2024年9月30日月曜日

Yerba Buena “President Alien”

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2003年。アンドレス・レビン Andres Levin 率いるイエルバ・ブエナ(ジェルバ・ブエナ)Yerba Buena のファースト・アルバム。

アンドレス・レビンはベネズエラはカラカスの出身、メンバーもキューバ出身等々で、活動拠点はニューヨークだそう。アフロ・キューバン、それにルンバ、サルサ、クンビア、ソカ、ブーガルー、そんなワードがマルチに飛びかうアルバムであります。

スペシャル・ゲストとして招かれた顔ぶれも、カルリーニョス・ブラウン Carlinhos Brown や、トレス Tres でマーク・リボー Marc Ribot に、ギターのデヴィッド・フュージンスキー David Fiuczynski やロイ・ハーグローヴ Roy Hargrove といった曲者ぞろい。
90年代後半にアート・リンゼイ Arto Lindsay を支えた仕事も評価されているアンドレス・レビンですが、フェラ・アニクラポ・クティへのトリビュート盤 “Red Hot + Riot”(2002年)に続いて、ここでもプロデュース、ミックスや録音に編集を始め、キーボードやギターもプレイと活躍。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello も一曲に、ベースおよびボーカルで参加。
アルバム “Red Hot + Riot” でアンドレス・レビン/イエルバ・ブエナと組んだ勢いそのままに、こちらも疾走する一曲。ロン・ブレイク Ron Blake のサックスも気持ち良く。彼はイエルバ・ブエナとしてアルバム全曲に参加。後半に少しだけ聴こえるミシェルの声も効果的。

アルバムとしては、エスニック度も上がって本格的に濃い曲もあるアルバムですが、ミシェルのこの曲は、“Red Hot + Riot” が気に入ったようなファンク好きも満足できる一曲でしょうか。実は同じセッションで録音したといわれても納得しそうなほど。

スペイン語のグループ名イエルバ・ブエナ(ジェルバ・ブエナ)は「良いハーブ」“good herb” と訳されるそう(ウィキペディアより)。ジャケットを見ればなんか思いきり吸いこんでいますが、暗いこと。それより、裏面の写真。ロバの背中にはターンテーブルが。こちらを楽しんでいる女性の図は明るく健康。



2024年9月23日月曜日

Red Hot + Riot

Me’Shell NdegéOcello + Yerba Buena! Featuring Ron Blake
“Gentleman”
Common, Me’Shell NdegéOcello + Djelimady Tounkara
“Tears + Sorrow”

2002年。フェラ・アニクラポ・クティ Fela Anikulapo Kuti へのトリビュート盤。
90年代から今も続く、Red Hot Organization の企画するチャリティ・アルバムのひとつですが、これが今聴いても気持ち良いこと。

アフロ・ポップ、エスノなアルバムということになりますが、ファンク好きにも充分に楽しめるさじ加減。
ディアンジェロ D’Angelo が二曲に参加。彼のアルバム “Voodoo”(2000年)の屋台骨を支えた顔ぶれがそっくりこちらにも、という具合で、その他色々と聴きもの多数であります。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はニ曲に参加。
プロデュースはアンドレス・レビン Andres Levin とミシェルの共同で。ボーカルにベース、キーボードにウーリッツァーもと、ミシェルも聴かせます。

イエルバ・ブエナ(ジェルバ・ブエナ)Yerba Buena! と組んでの “Gentleman” では、ミシェルの地を這うベースが7分近く曲を突進させ、さらにバンドに燃料を注ぎこんで焚きつけていく感じ。
続く、1分30秒ほどの曲 “Tears + Sorrow” で、熱くなったエンジンをクールダウン。こちらは小品ながら、西アフリカのマリ共和国出身というギター弾きのジェリマディ・トゥンカラ Djelimady Tounkara と、ラップでコモン Common が参加。

どちらの曲にも参加したサックスのロン・ブレイク Ron Blake ですが、90年代にはロイ・ハーグローヴ Roy Hargrove の諸作、2000年代にはクリスチャン・マクブライド Christian McBride の諸作、といったアルバムでプレイしているサックス吹き。
この後の2005年の彼自身のアルバム “Sonic Tonic” は、ミシェルがプロデュースをすることに。また、同年のミシェルがまとめたアルバム “The Spirit Music Jamia: Dance Of The Infidel” の方にも一曲に参加していたり。
彼だけでなく、他の曲でもロイ・ハーグローヴ Roy Hargrove やアーチー・シェップ Archie Shepp といったジャズ屋がちらほらと。アフロ・グルーヴといいますか、それに似合う太いホーンを要所で聴かせてくれます。

イエルバ・ブエナ(ジェルバ・ブエナ)を率いるのが、アンドレス・レビン。
彼はこのアルバムの半数以上の曲にも関わっていて、プロデュースやエンジニア等、裏方としても重要な働きをしたと思われます。そしてこの後、イエルバ・ブエナ(ジェルバ・ブエナ)のファースト・アルバムを制作することに。



2024年9月12日木曜日

Bernie Worrell “Wave From the Wooniverse”

What Have They Done To My Funk

2024年。バーニー・ウォーレルの蔵出し音源集。ようやく、という気もしますが。幅広い時期から集められたようで、クレジットには、バーニーの奥さまの名前も見えます。

ブーツィーに関しては一曲のみ、ボーカルのみで。
Bootsy Collins, Michael Moon Reuben, Ouiwey Collins, Buckethead
Featuring として名前が前に出ていますが。
Michael Moon Reuben という方が、ギター、ベース、シンセプログラム、それにプロデュースだそう。これが元々からの演奏なのか、今回の最終仕上げのリミックス・差し替え的な演奏なのかは不明です。

他にもホーン等で、古くからPファンク関連で見かける名前が散見されて。
サックスの Darryl Dixon という方は、バーニーの “Improvisczario” や Baby Elephant “Turn My Teeth Up!”(共に2007年)、“Standards”(2011年)といったアルバムにも参加していました。
また、Science Faxtion(2008年)の Tobe Donohue とかの名前もあり。

いつ頃の何のための録音なのか、お蔵入りしたものか、途中で放り出されたものなのか。クレジットからは判りません。
バーニーのプレイもさほど目立つものではなく。ファンカデリックの未発表曲まで収められているこの音源集の中では、他にもっと聴きどころがあるかというところ。
バーニーとブーツィーの名コンビぶりならば、きっともっと聴きたいものが山ほどあるはず、、、



2024年9月3日火曜日

A Song For Leon: A Tribute To Leon Russell

U.S. Girls with Bootsy Collins
“Superstar”

2023年。レオン・ラッセル Leon Russell へのトリビュート・アルバム。
カントリーやロック畑の顔ぶれが目立つ中で、ブーツィーの参加はちょっと異色か。

数多くさまざまにカバーされている超有名曲をやっているわけですが、1984年にはルーサー・ヴァンドロス Luther Vandross による(とてもシリアスな)カバーもあり。やはり正攻法といいますか、歌唱力を活かしてのカバーが多いところでしょうか。
このアルバムを手に取るような(例えば米国の)方々の幾人がブーツィーを知っているものか、どうなんでしょう。

U.S.ガールズはメーガン・レミー Meghan Remy という女性のソロ・プロジェクトとのこと。インディーズ系に人気があるそう。ちょっと変わった個性の方でしょうか。ちょっと変わった個性というのがもう当たり前ですが。

サウンドの方も少し変わっていて、よく聴くとなにか妙な音が鳴っていますが。
ブーツィーはメーガン・レミーの歌にからんで喋る、いつものボーカル・スタイル。今回はそのからみ方も合いの手というより、茶々を入れるといいますか。
これは邪魔をしている、壊しにかかっている、レオン・ラッセルのファンにはそう聴こえるのでは。スペース・ベースも飛び出してきますが、ノイズとしか思わないでしょう。
それこそルーサーの歌とは真逆な。

クレジットによれば、メーガン・レミーはボーカルのみ、プロデューサー、アレンジャーはブーツィーと Max Turnbull という方(メーガン・レミーの旦那さんみたい)。

Your guitar, it sounds so sweet and clear

あなたのギターは甘く澄んだ音色ね、と歌詞の一節で歌われているのですが、これがブーツィーお気に召さないから、なんて。
ソニック・ユース Sonic Youth による(カーペンターズに捧げた)カバーも印象的でした。こちらもノイズまみれで、ひたすらに憂鬱で。