2019年12月30日月曜日

Steve Coleman And Five Elements “Sine Die”

1988年。ウルマーに続けてとなれば、やっぱりスティーブ・コールマンの登場と相成りますか。 80年代前半を席巻したウルマーと同じくCBS/Sonyからのリリース、80年代の後半を賑わせたこのアルバム。とにかくファンクです。

スティーブ・コールマン&ファイブ・エレメンツとしては三枚め。ケヴィン・ブルース・ハリス(Kevin Bruce Harris)のベースに、マービン・スミッティ・スミス(Marvin “Smitty” Smith)のドラム、デヴィッド・ギルモア(David Gilmore)のギター。斬り込んでくるホーン隊。
アレンジだの演奏だの、ダレる一瞬もなく。耳をそばだてさせる、カッコ良さ。

Dave Holland Trio “Triplicate”


そして、“Sine Die” と同じ1988年に録音された一枚。こちらはジャズ。
ベースのデイヴ・ホランド(Dave Holland)、ドラムはジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette)。1968年に電化マイルス組に参加、あの “Bitches Brew” でもやったベテラン二人と、スティーブ・コールマンという三角形。
デイヴ・ホランドは、80年代を通じて幾度もスティーブ・コールマンを招いては共演しています。

自身のグループではクールにクールに、スタイルを徹底しているスティーブ・コールマンですが、こちらの土俵となると、手数の多い先輩達がぐいぐい来ますから。ピアノなし、三人だけの研ぎ澄ました演奏、やり取りが聴きものです。美しいスローな曲があったりも。

なお、スティーブ・コールマンの初リーダー作 Steve Coleman Group “Motherland Pulse”(1985)を聴いてみると、彼のジャズからファンクに至る過程が垣間見れるような楽しさ。




2019年11月13日水曜日

James Blood Ulmer with The Thing “Baby Talk (Live At Molde International Jazz Festival 2015)”

2017年。ジェームス・ブラッド・ウルマーとザ・シングの共演盤、録音は2015年のライブから。最近のウルマーを、ということで(続けて)これを。

Recorded live in concert at Molde International Jazz Festival on the 15th of July 2015.

ザ・シング(The Thing)はスウェーデン、ノルウェー辺りの北ヨーロッパ(北欧)で活躍するジャズ系バンド。大友良英とやったり、サーストン・ムーアとのライブ盤もあったり。
ドラムにベース、加えてサックスもいる三人組となると、かってのウルマーのファランクス(Phalanx)やミュージック・レヴェレーション・アンサンブル(Music Revelation Ensamble)といったバンドを思い起こします。

ウルマーは2000年代に入ってからも、ヴァーノン・リード(Vernon Reid)と組んでみたりと様々に試みを重ねていましたが、正直、、、というところ。で久々のこのライブ盤はジャズ。アヴァンギャルドの一言です。
激しい演奏のやりとりではありますが、どこか老獪さも感じられるような。それが北欧の連中だからなのか、それともウルマーの年齢や経験値から来るものなのか、は不明ですが。かってウルマーが組んでいた黒人プレイヤー達とはまた違う音の投げあいを、じっくりと聴かせてくれます。

そして当然、ファランクスやミュージック・レヴェレーション・アンサンブルといった盤をまた改めて聴き返したくなります。それらと並べられる、2010年代のウルマー、という一枚です。


2019年11月4日月曜日

James Blood Ulmer “Blue Blood”

2001年。鍵盤にバーニーとアミナ・クローディン・マイヤーズ(Amina Claudine Myers)、ドラムはジェローム・ブレイリー(Jerome “Bigfoot” Braily)、プロデュースはウルマーと共同でビル・ラズウェル(Bill Laswell)。

ビルとウルマーのつきあいもこれで3作めとなります。
“America - Do You Remember The Love?”(1987)
Third Rail “South Delta Space Age”(1995)

とにかく強力な個性を持つジェームス・ブラッド・ウルマー。器にまとめるのがビルの仕事としても、そもそもが規格外というか、お皿からはみ出しているのがウルマーの魅力です。彼とやろうなどという白人が希少なのでありますが。

バーニーの出番が少なすぎなのも残念。ウルマーとバーニーのからみが聴きたいところですが。Pファンクとウルマーを結ぶ線(なんてカッコ良い言葉ですが)、はあまり期待せずに。

ウルマーのアルバムというのもけっこう数が多く。年齢も重ねて徐々に渋さも増していく2000年代以降、逆に、尖りに尖った1980年代のジャズ方面と、選択肢も多彩。
いずれも、ウルマーの個性が薄まるということはなく。誰とやるか、その時々で様々。


2019年10月7日月曜日

Justin Johnson “Drivin’ It Down”

“Rollin’”

2017年。ジャスティン・ジョンソンはナッシュビルを拠点に活動しているギター野郎(というかギターオタク?)、ブーツィーのアルバム “World Wide Funk” (2017)では “Boomerang” に参加していた方。

“Boomerang” はカントリー・テイストをねじ込んだ曲でしたが。ブーツィーが1998年に参加した、グルーヴグラス・ボーイズ(Groove Grass Boyz)を思い起こさせるものでした。

ファンクとブルーグラスの合算だからグルーヴグラス、と名乗った彼らのアルバム “Groove Grass 101” には、“Wabash Cannonball” とか、他にも “Little Cabin On The Hill”、プレスリーでも有名な “Blue Moon Of Kentucky” など、カントリー系の有名曲が多く含まれていました。

そしてお返しなのでしょうか、ジャスティン・ジョンソンのこの一曲に参加したブーツィですが。当然、こちらでもグルーヴグラス・ボーイズの路線をやってくれるものと期待していましたが、これが意外にもレゲエな曲でありました。
ジャスティン・ジョンソンの十八番であるブルース、カントリーという得意分野でのど真ん中直球勝負ではなく、今回はカーブ球ということになりますか。何故?


2019年9月23日月曜日

Marvin Gaye “Here My Dear” Deluxe Edition

“Ain’t It Funny (How Things Turn Around) (Alternate Mix)”

マーヴィン・ゲイの1978年に発表されたアルバム “Here My Dear”。これのデラックス版 CD2枚組(2010年)に収録された、ブーツィーによるプロデュース、リミックスという曲。
同じ曲が未発表曲集の “Dream Of A Lifetime”(1985年)にも先に収められていましたが、そちらとはまた異なる、オーバーダブを抑えたというバージョンになります。

Pファンクな色を盛ることはいくらでも可能でしょうが、ここではけして壊さず出しゃばらず。ブーツィーもここまでということで。
名前を貸しただけとも言えますが、主役はマーヴィン。このアルバム本編の素晴らしさにとっては、後付けのアウトテイクやリミックスなど、すべて瑣末な話でしょうか。


2019年8月4日日曜日

The Blind Boys Of Alabama “Revisited”

“Another Day’s Journey”

2008年。ライナーノートには、この大ベテランのボーカル・グループを始め、シャーリー・シーザー(Shirley Caesar)等が録音されたマルチ・トラック・テープが発見されたので、新たなアレンジを施したリミックス・アルバムとしてまとめた、と記載。

リリースしたのはミネソタ州のゴスペル専門らしいレーベル。なぜリミックスにしたのか、その理由や詳細までは不明です。ローカルだからなのか、デザインや印刷はチープな造りですね。

巻頭を飾る一曲が、ブーツィーによるプロデュース。リミックスというか、バックトラックを新たにそっくり差し替えて。スローなテンポのビート、スペース・ベース、ギターと粘っこく。コール&レスポンスに乗っかるブーツィーのボーカルも熱が入っています。

次に続く曲がジミー・ヴォーン(Jimmie Vaughan)のギターを迎えた(加えた) “Motherless Child” というのも黒さあふれる展開。

長いキャリアを誇る老舗グループであります。ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマは、これまでにもアレサやカーティス、スティーヴィーにプリンスといった方々の曲を、意欲的にカバーしていました。ファンカデリックの “You And Your Folks” までやっていたり、ゲストとしてクリントン親分を迎えたアルバムもあったりします。
そもそも、ゴスペルというのは古びないといいますか。ブルースとかファンクとか、形を問わないというか。


2019年7月2日火曜日

CPS “Jazz / Turn It Up!”

1996年。ドイツはベルリンのロック・グループ、CPS。デビュー・アルバム “Firebreaka”(1995年)からのCDシングル盤。
こちらに収められた2曲のうち、“Turn It Up!” の4バージョンの2つに、ブーツィーがからんでいます。

Turn It Up (CPS Visits Bootsy At The “P-Form-School” Mix Re Produced By Bootsy Collins)
Turn It Up (Is-He-Instrumental? By Bootsy Collins)

アルバム・バージョンと、リミックス版(P Is Free Mix)も収録されていますが、この曲、元々から実にPファンク好きと思わせる曲。
ブーツィー版では、その元曲と同じベース・リフをスペース・ベースで弾き直し、ボーカルも追加。インスト版では、同じトラックでピアノを主役に聴かせる、という2バージョンです。
記載されているクレジットがこちら。こういうのがまた楽しく。

Re-Produced & Remixed By Bootsy Collins For Bootzilla Productions And The P-Master’s Of The Universe
Musicians On Remix: Johnny Davis (Keyboards & Bootzilla Horns), Bootsy Collins (Spaced Bass, Dark Starr Base, Deep Throat Base, Drum Loops & Percussion)
All Effects And Guitar Trickery By The “Booted One”
Re-Recorded At “Bootzilla Re-Hab P-Form School” Engineer: Bootsy Assistant: “Casper”

ブーツィーのベースも三種類がクレジットされております。
ブーツィーの場合、自分で演奏してしまうというのが必殺技。2020年代を迎えようかという今、またリミックスを手がけてみるというのはどうかな。


2019年6月8日土曜日

Juan Rozoff “Et Alors”

1991年。ジャンかジョアンか、ホアンか。発音は不明ですが、パリ生まれという彼のアルバム “Jam Session” からのシングル盤CD。
アルバム・バージョンとはまた違う、ブーツィーによるリミックス2バージョンを収録。

Et Alors(Deep Mix)4:54
Et Alors(Single Mix)3:38

ブーツィーはギターも、それにホーン隊としてフレッドとメイシオ(Fred Wesley、Maceo Parker)が参加。
ブーツィー・プロデュースによるマイコ・ウェイブ(Mico Wave)の “Cookin From The Inside Out”(1987年)、ブーツィー自身の “What’s Bootsy Doin?” (1988年)と、まっすぐつながる直系の兄弟サウンドです。

ブーツィーのスペルが Bootsie とクレジットされていますが、これは仏風なのでしょうか。
タイトルも「エ・アロール?(それが何か?)」とくれば、やはり当時のフランス大統領、ミッテラン氏のあの言葉が思い出されます。とにかくフランス語というのが新鮮ですね。

そしてジャケットを飾る Juan 氏の写真。被りものして得意げな笑顔でありますが、これがパリのエスプリって奴でしょうか。あちらの国ではどうにもタコが不気味、奇々怪々なものらしいですが、そういう存在だということ?


2019年5月4日土曜日

trieb. “Groove Doch” Limited DJ-Edition

1995年。ドイツのロック・バンド trieb.、彼らのデビュー・アルバム “Groove Nation”(1995)からのシングル盤。
この曲の通常のシングル盤は5曲入りで、ブーツィーによるリミックスを1曲だけ収録。さらにDJ向けとされたこちらでは、ブーツィーによるリミックスの全5バージョンが聴けます。

01 Groove Doch (Singleversion)
02 Groove Doch (Clubversion)
03 Groove Doch (P-Funk-Mix)
04 Groove Doch (Boot-A-Maniac “Mix”)
05 Groove Doch (“Trieb” And The “Booted-One”)
06 Groove Doch (More Guitar! “Fella” Mix)
07 Groove Doch (Zillatron & Fuzz Face Touchin’ Bass Mix)
08 Groove Doch (Astro-P-Nutty Mix)

01-03: Remix Von Boogieman Im Boogie Park Studio, Hamburg
04-08: Remix By Bootsy Collins At The “REHAB” Studio, Cincinnati-Ohio

もう一人の Boogieman ですが、この後、ブーツィーのアルバム “Fresh Outta ‘P’ University”(1997年)にも関わる人物。ここでも、P-Funk-Mix としてそれっぽい音を聴かせたりしています。

ブーツィー版の方はといえば、さまざまなノイズを被せたり、メインボーカルを抜いて、じっとりと轟音ベースを鳴らしたり。なるほど、という音に。
“sexmonster.” シングル盤ほど派手に音を差し替えたりはしていませんが。ロックなブーツィー、本領発揮です。


2019年4月28日日曜日

trieb. “sexmonster.” Bootsy Collins remixes

1995年。ドイツのロック・バンド trieb.(本能という意味だそう)、彼らのデビュー・アルバム “Groove Nation”(1995年)からのシングル盤CD。
アルバム・バージョンを中心にした通常のシングル盤もあるようですが、それとはまた別に、こちらはブーツィーによるリミックス4バージョンを収めたもの。

Sexmonster (“Trieb’s” In The House With Bootsy Mix)
Sexmonster (Bootzilla Returns, “Friendly Fire” Mix)
Sexmonster (“Jungle Juice”)
Sexmonster (“Drooling” Over You Mix)

アルバム・バージョンの方は90年代らしいロックな一曲。それをベースを始めとした各パートを演奏し直して、完全にブーツィー印の曲に意匠替え。
バッキンバッキンと粘っこいスペース・ベースに、響き渡る轟音ソロ。“Party On Plastic” の続きみたいな。

Remix Credits:
all overdubs done at the Bootzilla “RE-HAB” Studio, Cincinnati-Ohio
(Space Bass 1)+(Dark Star Bass 1)+(Acoustic “Illegal” Rhythm Guitar)+(Drum Programming And Sound Effects)
all done by: Bootsy Collins or soon to be known as: “THE BOOTED-ONE”

必殺の、ロックなブーツィ。記載されたクレジットもまた、カッコ良く。


2019年3月17日日曜日

Live On Letterman (Music From The Late Show)

1997年。米国の有名番組から、名演ライブ14曲を収録したアルバム。
ここに選ばれた皆さん稀代の芸の持ち主ばかり。それがまたさらりと一世一代の代表曲を披露するのだから、心憎いばかり。
まことに米国のショービズ界とかエンタメ界の懐の深さでありましょうか。
It's diverse, positively upbeat and a charmer.
ライブ演奏のサポートとして、バーニーの名が2曲にも挙げられているのも嬉しい限りです。

この Late Show with David Letterman (1993–2015) や、Late Night with David Letterman (1982–1993) といった番組で、音楽監督を勤めていたのがポール・シェーファー。

彼の1993年のアルバム Paul Shaffer and The Party Boys of Rock ‘n’ Roll “The World’s Most Dangerous Party” では、ジョージ・クリントン親分とブーツィーがゲストに迎えられていました。
また1989年のアルバム “Coast to Coast” にも、クリントン親分にゲイリー・シャイダー、ベリータ・ウッズにアンプ・フィドラー等といった顔ぶれが参加した一曲が。コーラス隊として華を添える程度の参加ではありますが、ポール・シェーファー氏の好き者ぶりは充分にうかがえます。

番組にはもちろんPファンクの面々が出演した映像が多数残されています。中にはルー・リードとブーツィーが同じバンドで共演しているといった一幕も。他にも1982年にゲスト出演したJ.B御大とか。キリがないほどの宝庫です。


2019年2月3日日曜日

Dodge “Star Bass Invasion”

“On The Hood”

2003年。ダッジはオランダの、セブンイレブンなるファンク・バンドのベース弾きだそう。このインスト主体のソロ・アルバムを聴くと、Pファンク好きぶりがストレートに伝わってきます。
まさにブーツィーになりきったベース・プレイを聴かせます。

アルバムにはメナース(Menace)にスラップバック(Slapbak)のジャーラ(Jara Harris)と、ブーツィーに関わりのある顔ぶれも参加。
そしてブーツィー本人がプロデュースに加わった “On The Hood”。この曲が、徐々にブーツィだけではないクールな面も見せてくるアルバムの後半に登場します。

ホーニー・ホーンズから3名(Fred Wesley、Rick Gardner、Richard “Kush” Griffith)に、ボーカルでゲイリー・シャイダー(Garry “Starchild” Shider)、鍵盤にレザーシャープ(Joel “Razor Sharp” Johnson)、ブーツィーはギターに廻ってベースはダッジ、というなかなかの布陣です。
クールな渋いトラックの上で、ご近所さん(Hood)と仲間扱いされているのだから、これはダッジには堪らないでしょう。

2019年1月2日水曜日

Stephanie Mills “Tantalizingly Hot”

1982年。全8曲中の5曲に、バーニーの名前がクレジットあり。
その5曲というのが、ジェームズ・エムトゥーメイ(James Mtume)とレジー・ルーカス(Reggie Lucas)のコンビによるプロデュースのもの。グループとしてのエムトゥーメイのメンバーの他に、バーニーに加えて、ベースにマーカス・ミラー(Marcus Miller)、ギターでアル・マッケイ(Al Mckay)といった名も見られます。

名人達による職人技の、百戦錬磨のノリが強力に(贅沢に)展開されます。
このサウンドを乗りこなすのが主役のステファニー・ミルズ。

彼女をエムトゥーメイとルーカスがプロデュースしたアルバムは、全部で4枚。最終作であるこのアルバム“Tantalizingly Hot”も強力ですが、先の三作品ももちろん強力です。
その3アルバムを2枚組のCDにがっちり収めたのが、2011年、Hip-O Select からリリースされたコレクション。こうなると強力無比であります。

“Feel The Fire - 20th Century Collection”(2011)


“What Cha’ Gonna Do with My Lovin'”(1979)
“Sweet Sensation”(1980)
“Stephanie”(1981)
の三作品に、さらに12インチ・シングルからの長尺曲もオマケに押しこんであるのだからやられます。
ソウルとファンク、あるいはディスコとか、アーバンにブラック・コンテンポラリーにポップスとか、そのような区分けや好みもひとまず置いて。エムトゥーメイとルーカスのサウンドにたっぷり浸れます。