2018年4月7日土曜日

Dwayne Dolphin “Essence of an Angel”

2012年。ドゥエイン・ドルフィン(Dwayne Dolphin)。フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)のバックでは、ドラムのブルース・コックス(Bruce Cox)と共に手堅く絶妙にファンクするベースを聴かせてくれる存在です。

基本はジャズ畑のお方、リーダー作の “Portrait of Adrian”(1993)や、ブルース・コックスと組んだ “Three Of A Kind”(1994)といったアルバムではウッド・ベースに持ち替えて、スモール・コンボによる伝統的なジャズをプレイしています。
けしてファンク好きが期待するような尖った音ではなく、日常的な、かって新伝承派などと日本で呼ばれたものに近いかもしれません。

近作であるこのアルバムはジャズ・フュージョンなサウンドで、ホール & オーツの “Sara Smile” とか、ずばりスライの “If You Want Me To Stay”、それにジャネット・ジャクソンの “Anytime, Anyplace” といった、ポップな曲、どこかで聴いたことのあるような有名曲のカバーも含まれています。
そそられる選曲でありますが、ベースが魅力的にバウンスするような曲がもう2、3曲ありますと、さらに好みといいますか、話題にもなるかと思うのですが(一部のファンク好きにですが)。

ドゥエイン・ドルフィンは強烈にオリジナリティを主張するようなタイプではないのかもしれません。そのベース・プレイからすれば、黒々としたファンク・マスターぶりを勝手に期待してしまいますが、どうもこちらの耳も毒され過ぎているようです。
やっぱりジャズ畑に生きる人なのでしょう。米国のスタンダードなごく一般のジャズ・ファン層といえば、それはそれはすごい人口数でしょうし。求められるものもそれは厳しいでしょう。

ドゥエイン・ドルフィンが大きく踏み外して、もっとこちらの線で弾けてくれるのはこの次でしょう。「払ってくれれば何でもお望み以上を聴かせてやるよ」と返されるでしょうか。