・クローディン・マイヤーズ(Amina Claudine Myers)のリリカルなオルガン等々。
全7曲のどれも、バーニーと招かれたゲスト・プレイヤー達との絡みが聴きどころです。

各自、各曲が等しく断片となって、バーニー独自の美しく、禍々しい、ストレンジといわれる音宇宙を積み上げていきます。
やっぱり “Blacktronic Science” が詰まっていますし、それをPファンクと呼んでも構わないでしょう。じっくりと楽しませてくれます。


2018年4月7日土曜日

Dwayne Dolphin “Essence of an Angel”

2012年。ドゥエイン・ドルフィン(Dwayne Dolphin)。フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)のバックでは、ドラムのブルース・コックス(Bruce Cox)と共に手堅く絶妙にファンクするベースを聴かせてくれる存在です。

基本はジャズ畑のお方、リーダー作の “Portrait of Adrian”(1993)や、ブルース・コックスと組んだ “Three Of A Kind”(1994)といったアルバムではウッド・ベースに持ち替えて、スモール・コンボによる伝統的なジャズをプレイしています。
けしてファンク好きが期待するような尖った音ではなく、日常的な、かって新伝承派などと日本で呼ばれたものに近いかもしれません。

近作であるこのアルバムはジャズ・フュージョンなサウンドで、ホール & オーツの “Sara Smile” とか、ずばりスライの “If You Want Me To Stay”、それにジャネット・ジャクソンの “Anytime, Anyplace” といった、ポップな曲、どこかで聴いたことのあるような有名曲のカバーも含まれています。
そそられる選曲でありますが、ベースが魅力的にバウンスするような曲がもう2、3曲ありますと、さらに好みといいますか、話題にもなるかと思うのですが(一部のファンク好きにですが)。

ドゥエイン・ドルフィンは強烈にオリジナリティを主張するようなタイプではないのかもしれません。そのベース・プレイからすれば、黒々としたファンク・マスターぶりを勝手に期待してしまいますが、どうもこちらの耳も毒され過ぎているようです。
やっぱりジャズ畑に生きる人なのでしょう。米国のスタンダードなごく一般のジャズ・ファン層といえば、それはそれはすごい人口数でしょうし。求められるものもそれは厳しいでしょう。

ドゥエイン・ドルフィンが大きく踏み外して、もっとこちらの線で弾けてくれるのはこの次でしょう。「払ってくれれば何でもお望み以上を聴かせてやるよ」と返されるでしょうか。


2018年4月6日金曜日

Fred Wesley “Amalgamation”

1994年。自身のアルバムでは、JBズのリーダー、アレンジャーだった頃から変わらない、落ち着いた音づくりを聴かせてくれるフレッド・ウェズリー(Fred Wesley)。ソロ活動が活発になってきた90年代前半のアルバムです。
この頃は、ジャズ系のアルバムを多くリリースするドイツのレコード・レーベル、マイナー・ミュージック(Minor Music)から、アルバムを発表していました。

このアルバムのポイントは、ドラムのブルース・コックス(Bruce Cox)、ベースのドゥエイン・ドルフィン(Dwayne Dolphin)、ピアノのピーター・マドセン(Peter Madsen)というバンドの顔ぶれでしょうか。

三人共にリーダー・アルバムを持つジャズ・プレイヤー達です。この三人が集まった小粋なジャズ・アルバム “Three Of A Kind” という一枚も、同じ1994年にマイナー・ミュージックからリリースされています。

彼らを率いるフレッド・ウェズリー、もちろんJBズからのファンの期待にも忘れず応えていますし、有名曲 “Careless Whisper” のじっくりと丁寧なカバーも聴かせどころ。
ヒップホップの全盛期に、あえてルーツであるジャズへの志向も強めながら、全員が一体となって生みだすサウンドの気持ち良さは、アマルガム(合成、混合)というアルバム・タイトルの通りです。



2018年3月24日土曜日

Monie Love “Down To Earth”

“Monie In The Middle”
“It’s A Shame (My Sister)”
“I Do As I Please”

1990年。ネイティブ・タン一派とされるモニー・ラブのデビュー・アルバム。ブーツィーはギターで3曲に参加。
ブーツィーとヒップホップといえばやっぱりこの後のアイス・キューブやスヌープとか、西海岸勢とのつきあいが印象強く、またはクリスチャン・ラップの系統に多く参加しているとかはあっても、東海岸とかニュースクールというイメージは薄いですね。この年、ディーライト(Deee-Lite)とも組んでいるブーツィーであります。
残りの大半の曲にはアフリカ・バムバータ(Afrika Baby Bambaataa)が関わっています。

デトロイトのコーラス・グループ、スピナーズ(Spinners)70年のシングル “It’s A Shame” を大ネタに使い、そこにブーツィーのノリを持ちこむというのはアイディアですね。ヒップホップとかソウルとか、東か西かとか、名称や時代は脇に置いておいて、ブラック・ミュージックのあのウキウキするようなノリが楽しめます。


2018年3月21日水曜日

Sly & Robbie “Language Barrier”

1985年。スライ&ロビーのこのアルバムは、レゲエという枠を越えて世界に売り出そうと制作された、3枚のアルバム中の最初の一枚。プロデュースはビル・ラズウェル(Bill Laswell)。
バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)を始めとして、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、マヌ・ディバンゴ(Manu Dibango)、アフリカ・バムバータ(Afrika Bambaataa)といった多彩な名前がゲストとして並んでいます。ギターでマイケル・ハンプトン(Michael Hampton)も。

バーニーの名前がクレジットされているのは2曲。
これがアルバムの顔となるようなオープニングとエンディングの曲で、特に締めくくりを飾る曲 “Get To This, Get To That” は、バーニーのものではないかと思われる歌声まで聴ける好曲。12インチ盤にはダブ・リミックスまで収録されており、このようなバージョンもまとめてオマケにして再発していただければ良いのですが。

ハービー・ハンコックとの1983年の “Rockit” でヒットを飛ばしたビル・ラズウェルのプロデュース業ですが、同じ年のノナ・ヘンドリックスのアルバム “Nona” には、ビルとバーニーの名前が別個ですがすでに見受けられます。
そしてスライ&ロビーの1987年のアルバム “Rhythm Killer” が、再びビルのプロデュース。バーニーに加えてブーツィーまでもが参加することに。
バーニーとビルのつきあいはその後も長くずっと続きます。


2018年2月12日月曜日

Colonel Claypool’s Bucket of Bernie Brains “Big Eyeball in the Sky”

2004年。プロデュース、ベースとボーカルにレス・クレイプール(Les Claypool)、ギターにバケットヘッド(Buckethead)、ドラムにブレイン(Brain)、そして鍵盤がバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)という顔ぶれ。
ブーツィーも参加していたバケットヘッドのアルバム “Monsters & Robots”(1999年)を始めとして、バーニー以外の三人は幾度か共演を重ねている間柄です。

くせ者、変わり者、変態などと称されることも多いプレイヤー達でありますが、ノリの良さは確か。このアルバムでも、独特のスピード感溢れるプレイを楽しませてくれます。

バンド名というか名義が “クレイプールによる〜” ですから、白人らしいロックのアンサンブルであります。あのプライマス(Primus)とプラクシス(Praxis)の合体、と言いますか、ここにバーニーがどのように絡んでいるのか聴きどころ。
この手の音が好きなのは少々マニアックなロック・ファンではないかと思いますが、ファンク好きもぜひ一度。

2018年1月8日月曜日

Sheila E. “Iconic: Message 4 America”

James Brown Medley (Talkin’ Loud And Sayin’ Nothing, Mama Don’t Take No Mess, Soul Power, Get Involved, Super Bad)

2017年。ビートルズにスライ、マーヴィンにスティーヴィー、カーティスにアラン・トゥーサン、そしてプリンス、と豪華なカバー曲を集めたアルバム。トランプ政権下の現状にぶつける、だとしても、大丈夫?と心配になるほど、あまりに直球な有名曲のパレードであります。
シーラ E ご本人は臆するどころか、楽しげに(ヘビーにならないよう)プレイしていますが。
そんなカバー集にセレクトされた、御大J.Bのメドレーにブーツィー参加。

ベース、ギター、ボーカルとしっかりバックアップしていますが、ここは曲とシーラ E が主役。それに、やっぱりシーラ E の音づくりはドラムやパーカッションといった打楽器を立たせたもの。
このカッコ良いメドレーを、さらにライブで20分や30分も延々とやられたら最高でしょう。地面の下で、御大J.Bもカタカタ踊りだします。

ブーツィーはJ.B方面に呼ばれましたが、Pファンクのカバーも収録。
“One Nation Under A Groove / Mothership Connection”
ジョージ・クリントン親分がボーカルで参加。きっちり(しすぎなほど)歌っています。