2016年10月29日土曜日

Third Rail “South Delta Space Age”

1995年。バーニーがメンバーとして参加したこのアルバム、顔ぶれの組み合わせが素晴らしい。主役はジェームス・ブラッド・ウルマー(James Blood Ulmer)。ドラムにジガブー・モデリスト(Joseph “Zigaboo” Modeliste)。鍵盤にバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)とアミナ・クローディン・マイヤーズ(Amina Claudine Myers)。

このメンツにこのバンド名、このアルバム・タイトル。とにかく期待度がすごい。この盛り上がりだけで充分楽しめます。

プロデュースが、J.B.ウルマーとビル・ラズウェル(Bill Laswell)。
ビル・ラズウェルはとにかく夢の企画を現実にしちゃいますが、大事な夢だからこそ大切に育てるよりもスピード重視なんでしょう。バーニーはそれに応えられるのでしょうね。
ウルマーもビルのベースも、ファンクな疾走感が気持ち良く。個々のプレイは黄金級です。
アートワークが横尾忠則とのことですが、これはもう少しライトな感じの方が内容に合っているような。

2016年10月25日火曜日

Baby Elephant “Turn My Teeth Up!”

2007年。バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)とプリンス・ポール(Prince Paul)のコンビ。ここにもPファンクへのオマージュが詰まっています。

ジョージ・クリントン、ショックG、イエローマン、ノナ・ヘンドリックス、デビッド・バーンなどなど、ゲストも多彩。ジャンル的にファンクとかヒップホップとかひとつに指定しづらい音ですが、主役であるバーニーのサウンドがきちんとアルバムにまとめられて聴き応えあり。
もう少し派手というか、ハッタリをかましても良かったのかもしれませんが、じっくり鍵盤プレイが楽しめます。指定しづらい音こそ、つまりPファンクの音でした。

でもとにかくバーニーには、ブーツィーとの連名共作アルバムを一枚、形にしておいて欲しかったですね。

Bernie Worrell “Improvisczario”

2007年。妙なアルバム・タイトルですが、improvisation? 即興、アドリブ、悪く言えば即席、インスタント。バーニーを中心とした、シンプルなバンド編成によるジャム演奏が楽しめます。
印象としては、若手のロック野郎たちがバーニー大兄を担いでPファンクへの愛を表現したもの、でしょうか。

各曲盛り上がりはありますが、ちょっと型通り? まだまだラフな仕上がりという段階ではありますが、それは承知の上でのこのアルバム・タイトルなのでしょう。バーニーの鍵盤からは、くるくるとファンカデリックやパーラメントの曲のフレーズやらも飛び出します。独壇場をお気軽に楽しむとしましょう。

バーニーには、ブーツィーとの連名共作アルバムを形にして欲しかったですね。

2016年10月24日月曜日

moog - original film soundtrack

“When Bernie Speaks” Bernie Worrell and Bootsy Collins

2004年。moog生誕50周年を記念したドキュメンタリー映像作品『moog』のサントラ。
実はCD2枚組で、オマケとして7曲入りボーナスディスクが付いています。
そちらは、EL&P、YESとかDEVOとか聞いたことがあるような名前の方々ばかり。ところが本編の方が聞いたこともない面々で、マニアなら分かる? その中にバーニーとブーツィーのコンビが混じっています。

バーニーが喋るよ、という曲名ですが(インタビューに応じて語るわけではなく)もちろんシンセをプレイすること。バーニーが操り弾き倒す演奏はおなじみのワザが惜しみなく、くるくると展開していく、ブーツィーも歌うように喋る喋る。カッコ良いです。

バーニー主体の演奏は、ブーツィーと渾然一体となった最強コンビぶりを聴かせてくれます。このコンビは結成何十周年だろうか?

2016年10月23日日曜日

Victor Wooten “Soul Circus”

“Victa”

2005年。ヴィクター・ウッテン、またブーツィーをゲストに。なかなか3回めというのはないと思うけど。ブーツィーはボーカルのみ。

さてヴィクター、もう少し普通に名前が広く知られるといいですね。日本盤の宣伝コピーにある「ベース・ウィザード」はカッコ良いし、その通りだけど。なかなかジャコのようにはいかない。

ところでブーツィー、2000年代のアルバムには(ヴィクターを含めて)多くのジャズ・プレイヤーを招いてはソロ・パートを用意しておりますが、自分がベースを弾くのが控えめになっていく一方で、腕が自慢のジャズ屋に弾かせては、そりゃあ尚更差がつくというものでしょ。ただテクを披露するだけの、あまり意味のあるプレイとも思えないし。
そしてヴィクター、このアルバムではまた多くのファンクなベース・プレイヤー達にトリビュートを捧げています。そのやり方というのがまた素晴らしくて。魔術師です。

Victor Wooten “Yin-Yang”

“What Crime Is It?”

1999年。ヴィクター・ウッテンのソロ3作め。両者初顔合わせとなるこの一曲、ブーツィーはボーカルのみ。さりげなく良い曲。他にもしなやかなファンクが楽しめます。
だけどアルバムのCD2枚組は、ブーツィー目当ての者にはちょっと長い部分も。

2016年10月22日土曜日

Victor Wooten “Live In America”

“Are You Ready Baby?”

2001年。ヴィクター・ウッテンもよく分からない人かな。ジャズ、フュージョン畑ではすでに最高ランクの評価を得ているベース・マスター。そういう人がファンク・マスターにも憧れて、ストレートなダンス曲を発表することはよくあることですが。

このライブ盤でも予想以上にお客を盛りあげるファンク野郎ぶりが聴けます。J.B御大からスライにプリンス、ジミからブラック・サバスまで登場させて、逆にジャズ・ファンからはやり過ぎに思われるくらいの芸人根性です。

そしてCD2枚組のボリュームで、それなりに集大成となるだろうアルバムのトップの曲が、ギター、ベース、ボーカルとブーツィーが担当。スタジオ録音のこの曲に導かれるまま、ライブが始まるという展開。
言ってみればステージの呼びこみ役を完全にお任せした状態なわけですが、これがまたあの “Ahh...The Name Is Bootsy, Baby!” を再現するような曲で。

どうしてもこの形にしたかったのでしょうね。ジャズ・ファンにも、ブーツィー好きのファンクのファンにも挑んでいるということでしょうか。
ヴィクター自身の曲はすっきりと、あくまで上品。聴衆であるお客さんもおそらく、踊るというより聴きにきた、という皆さんでしょうか。


2016年10月17日月曜日

Richard ‘Kush’ Griffith “Kush: Blues & Rhythm. Volume 1: Back in the fray”

“The Last Soulman In The Hood”
“That was Then, This Is Now”
“A Little Bit Of Money And A Whole Lotta Booty”
“How Do You Like Me Now?”
“Captain P’s Love Blues”

2002年。長いつきあいとなるリチャード・クッシュ・グリフィスのソロ・アルバム。ブーツィーのスタジオでほぼ録音したようで、ブーツィーはボーカルにドラムとかギターも担当。ギターは他にキャットフィッシュ(Phelps “Catfish” Collins)とゲイリー・シャイダー(Garry Shider)も。鍵盤にレザーシャープ(Joel “Razor Sharpe” Johnson)、そしてフレッドとメイシオ(Fred Wesley,Maceo Parker)はもちろん。

上記の5曲には直接、ブーツィーの名前がクレジットされていますが、アルバム制作をかなりサポートしたようです。続編はまだの模様ですね。


Fred Wesley “Full Circle From Be Bop To Hip Hop”

“Chocolate Soup”
“Funk School Hymn”
“Funk School”
“Like This, Like That”

1998年。フレッド・ウェズリーのこのアルバム、「ビバップからヒップホップへ」というタイトルは、まさにJBズの音楽を指したものといえます。

JBズは御大J.Bを支えたのはもちろん、ヒップホップ畑にも大量にネタという恩恵を与えてくれました。文字通りにズタズタに切り取られて使い回しされましたが、とにかく大きな存在であります。

このアルバムに手をかしたブーツィーは副プロデュースとしてもクレジット。“Chocolate Soup” の作曲にも名前があり、ギター、トラック作成を担当したこの曲をはじめ、とにかく気持ちが良いインストが並んでいます。
ちなみにインナーに記載された簡単な曲紹介のコメントにあるのは、
“this is a smooth and funky reunion wesley’s horns and bootsy’s space bass”

日本盤は97年のブーツィー “FRESH OUTTA 'P' UNIVERSITY” と同じ時期に発売。

The J.B.’s Reunion “Bring The Funk On Down”

“Up On 45 (Part 1)”
“Mistakes And All”

1999年。JBズのリユニオンという触れ込みですが、JBズ関連のCDというのがまた様々にあって。サックスのセント・クレア・ピンクニー(St. Clair Pinckney)追悼盤でもあるこのアルバムは、クライド・スタブルフィールド(Clyde Stubblefield)と、ジョン・ジャボ・スタークス(John “Jabo” Starks)の黄金ドラマー二人の参加がキモでしょうか。

ブーツィーのからんだ “Up On 45 (Part 1)” は “Doing It To Death” 風のリズム・パターン。“Mistakes And All” もカッコ良いとしかいえないドラムで聴かせます。“Mistakes And All” はボーナス扱いとなっていますが、これは1990年の MACEO “For All The King's Men” でのメイシオのプレイでしょうか。ボトムを差し替えたリミックスみたいなものでしょうか、とにかくカッコ良いですね。

2016年10月16日日曜日

Bootsy’s Rubber Band “Jungle Base”

1990年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)とブーツィーのプロデュース、2曲4トラック入りのミニ・アルバム。MACEO “For All The King’s Men” とは兄弟みたいな関係で、演奏メンバーや制作スタッフのクレジットも一部重複、日本盤は同じ時期に発売でした。

こちらはラバーバンドの名前を復活させて、ホーニーホーンズの4名(Fred Wesley、Maceo Parker、Rick Gardner、Richard “Kush” Griffith)、バーニー(Bernie Worrell)にゲイリー・マッドボーン・クーパー(Gary “Mudbone” Cooper)も。

当時のアシッド・ハウスのサウンドに乗せて、Pファンク・ネタがくるくると展開されます。“For All The King’s Men” と比べてもっと新しい層へのアピールでしょうか。昔のネタをいじるという、やっている事は同じですが。
曲の要所でホーン隊一丸となったフレーズがびしっとキメてくるのは、復活させたラバーバンドの名前にふさわしいですね。

MACEO “For All The King’s Men”

1990年。ビル・ラズウェル(Bill Laswell)とブーツィーのプロデュース、3曲5トラック入りのミニ・アルバム。 J.B御大の “Sex Machine”、“Soul Power” をモチーフにした再演版2曲がメイン。
当時、塀の中に収監中だったJ.B御大を出してやれよ、てな内容で。ブーツィーの打ち込みトラックに乗って、メンバーにバリバリに吹いてもらおうという企画。

メイシオの名前が立っていますが、フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)もいますし、ボビー・バード(Bobby Bird)のボーカルも目立っています。こっそりとあのスライまで鍵盤を弾いていますし。
各人がアレンジの中に収められた感があり、メイシオのブロウを聴くということでは “Roots Revisited” に軍配があがるかな。
やっぱり主役は実はブーツィーのサウンドですか。“Sax Machine” にはバーニーも参加。


2016年10月15日土曜日

Maceo Parker “Roots Revisited”

“In Time”

1990年。メイシオのルーツ再訪。ということでレイ・チャールズやカーティス、チャーリー・パーカーやミンガスをカバーしたアルバム。ジャズとも違うし、もちろんファンクではないし。ソウル・ジャズ、ジャズ・ファンク? とにかく、メイシオのブロウにナツメロな響きは皆無です。

ピーウィー(Pee Wee Ellis)やフレッド(Fred Wesley)のJBズ組も参加。そんなアルバムのラストに収められたオマケがスライのカバー曲、ここにブーツィー登場。スペース・ベース、ギターをキメてきます。ドラムもサックスもライブ感たっぷりの仕上がりでドライブします。

本編はオルガンがベースラインを担当するサウンドなので、全体からは少し浮いた存在ですが、ファンク目当てで聴いた人はこれで満足、最後に落ち着く一曲です。それはそれとして、このアルバムを聴いてオリジナルのミンガスまで聴いてみた、みたいな人が増えたなら良いですね。


2016年10月2日日曜日

Bernie Worrell “Blacktronic Science”

“Flex”
“Time Was”
“Dissinfordollars”
“The Vision”
“Won't Go Away”

1993年。バーニー3作目のソロ作は、共同プロデュースとして大きくビル・ラズウェル(Bill Laswell)がからんで、前作よりもPファンク色が強い方向に。
ジャケットのイラストもそれっぽく。
ジョージ・クリントン親分を始めとして、ブーツィーも全9曲中の5曲にも参加して脇を固めています。

“Time Was” はかの “Aquq Boogie” をモチーフにした再演版。元曲にあるあの印象的なフレーズやリフを取り入れて、カッコ良い曲になっています。
ただ、同じことをDJの連中がサンプリングしてやっていたら、もっと理屈抜きにダンスフロアを踊らせるはず、などとも考えてしまいますが。
やっぱりヒップホップとの勢いの違いを感じてしまうのでしょうか。

そこのところで、ミュージシャンとしてきっちり聴かせようと狙ったと思われるのが、トニー・ウィリアムス(Tony Williams)、メイシオ・パーカー(Meceo Parker)の3人だけでやったジャズな2曲。確かにこのベテランならではの人力なセッションは、DJの連中や機械仕掛けには、ちょっとやれないできない音楽であります。

Pファンクからクラッシックにロックにレゲエにジャズ、そして宇宙との交信も行う、この鍵盤使いのマジカルな世界を、黒いサイエンスと名づけた狙いはとってもよく判ります。
そんな幅広いバーニーの魅力を、タイトル通りに上手いことパッケージするには、CD一枚では容量不足でしょうか。
ビル・ラズウェルがさらに何枚かこのタイトルで続編を続けていれば。それこそ、ビルがトライしたPファンクの解体や再構築の答えにもなっていたかも、と思ったりも。とりあえずのスケッチとしてこのアルバムを聴くとしましょう。

Bernie Worrell “Funk Of Ages”

“Funk-A-Hall Licks”
“Ain't She Sweet”

1990年。“All The Woo In The World” (1978) から12年振りのソロ。その間に拡がった各方面の人脈からゲストを招いて、にぎやかに展開した各曲。ブーツィーはこのアルバムでは2曲に参加。

“Funk-A-Hall Licks” では、トラブル・ファンクの録音の際にやったスティーヴ・ジョーダンをドラムに、ベースがブーツィー、そこにキース・リチャーズのロックなギターが斬り込んできたり。
“Ain’t She Sweet” では、ブーツィーの打ち込みドラムに、ビル・ラズウェルつながりのハービー・ハンコックが参加したり。

アルバムの聴きどころは、他にもトーキング・ヘッズ組やヴァーノン・リードの参加など各所に。参加した皆からミュージシャン・シップを感じます。