2016年7月31日日曜日

Val Watson “Live at the Funk Lounge”

2005年。アタマの6曲がライブ録音。
アルバム “Urbal” に収録されていた “Do What Come Funky” は、こちらのライブ版でも同じくジョージ・クリントン本人がゲストで登場(いつものクリントン節ですが)。
ブーツィーは残念ながらライブには参加せず。ライブ版の “The Real (Do-Do)”  にはブーツィ当人はいませんが、それに加えて、ブーツィ参加だったスタジオ版 “The Real (Do-Do)” のリミックス版2曲が収録されています。

The Real “Cue Da Do-Do Remix”
The Real “B Movement Remix”
リミックスにブーツィー自身は関わっていないようですが、どちらもファンク度そのまま。
さらにブーツィーがらみでもう一曲も収録。

“Wind Me Up” (Wiggle, Wiggle Remix)  feat. Bootsy Collins
こちらは、ブーツィーの掛け声がサンプリング挿入されています。
他にもジミのカバーもあったりして、バラバラ寄せ集めのアルバムではありますが、アルバム “Urbal” が好評を博したため急遽オマケを組んでくれたと考えれば感謝です。
ヴァル・ワトソン、やっぱりPファンク好きのようです。


Val Watson “Urbal”

“The Real (Do-Do)”

80年代後半の “Lean on Me” のヒットで知られるグループ、クラブ・ヌーヴォー(Club Nouveau)からは、Pファンク好きを公言してはばからないフォスター&マッケルロイ(Foster and McElroy)が飛び出してきましたが、彼らの仕事とかつながりというのも興味深く。
同じくクラブ・ヌーヴォーの歌姫であったヴァル・ワトソンも、相当なPファンク好きのようです。

Val(Valerie Watson)の2004年のこのアルバムには、ブーツィーとはまた別に、“Do What Come Funky” にジョージ・クリントン親分も参加。
他にもジョージ・デューク(George Duke)、パトリース・ラッシェン(Patrice Rushen)といったゲストを招いていて、ジャズ色も漂うアルバム。
キッズ向け、パーティ向けとは言いがたいシブさですが、ドラム、ベースの人力リズム隊がバシッと決めてきます。

ブーツィーが参加した曲 “The Real (Do-Do)” は、感触がもっともヒップホップ寄り。リズムに徹したベース・プレイは目立たず主張せず。



2016年7月29日金曜日

John B. “Bonafied”

“Simple Melody”

1995年、ジョンBのデビューアルバム。1曲に参加。バラード向きの線の細いボーカルですが、ミッドテンポの軽快な曲調で、ジワジワと焦らせつつノセてきます。
ブーツィーもぶつぶつ呟いてはベースが走っていく好曲ですが、日本ではこの曲だけのミニ・アルバムが企画されました。

アルバム・バージョンに加えて、3人の日本人が別々にリミックスしたというバージョン3曲入り。それぞれ特色あるリミックスですが、ブーツィーということならやっぱりオリジナルにつきますでしょうか。


2016年7月28日木曜日

Kacha “Kacha’s World”

“Somebody’s Watching You”

1995年。スライをカバーしたこの曲、ブーツィーのベースが重心低くうねりながら進んで、気持ち良く、カッコ良い。
オランダのレーベルから出されたアルバムのクレジットによると、プロデュース、ドラム・プログラムといった音作りはメナース(Menace)が関わっているよう。

主役であるカチャのフレンチなウィスパー系ボーカルも米国製にはない味わい。後半にはブーツィーのボーカルがさらに乗っかってきますが、カチャと絡むわけではなく、後から追加して吹きこんだような、レゲエのDJみたいなリミックスな感じも良い感じ。

ブラック・ユフル(Black Uhuru)の1984年のアルバム、“Anthem” にもスライのこの曲のカバーが収録。スライ&ロビー版のそちらには、バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)がクラヴィネットで参加。甘酸っぱいような哀愁はどちらも共通で。魅力あるメロディです。


Randy Crawford “Naked And True”

“Cajun Moon”
“I'll Be Around”

1995年。ジャズ、フュージョン方面でも活躍、ヒット曲も多く持つランディ・クロフォード。
ブーツィーの系譜からすると、これはジョニー・テイラー(Johnnie Taylor)の “Disco Lady” や L.J.レイノルズ(L.J.Reynolds)の “Travelin’ ” でのプレイと同じく、実力派ボーカルを主役に、自分の個性は抑えめというもの。地味ながらも曲の土台をしっかりと支えています。

J.J. ケイルの “Cajun Moon” はカバーも多く、白人系ではカントリーテイストが聞かれたりもしますが、こちらはぐっとテンポも落とされて、曲の地金にあるブラックが引き出された仕上がり。ブーツィーのベースはブルース。南の夜を感じさせます。

スピナーズのカバー “I’ll Be Around” も軽快なノリながら、エンディングの最後の最後にまできちんとフレーズを入れてくるなど、マジメなプレイぶりが聴けます。
職人とか、円熟とか、歌手に対するリスペクトとか、そういった言葉が浮かびます。

Randy Crawford “Naked & True: Delux Edition”

このアルバム、2017年に2枚組のデラックス版として再発されました。
95年発売時のシングル盤各種に収められていたリミックス版を集めた1枚が、オマケとして追加されています。
“Cajun Moon” は4バージョン、“I’ll Be Around” は2バージョンが収録。残念ながらブーツィーのベースが目立って引き立てられたようなバージョンは無し。逆にごく普通のベースラインのものに差し替えられてしまっています。ですがこれはこれでオマケとしては有りでしょうか。


2016年7月27日水曜日

K-Dee “Ass, Gas Or Cash (No One Rides For Free)”

“Thought I Saw A Pussy Cat”
“Into You”
“Ass, Gas Or Cash”

1994年。アイス・キューブ(Ice Cube)の一派で活動した西海岸のラッパー。当時大受けだったギャングスタとかGファンクと呼ばれたスタイルのアルバム。プロデュースはもちろんアイス・キューブ。

キーボードにバーニー(Bernie Worrell)も参加し、ブーツィーが太いベースを弾いています。レイドバックと表現されたノリが気持ち良いこれ、人気盤だったのも納得。アイス・キューブ出演の映画 “Friday” のサントラにもつながっていく音ですが、Pファンク好きはぜひ。

“Thought I Saw A Pussy Cat” のプロモ盤には、ラップを抜いたインスト版も収録。


Disciples Of Christ “Righteous Funk”

“Wind-Me-Up”
“Hollywood”
“Right Way”
“Wind-Me-Up Reprise”

1994年。オクラホマはタルサのクリスチャン・ラップのグループ、だそう(ウィキペディアより)。キリストの弟子、正義のファンク、ですか。

ブーツィーに加えて、“Wind-Me-Up” にはキャットフィッシュ・コリンズ(Phelps “Catfish” Collins)、メイシオとフレッド(Maceo Parker, Fred Wesley)が参加。タイトル通りにラバーバンドのあの曲をカッコ良くリメイク。
そしてそしてこれもあの曲が元である “Hollywood” には、バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)が参加。一言、ファンクです。

ブーツィーがからんだ4曲中では、この2曲が目玉でしょうか。


2016年7月26日火曜日

Lucky Peterson “Lifetime”

“Time”
“Lifetime”

1996年。ラッキー・ピーターソンはギターにキーボードにとマルチなプレイヤーらしい。ブルース畑にとどまらないファンクとかポップに間口を広げたこのアルバムには、ブーツィーとバーニー、ドラムのデニス・チャンバース(Dennis Chambers)を迎えた上記の2曲を収録しています。
クレジット上では彼らを “P-Fomers”と名づけて遊んでいますね。

“Time” の出だしがまずカッコ良く。ブーツィーのアルバム “Ultra Wave” の巻頭を飾ったナンバー “Mag Push” を思わせて、おおっと膝を乗り出してしまう。そこから滑りこんでいく曲はすごくバウンスしますが、ベースラインはあくまで重心低く、まさに地を這うような。

このアルバムはCDではUS盤、フランス盤、ヨーロッパ盤と3種類あって、ブーツィーが目当てであればヨーロッパ盤がおすすめ。
フランス盤にはそもそもブーツィがらみの曲は含まれず。US盤は2曲を普通に収めていますが。
ヨーロッパ盤はというとCD2枚組であり、そのDisc2が、ブーツィーを始め “P-Fomers” 参加の2曲をそれぞれ3バージョンずつ収録しているというもの。計6トラックで30分、Pファンク・ファンに贈られた素晴らしいスペシャルおまけ盤になっています。

“Time (Mix 1)”
“Time (Mix 2)”
“Lifetime (Mix 1)”
“Lifetime (Instrumental)”
“Time Will”
“Lifetime (Mix 2)”

ヨーロッパ盤とUS盤では “Mix 1” のテイクは同じですが、続く “Mix 2” が基本的にインスト。“Mix 1” で盛り上がった演奏が、続けて “Mix 2” でも楽しめるという長丁場な仕掛け。きっちり作られたロング・バージョンであり、ブーツィーらしいお楽しみも盛りこまれています。

“Mix 3” に相当する “Time Will” も細かな音を引っこめてベースラインを強調させたブーツィー・バージョンになっていたり。このオマケ盤、ほんとにラッキーさんの太っ腹を感じるプレゼントであります。

逆に正統ブルース・ファンはこのオマケのDisc 2を聞いてどう思ったでしょうか。ブーツィーのスペース・ベース、のたうち回ってますものね。


2016年7月20日水曜日

Mtume “Theater Of The Mind”

“New Face Deri”
“I'd Rather Be With You”

1986年。80年代ファンクの硬質でエレクトロな響きは、好きな人は好き。レコード盤で聴くとまた違ったりしますが、中でもジェームズ・エムトゥーメイ(James Mtume)の作りだした Juicy Fruit のサウンドは、なんとも奥行があって立体的。間を活かしたリズムも最高です。
この空間に、“New Face Deri” ではブーツィーの最高のベース・プレイが走ります。最高の仕事です。ベタぼめです。

“I’d Rather Be With You” の再演は、これはタワサ(Tawatha Agee)のボーカルのためにやったのでしょうか。
エムトゥーメイとブーツィーの共演は、他にももっともっと聞きたかった。


2016年7月18日月曜日

L.J. Reynolds “Travelin’ ”

“Words”
“Travelin’ ”

L.J.レイノルズ2枚目のソロ、1982年作。ブーツィーはバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)とのコンビでアルバム冒頭を飾る2曲に参加。加えてバーニーは “You’be Got It” でもシンセ・ベースを決めています。

でもってこれに先駆ける1976年、L.J.レイノルズの3歳年上の姉であるジェニー・レイノルズのアルバムにも、ブーツィーとバーニーのコンビは参加しているのですが。

Jeannie Reynolds “Cherries, Bananas & Other Fine Things”

“The Fruit Song”
“The Feelin’ Ain’t There”
“You Want To Get Your Hands On A Woman”

こちらの3曲には一緒にグレン・ゴインズ、コーデル・モッスン、ゲイリー・シャイダーのPファンク勢も。年代的な理由なのか、バーニーは本名のGeorge Worrell、ブーツィーのスペルもBootsieとクレジットされています。これは日本でも昔はブーチーとか表記されたりしたことと同じでしょうね。

L.J.レイノルズ(ラリー・レイノルズ)は1952年、ミシガン州サギノウに生まれ、デトロイトで育つ。73年から80年までザ・ドラマティックス(The Dramatics)の2代目看板リード・シンガーを務め、あの “Me And Mrs. Jones” 他で知られる。一方、ブーツィーが1951年生まれというし。

この辺りのデトロイトつながりというのは、つまりプロデューサー/プレイヤーであるドン・デイヴィス(Don Davis)の人脈なのでしょうか。リズム&ブルースならぬリズム&ビジネスという言葉もありました。

ジョニー・テイラー(Johnnie Taylor)の “Disco Lady”(ブーツィーとバーニー、ドラムにジェローム・ブレイリー、ギターでグレン・ゴインズ)の大ヒット曲もそうです。プロデュースはもちろんドン・デイヴィス。

もしもPファンクやブーツィーが全国区的なヒットを飛ばさず、さほどメジャーな成功に至らなかったとしたら、後年、ブーツィーがゲスト参加や共演したアーティストは、今よりも少し異なる顔ぶれだったかもしれない。白人の数は減っていただろうし、ロック畑よりも、ローカルのソウルフルなブラック勢の割合が増えていたかもしれない。それこそ地元がらみの。

それはそれで聴きたかったと思うほど、この辺りの録音は魅力的です。素晴らしくダンサブル。


2016年7月14日木曜日

Hidden Treasures: Cincinnati's Tribute To King Records' Legacy

“Hide Away” Bootsy Collins With Sonny Moorman

2002年。オハイオ州はシンシナティゆかりのミュージシャンがキング・レコードのヒット曲をカバーするというコンピレーション盤。この曲ではブーツィーのダンサブルな打ち込みトラックに乗っかって、ブルース系ギターがノリノリでプレイされます。ウキウキするようなロッキン・インストのカバーですね。

かの御大 J.Bで有名なキング・レコード。フレディ・キング(Freddie King)やクラプトンのカバーでも知られる “Hide Away” との聴き比べも楽しい。


2016年7月12日火曜日

Old School New Style

Your Favorite Hiphop Classics Redone For Today

と副題にあるように、ヒップホップの名曲を“やり直し”したコンピレーション盤。2004年。
ブーツィーがカバーしたのは Grandmaster Flash and the Furious Five の “White Line (Don’t Don’t Do It)”。
鼻から吸いこむ白い粉の線、Don’t Do It、と。
この歌についてウィキペディアの紹介を直訳すると、

これはグランドマスター・メリー・メル( Grandmaster Melle Mel )の歌。1983年にシュガーヒルから12インチでリリース。シュガーヒル・ハウスバンドのダグ・ウィンビッシュ( Doug Wimbish )によるベースラインは、ニューヨークのバンド、Liquid Liquid の “Cavern” をカバーしたもの。

とある。元歌・元ネタのどちらもPVを見ますと、ブーツィーでもリスペクトするのが納得のカッコ良さです。
ブーツィーはあのベースラインを再現はせず、オリジナルな音でもってカバー。カッコ良いのはモチのロン。ですが元歌、元ネタがね、もう歴史というかすごすぎます。