2025年2月8日土曜日

Soul Men: Original Motion Picture Soundtrack

Me’Shell NdegéOcello
“Water”

2008年。映画「ソウルメン」のサントラ盤。監督はスパイク・リーの従兄弟のマルコム・D・リー Malcolm D. Lee ですが日本未公開、日本語版のDVDあり、という作品。

サントラは2006年に再始動したスタックス・レコード Stax Records からの発売。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello による往年のスタックス・ナンバーのカバーを一曲収録。
ミシェルがカバーしたのは、エディ・フロイド Eddie Floyd の1968年の曲。作者はスティーヴ・クロッパー Steve Cropper とエディ本人。エディといえば、“Knock on Wood”(1967年)でも知られる往年のスタックスの看板シンガーのひとり。

なにしろこの大元が相当にカッコ良いですから。ミシェル版にしても、オリジナルにならったようなアレンジで、往年のソウルな感じをそのまま持ってきて歌っております。
映画は未見ですから、どのように使われているものか、当時風のアレンジなのにも理由があるのか、不明ですが。オリジナルと聴き比べてしまうと、少々、落ち着きすぎのようにも。プロデュースはミシェル。

同じこの監督の映画では、先に「ベストマン」The Best Man (1999年)のサントラ盤にも、ミシェルのアルバム未収録曲が収められており。また、映画「アンダーカバー・ブラザー」Undercover Brother (2002年)のサントラ盤には、ブーツィーが参加というありがたい監督であります。

映画「ソウルメン」には、アイザック・ヘイズ Isaac Hayes が(本人として)出演。サントラにも彼の歌う一曲が収録されていますけれど。
ヘイズといえばやはり「黒いジャガー」、あのテーマ曲であります。
ニューヨークの街角をジョン・シャフトが歩くオープニングのシーンは忘れられませんとも。ヘイズが担当したサントラ盤 “Shaft”(1971年)は、往年のスタックス・レコードを代表するような一枚でありますが、新生スタックスからも、ヘイズの新作を出す予定があったそうです。2008年にヘイズは逝去。



2025年1月18日土曜日

Talk To Me (Music From Motion Picture)

Me’Shell NdegéOcello feat. Terence Blanchard
“Compared To What”

2007年。映画「Talk To Me」のサントラ盤。といっても、収録されているのは往年のソウル・ミュージックばかり、というヒット・パレードなコンピ盤。アトランティック・レコード Atlantic Records 発。
オーティスやサム&デイヴ等、60年代のヒット曲が11曲に、71年のドラマティックス The Dramatics の一曲も、という並び。そこに、新録としては一曲のみ、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello のアルバム未収録曲が最後に収められている、という(なかなかに)大胆な構成。

映画はワシントン D.C. の人気ラジオ・テレビ・パーソナリティ、ラルフ・ピーティー・グリーン Ralph “Petey” Greene を描いたものだそう。この方、クスリ中毒やら強盗犯で受刑したやら、色々と経験を重ねたタレント兼地域活動家とのことで(ウィキペディアより)、60年代後半から80年代前半の期間を舞台に描いた物語だそう。

オマケのようにこの曲だけが新録、というミシェルの一曲がどこに流れるのかは未見ですが、これもカバーで、1969年にロバータ・フラック Roberta Flack が歌ったもの。作者はユージン・マクダニエルズ Eugene McDaniels という方。
同じこの方の作では、そのロバータを始め、マリーナ・ショウ Marlena Shaw や、それにディアンジェロ D’angelo もカバーした “Feel Like Makin’ Love” も有名でしょうか。

ミシェル版のカバーは、がらりと現在のアレンジ、質感ながら、元のロバータ版にならったのかジャズなウッドベースがボンボボンと走って。途中、いきなりファンクが差しこまれる、急展開も聴きどころ。このヘビーなパートのベースはミシェルでしょうか。

クレジットがそっけないもので、演奏(Performed)はミシェル、トランペットでテレンス・ブランチャード Terence Blanchard をフィーチャリング、そしてプロデュースはミシェル、とそれだけ。歌以外のドラムや鍵盤、ベースのすべてもプレイしているのでしょうか。かねてからウーリッツァーやプログラム担当みたいなクレジットはありましたけど。

ともかく、歌や演奏のアレンジは完全にミシェルらしさに溢れて。そこは映画「永遠のモータウン」“Standing In The Shadows Of Motown” でモータウンに歌い手として招かれた立場とは異なる点。元歌を尊重しつつ自分のスタイルで好きに調理しております。



2024年12月15日日曜日

Joan Osborne “How Sweet It Is”

Smiling Faces Sometime

2002年。映画「永遠のモータウン」“Standing In The Shadows Of Motown” のサントラ盤と同じ年に出された、ジョーン・オズボーンのアルバム。
映画にも収録された彼女とファンク・ブラザーズの共演をきっかけに、制作された(ウィキペディアより)というこちらは、モータウンの曲を含みつつ、さらに間口を広げて60年代から70年代にかけての名曲カバー集。

“I’ll Be Around” The Spinners - 1972
“Think” Aretha Franklin - 1968
“How Sweet It Is (To Be Loved by You)” Marvin Gaye - 1965
“Smiling Faces Sometimes” The Temptations - 1971
“Love’s in Need of Love Today” Stevie Wonder - 1976
“These Arms of Mine” Otis Redding - 1962
“Only You Know and I Know” Dave Mason - 1970
“War” The Temptations - 1970
“Why Can’t We Live Together” Timmy Thomas - 1972
“Bold as Love” Jimi Hendrix Experience - 1967
“The Weight” The Band - 1968
“Everybody Is a Star” Sly and the Family Stone - 1969

あの時代、あの有名曲、な選曲でありますが、アルバムを通して聴けばごく自然に気持ち良く。ありがちな、名曲をレトロに再現しようとか、黒っぽくしようとか、あるいは自分が好きな歌への愛を形にしようとか、そういった(ちょっと外しがちな)力みがなく。
今日現在の、普段使いの曲、そんな感覚でしょうか。ジョーン・オズボーンという方、さらりと素直に歌いつつも。シンプルながら、なにかロックなところの音は伝わってきたりして。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで参加したのは、モータウンの大有名曲。オリジナルのテンプテーションズ The Temptations やアンディスピューテッド・トゥルース The Undisputed Truth のバージョンと違って、ここではノリ良くコンパクトに。
ズビズビとベースが走る上で、ジョーン・オズボーンとデュエットで歌っているのはアイザック・ヘイズ Isaac Hayes であります。そのためか、アルバムの中では黒っぽい(少し古めの)仕上がりに。

ジョーン・オズボーンにはこの後も、カバー集といったアルバムがちらほらとあって。

Breakfast In Bed


2007年のアルバム。こちらも有名どころの多数の名曲カバーが売り。少々ブルースぽく、ダウンなところがまた良い感じ。
オマケとして、映画「永遠のモータウン」のサントラ盤から、マーサ&ザ・ヴァンデラス Martha and the Vandellas の “(Love Is Like A) Heat Wave” とジミー・ラフィン Jimmy Ruffin の “What Becomes Of The Brokenhearted” のカバー二曲を再度こちらにも収録。
他にも、ブルース集やディランのカバー集などもあったりして。

彼女自身のオリジナルのアルバムの合間の仕事ですが、安定した歌手ぶりといえますでしょうか。米国の土壌というのは肥沃であります。その米国でも、ベタつかない彼女の声や感覚というのは案外貴重だったりして。アマゾンなんか見ると、日本でも隠れファン(失礼)が多いよう。



2024年12月1日日曜日

Standing In The Shadows Of Motown

The Funk Brothers With Me’Shell NdegéOcello
“You’ve Really Got Hold On Me”
“Cloud Nine”

2002年。映画「永遠のモータウン」のサントラ盤。歌と演奏のシーンから、往年のヒット曲のカバーが収録されています。
ジャケット裏の曲目を見ると、まず筆頭として Starring The Funk Brothers on all tracks と大きく明記、その次に各曲名と曲毎に参加したゲストの名前が続くというデザイン。主役なのはファンク・ブラザーズ、だから演奏を聴いてくれよ、という主張がうかがえるような。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は二曲に参加、もちろん(ベースは置いておいて)ボーカルとして。
ミラクルズ The Miracles とテンプテーションズ The Temptations の大名曲を、真っ直ぐに歌っております。どちらもモータウンという枠を越えて、60年代を代表するような大有名曲ですが。

ミシェルが主導する形であれば、もっと独創的なアレンジで歌っていたのかもしれませんが。
ここではゲストのひとりとして、ストレートな歌いぶりが聴けるのが良いところ。声量で勝負するようなタイプではないので、そこはコーラスの方々をうまく活用して歌っております。

ミシェルらしい予想外のアレンジがされたバージョン、というのも捨てがたいですが、それはまたいつか次の機会に。
ミシェルと同様に、ベース弾きではなくボーカルとしてブーツィーも参加。こちらはノベルティ系の二曲に、破壊力抜群の声で盛り上げていました。
ブーツィーの誰よりも派手な出で立ちは、映像でないと確かめられませんが。
映画を見ても良し、サントラの音だけを聴いても良しの優良コンテンツ。



2024年11月9日土曜日

Raul Midon “a world within a world”

Love Is Gonna Save My Life

2007年。ラウル・ミドン Raul Midon という方、写真を拝見しますと、南米はブラジルのシンガーソングライターなのかと思わせるような風貌をしております。スティーヴィー・ワンダーを彷彿とさせるなんて紹介しているのを見かけましたが。

米国を拠点に活躍中だという彼のこのアルバム、邦題は、世界の中の世界。ジャケットのデザインは、彼に聴こえる音、そして彼だけの世界を表現したものでありましょうか。彼は受け身ばかりではなく、ギターという音を発せられる道具を携えています。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello が参加したのは、あまりベースの出番もない、静かめの曲です。正直、ミシェルでなくてもいいような。とはいえ、もう間違いなく良い曲で。

なんとなく、ボブ・マーリィの歌など思い浮かべてみたり。ソウルフルとされる歌声と、ギター一本だけ、彼一人で充分に成り立つ曲をサポートするに徹するばかり。けして邪魔にならないようにしたら、この少ない音数になったのかもしれません。



2024年11月2日土曜日

Nguyên Lê Purple “Purple: Celebrating Jimi Hendrix”

Are You Experienced
Voodoo Child (Slight Return)

2002年。グェン・レ(Nguyên Lê)は1959年生まれ。両親がベトナム人で、彼自身はパリで生まれ育ったという、いわゆるベトナム系フランス人のギタリストだそう。
ジミのカバー集10曲、ですか。自身のオリジナル曲はなし、ですと。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は二曲に参加。聴く前から期待値も上がる、ジミのあの代表曲、有名曲にてベースをプレイであります。

ミシェル自身もすでにジミをカバー。自分のアルバム “Bitter”(1999年)に、ジミのデビュー・アルバム(1967年)に収められていた “May This Be Love” を収録。
だから、一言ぐらいミシェルも教えてやれば良かったのに。ジミのカバーは、どれか自信のあるやつを一曲ぐらいにしておきなさいとかなんとか。
もう数多の皆々様がカバーしていますから。ましてアルバム一枚をジミでやるなんて。

この方も他との違いや自身の才気を見せたかったのでしょう、いろいろとアレンジして。ジャズに、ほんのりアジアン風味だったり。
タイトルを、トリビュートどころかセレブレーティングにまで持ち上げて。
聴く前に、こちらが勝手ながら想像したのは、この方のベトナムというワードだったでしょうか。そこに、ミシェルがからんでくるのだから、という期待だったかもしれません。

ドラムはテリ・リン・キャリントン Terri Lyne Carrington で、彼女とのつながりでミシェルが参加したと思われますが。彼女はかなり歌ったりもしていて。
ミシェルが歌うのも聴いてみたかった、もしもアジアン色がもっと出ていたら、とか実力派の強力なボーカルがいたなら、等々あったとしても。

数多のプロもベテランもアマチュアも。あの人もこの人も、誰もかれもがやった、それらを全てひっくるめた頭上のはるか遠くに、ジミ自身が光輝いて君臨しています。ぶっ飛んでいます。