2016年9月30日金曜日

Gospel Gangstaz “The Exodus”

“Gangstaz Don’t Dance”

2002年。ゴスペルとギャングスタというその名前にまず興味を引かれますが、Gファンクなスタイルを聴かせながら、クリスチャン・ラップのグループであるんですね。コンシャスな内容をラップしているようですが、ジャケの絵柄を見るとこれが Ball And Chain で。
このグループの立ち位置とかメッセージとか、あるいはマーケティングとか、西海岸の風土背景とか、ちょっと感覚的にわかりませんが。

曲は昔の曲をモチーフにしたものでなく、新録新曲のトラックです。ライムの内容よりも、ついブーツィーとバックトラックばかりに耳がいってしまいますね。


Triple Beam “Conspiracy”

“Playa’s Instinct”

2000年。カリフォルニアはサクラメントのヒップホップ/ラップ系レーベル、Black Market Record からリリース。ジャケットのデザインやCD盤の作りなどは雑、メジャー感ゼロ。(トリプル・ビームという名前も安易、というのは言い過ぎか。)

曲はこれも “Hollywood Squares” をモチーフに、テンポとかアレンジとか絶妙に変えて聴かせてくれます。ブーツィーはボーカルのみ? 実に気持ちいいこのトラックの制作にはどれくらいまで関わっているのでしょうか。
しかし “Hollywood Squares” はネタとして人気あります。


2016年9月27日火曜日

Big Daddy Kane “Daddy’s Home”

“W.G.O.N.R.S.”

1994年。誰もが知っているマーヴィン・ゲイのあの曲をモチーフにした導入部に続いて、ベースラインが走っていきます。ですがブーツィーだよね、というくらい無記名な感じ。
クレジットはあるのでブーツィーなのは間違いはないでしょうけど。

Da Lench Mob “Planet of da Apes”

“Mellow Madness”

1994年。ダ・レンチ・モブもアイス・キューブ一派。ベースにブーツィー、ギターとキーボードでディーディー・ジェームス(Dee “Dirty Mugg” James)も参加したこのナンバーは、ブーツィーの “Hollywood Squares” を下敷きにしたリフを転がしていきます。
プロデューサーはもちろんアイス・キューブ。

2016年9月26日月曜日

H-Bomb “Narcissism”

“On Tha Job Training”
“Red Light Districk”

1997年。“On Tha Job Training” にはブーツィー、キャットフィッシュ(Phelps “Catfish” Collins)、そしてゴッドモマ(God Moma)、レザー・シャープ(Joel “Razor Sharp” Johnson)も。
これはブーツィーのアルバム “Ultra Wave” から “F-Encounter” をヒップホップ版で再演。これをやるか、という渋いセレクト。

“Red Light Districk” はブーツィーに、キャットフィッシュ、そしてオハイオ・プレイヤーズのシュガーフット(Leroy “Sugarfoot” Bonner)、ザップのロジャー(Roger Troutman)も。
ブーツィーと同郷であるオハイオの親分衆が一同に会した1曲ですが、ブーツィー好きはやっぱり “On Tha Job Training” の方に興味がいってしまいますね。
このアルバム、正規盤に先行してブートらしい盤 “In Your Face” が輸入盤にありました。


Dru Down featuring Bootsy Collins “Baby Bubba”

1996年。ドゥルー・ダウンのアルバム “Can You Feel Me” から、12インチになった “Baby Bubba” のプロモ盤CD。
ブーツィーはボーカルのみ。(この曲のビデオにも登場しますが。)
CDになったのはプロモ盤のみで、またアルバムの方にはブーツィーは入っていないので注意。


2016年9月19日月曜日

State Of Art “Community”

“Know Who You Are”

1991年。元シック(Chic)のボーカル担当でソロ・アルバムも発表しているノーマ・ジーン(Norma Jean Wright)と、やはりシックを始め様々なミュージシャンと共演しているキーボード担当のレイモンド・ジョーンズ(Raymond Jones)の二人が組んだのが、ステート・オブ・アート。

ブーツィーの参加は1曲のみ。“Know Who You Are” はPファンクな曲調ですが、ベースのプレイは半歩ほど下がった、あくまでボーカルをフロントに立てたもの。曲が進むにつれて、スペース・ベースのフレーズがすっと食いこんでくるのがカッコ良し。ジャズっぽさも増す終盤、ブーツィーはそれ以上出てこないまま終わってしまいますが。

大音量で聴きたくなるカッコ良い曲なだけに、ベースがソロを取るようなロング・バージョンでもあれば、うれしいところですが。
ブーツィーとは別に、“I Like” にはバーニー・ウォーレルも参加。またドラムのゲストに、William “JuJu” House が呼ばれた曲も有り。

アルバムが発表されたレーベル(40 Acres and a Mule Musicworks)は、映画監督のスパイク・リーが創設。ユッスー・ンドゥールとか関連のサントラも出している。レーベル名の「40エーカーとラバ1頭」についてウィキペディアで読むとおもしろい。パーラメントの “Chocolate City” の歌詞にもこれは引用されているという話しです。


2016年9月15日木曜日

Menace “Doghouse”

“Doghouse”
“Give It Up”

1989年。メナースのデビュー・アルバム。プロデュース(ベースも)はビル・ラズウェル(Bill Laswell)。
ブーツィーということでは、上記の2曲でしょうか。バーニー(Bernie Worrell)にメイシオ・パーカー(Maceo Parker)も参加。
他に“Silly Stupid” と “Farfetched” では、ギターにマイケル・ハンプトン(Michael Hampton)も参加。

“Doghouse” は、“Party On Plastic” タイプの強力ナンバー。スペース・ベースのヘビーなリフがぐちゃぐちゃっと、この倍の収録時間でも良いのではないでしょうか。
“Give It Up” はラリー・ブラックモン風でしょうか。
“Doghouse (Doggy Dub)” は、キース・ルブラン(Keith Leblanc)によるダブ仕立て。これが一番強力だったりして。


2016年9月14日水曜日

Keith Richards “Talk Is Cheap”

“Big Enough”

1988年。キース・リチャーズの初のソロ・アルバム。
ドラムのプレイヤー兼プロデューサーであるスティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)が、元ラベルのサラ・ダッシュ(Sarah Dash)を呼ぶとか、ホントに良い人選、良いお膳立てを整えたと。

アルバム中でもとりわけ派手なのが、このオープニングを飾るファンク・ナンバー。
サックスにメイシオ・パーカー(Maceo Parker)、ベースにブーツィー(Bootsy Collins)、オルガンでバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)。バーニーは他にも3曲でプレイしてバンドに馴染んでいます。

プロフェッショナルなこのバンドの中で、キースというロック野郎は主役ではあっても同時に不思議と異物でもあります。で、招かれたブーツィという男もまた異物感たっぷりの黒いノイズで。

考えるに長年、ブラック・ミュージックを対象としてきたストーンズ。
キースにとってこのアルバムはアレサ・フランクリン、チャック・ベリーと続くプロジェクトでもありました。スティーヴ・ジョーダンをキーマンに、ブラック・ミュージックとの関係においてこれはピークの一つだったのでは。


2016年9月13日火曜日

Trouble Funk “Trouble Over Here,Trouble Over There”

1987年。ブーツィーのプロデュースは3曲。

裏ジャケを見るとメンバーの足元の写真で、“NIKE” を履いています。これはランDMCの “adidas” に対抗する戦略だったそう。ランDMCのヒット曲に “My adidas” があるように、当時のヒップホップといえばまずイメージするのがアディダスの3本線でした。

ランDMCに続け。ヒップホップ畑でもできたのだから、ワシントンD.C.のローカルなGo-Goだって全国区のスターへ。そんなヒットを狙って企画されたアルバムに、“NIKE” と共にブーツィーも登板。

“Trouble” にはキーボードでマイコ・ウェイヴ(Mico Wave)も。“Women Of Principle” のドラムはスティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)。このあたりは “Body Slum!” タイプのシンプルな音で勝負です。87年のブーツィーらしいギター、ベースのプレイも聴けるのが “New Money”。

体力も自慢の肉体派グループですから、 人力ドラムの音も明快。打って出ようという勢いがみなぎっていますね。

Go-Goとかヒップホップとかファンクとか、今となっては誰も気にしません。
ちなみに現在、Googleで検索してみた際の、検索結果の数を比べてみますと。
「ランDMC」で検索すると、約 4,880,000 件、
「トラブル・ファンク」では、約 204,000 件、
「ブーツィー」では、約 45,200 件、
「ブーツィー・コリンズ」では、約 27,200 件。
うーん、予想以上にダメだったのがブーツィーとは。


2016年9月11日日曜日

George Clinton “The Cinderella Theory”

“Banana Boat Song”

1989年。このジャマイカ生まれの労働歌のカバーに、ブーツィーが参加。同じ89年に出た George Clinton Presents “Our Gang Family” や、マイコ・ウェイヴ、トラブル・ファンク、インコーポレーテッド・サング・バンドで聴けた、80年代後半のブーツィーの仕事とつながるサウンドです。

リズム・トラックとかが打ち込みで、すべてシンセでやっているような音。チマチマしたパターンの、デジタルな整合感がクセになるよな、アンバランスなような。
その手の曲の中で、この演奏が完成形でしょうか。パキパキと鳴らされるベースの効果音、いいですね。クセになります。

アルバム自体は、クリントン親分の個性あふれるもの。そうは言っても、幾度も繰り返し聴いた今でも、その魅力をこれと一言では説明できませんが、そこがまた。


2016年9月10日土曜日

George Clinton Presents “Our Gang Family”

1989年。 アンプ・フィドラー(Amp Fiddler)等、Pファンクの若手組を前面に立てて、ショウケース的に並べた全6曲のコンピレーション。

Gary Shider “Beautiful” (Bootsy Collins, Mico Wave, Linda Shider)   released as a 12” single
Babyfatt “Manopener” (G Clinton, W Collins, Joe Harris)
O.T.W “He Dance Funny” (G Clinton, W Collins, Wes Boatman)

ブーツィーの名前がクレジットされているのは上記の3曲。これらとマイコ・ウェイヴやトラブル・ファンク、インコーポレーテッド・サング・バンド等、80年代後半のブーツィーがらみの曲は皆同じ質感。
リズム・トラックとかが打ち込みで、すべてシンセでやっているような音。チマチマしたパターン。

12インチになった Gary Shider “Beautiful” にはマイコ・ウェイヴも参加。Babyfatt “Manopener” は打ち込みとシンセの隙間にパキパキ弦を叩いたりとスペース・ベースがうねる。これぞPファンクな曲調、コーラスの O.T.W “He Dance Funny”。

例えばマイコ・ウェイヴのアルバムと比べても、聞かせてくれますね。やはりクリントン親分の存在でしょうか。


INCorporated Thang Band “Lifestyles Of The Roach And Famouth”

“Body Jackin’” (George Clinton, Bootsy Collins, Joseph Fiddler)
“What If The Girl Says Yes?” (George Clinton, Bootsy Collins, Joseph Fiddler)
“44-22-38” (George Clinton, Jimmy Giles, Bootsy Collins, Michael Lane)

1987年。Pファンクの若手組、ライジ・カリー(Lige Curry)とアンドレ・フォックス(Andre Foxxe)を中心にしたアルバム。インコーポレーテッド・サング・バンドを「法人化した集まり」とすれば、独立したとか一本立ちしたとかの意味でしょうか。
ジョージ・クリントン親分を始めベテラン勢が脇を支えた中で、アンプ・フィドラー(Joseph Amp Fiddler)、スティーヴ・ワシントン(Steve Waskington)といった名前に混じって、上記の3曲にブーツィーの名前も有り。

ベースやギターのプレイでは目立った主張はせず、裏方に徹しているものの、ブーツィーだと分かる音。“Body Jackin’” の勢いも良いですが、プリンスを意識したような音色も聞かせつつ個性的なボーカル・ラインを持つ “What If The Girl Says Yes?” が、しっかりとPファンクしています。ブーツィーとアンプの組み合わせというのはこの後、他にありましたっけ。


2016年9月9日金曜日

Mico Wave “Cookin From The Inside Out”

1987年、ブーツィーの全面プロデュースによるマイコ・ウェイヴのアルバム。
全9曲すべてに共同でブーツィーとマイコ・ウェイヴの名前があります。

Producer – Bootsy Collins

Guitar – Catfish Collins
Keyboards – Wes Boatman
Piano – Bernie Worrell
Saxophone – Maceo Parker
Vocals – Vicky Vee

と、“Whats Bootsy Doin’?” にもつながる、80年代のブーツィー関連のクレジットでよく見る名が見受けられます。今のところCDは、1994年の日本盤のみのよう。

アルバムの前半A面にはダンサブルな曲が並びます。ファンクな曲では、もっとバーニーの鍵盤がナナメに切りこんでくるとか、そんな展開が聞けるとより楽しいのですが。
どうもアレンジの範囲内でしょうか。あまり、Pファンクな色は狙っていないということかもしれません。

後半B面の終盤では曲調のバリエーションも広がって。“American Dream” とか完全にストレートなロック・ナンバーも聴けますが、ブーツィーの基本的なベース・プレイの上手いこと。

ところで同じ1987年、同じレーベル系統のCBSでは、マイケルの “Bad” がヒット。“Speed Demon” とか、もちろんブーツィーも聴いたでしょうね。そうして、“Whats Bootsy Doin’?” の録音に向かっていきます。


2016年9月7日水曜日

Sly & Robbie “Rythum Killers”

1987年。80年代前半のブラック・ウフル(Black Uhuru)や、さらに強烈なグレイス・ジョーンズ(Grace Jones)との仕事などを聞けば、スライ&ロビーがレゲエという枠を越えて別のリズム、ダンスものもやることに違和感はなし。
でも歌ものとか他人のバッキングは得意でも、自分たちが主役となると地味、というパターンもレゲエ界ではよくあって。

オハイオ・プレイヤーズ “Fire”、アラン・トゥーサン “Yes We Can Can” のカバーも挟みこんだりしたこのアルバムは、基本インスト。プロデュースはビル・ラズウェル(Bill Laswell)。

スライ&ロビーのリズム隊を主役に、バーニーはもちろんのこと、ブーツィーはボーカルとギターで色を添える程度ですが、3曲にクレジットあり。ゲイリー・マッドボーン・クーパー(Gary “Mudbone” Cooper)の名も。

どうせなら飛び道具にダブを使ったり、Pファンクな色を出して、東西2大怪獣、メキシコ湾にカリブ海を越えて派手に洋上激突、なんて曲があっても、と思ったりも。
聴かせるよりも踊らせるための道具ですから、空中分解するような曲や展開はあり得ないにしても。無茶を承知で、みたいな。


2016年9月5日月曜日

坂本龍一 “Neo Geo”

“Neo Geo”
“Shogunade”

1987年。アルバムタイトルはNeo Geography、海外の各国発売を前提に、ビル・ラズウェル(Bill Laswell)を共同プロデューサーに迎えての制作。

ビル・ラズウェルが「ロックイット」を当てたのが1983年。で1987年、スライ&ロビーの “Rhythm Killers” と並んで、この坂本龍一のアルバムも、ビルとブーツィーの組んだ初期の仕事になりますか。

“Neo Geo” でのスライ・ダンバー(Sly Dunbar)のドラムとブーツィーのスペース・ベースがカッコ良い。主役はこの二人。“Shogunade” では残念ながら、スペース・ベースは少し奥に引っ込んでしまうけど。

ファンクでもロックでもなく、ましてジャズでもなく、いわゆるヘッド・ミュージックとか、再構築とか、独自の感覚とかって仕上がり。当時はそこが好き嫌いの分かれ目でした。特にソウル好きなうるさ方などはシンプルに、ノリが悪いってケチをつけやすいし。そもそもコンセプトが違う、て反論もあるけども、それも昔の話。良い曲ばかりです。