2021年4月28日水曜日

Sly & Robbie + Groucho Smykle “Dubrising”

2014年。スライ&ロビーと、ポール・グルーチョ・スマイクル Paul “Groucho” Smykle によるミックス。これがなんと両者の顔合わせは30年ぶり、という新たなダブ盤の登場でした。
ヴァイナル盤に加えて、配信でも簡単に入手できます。

スライ&ロビーの“Dub Experiance”、ブラック・ウフルの“Dub Factor”といった盤と地続きの、あの音が好みという方を裏切ることのない一枚です。
元ネタの曲は、スライ&ロビーが TABOU 1 レーベルに残した各曲のよう。ホレス・アンディのアルバム(Horace Andy + Sly & Robbie “Livin’ It Up”)から等。
この TABOU 1、スライ&ロビー好きにはたまらないフランスの会社であります。頭が下がります。

配信といえば、他にも。

“Raiders Of The Lost Dub”

1981年。ポール・グルーチョ・スマイクル Paul “Groucho” Smykle が選曲というダブ盤。隠れ名盤とも評されるこちらも、現在は配信で簡単に入手できます。
スライ&ロビーがらみの曲を中心に、中でもブラック・ウフルの4曲、Sinsemilla、Guess Who’s Coming To Dinner、Sponji Reggae、Journey のダブ版が聴けたり。

CDとしては、“Time Warp Dub Clash - Old School Vs. New School”(1993年)というコンピ盤に、全曲が収録。オリジナル盤とは異なる形ですが、タイトル「タイム・ワープ〜」やジャケのデザインがお気に入り(オリジナル以上かも)。



2021年4月12日月曜日

Sly & Robbie ‎“Version Born”

2004年。ビル・ラズウェル Bill Laswell によるプロデュース。ギター、鍵盤、それにアレンジも。彼とスライ&ロビーとの仕事は何年ぶりでしょうか。

このアルバム、クセがあるというか。スライ&ロビーの名義ではありますが、やはりビル・ラズウェル、彼の存在がうかがえて。

全12曲の内、Dub とタイトルされているのものが4曲。これはボーカル無しのダブ(インスト)であり、スライ&ロビーらしいといって良いもの。
しかも、“Right Stuff Dub” はタイトル通りに、ブラック・ウフルの(アルバム “Chill Out” 収録の)曲を引っ張り出してきて、楽しませてくれるというサービスぶりです。

クセがあるというのが残りの8曲で。ラッパーやボーカルも加わったこちらは、ビル・ラズウェルの主導ではないかというもの。
スライ&ロビーがどうもバック・プレイヤー的なものに後退して聴こえるような。この8曲がどこまで好みか、というのが分かれ目になりますでしょうか。ジャケットのオモテ面に大きくビル・ラズウェルの名前を出すべき。あまりレゲエ好き、ダブ好きにはお勧めしにくいか。



2021年4月8日木曜日

Sly & Robbie “Blackwood Dub”

2012年。2010年代に入ってからの、まるっと一枚、新録のダブ(インスト)・アルバム。
モノクロのジャケット写真も良い感じですが、スライ&ロビーの二人の前に見えるのは車の屋根。これがタクシーで、これからプレイするため下車したところなのか、終わって仕上げた後に帰るため、乗車するところなのか。そんな一幕も連想される絵です。

ブラックウッドというのも意味ありげなタイトルですが、これはプロデュース、ミックスを手がけた Alberto “Burro” Blackwood という方の名前からだそう。名前がタイトルに、なんと名誉なことでしょうか。

1曲めからカッコ良く、ドライブしていくスライ&ロビーのプレイ。特にスライのドラミングが堪能できます。その分、音響効果は出しゃばらずに控えめ、ダブとしては渋めの一枚でしょうか。

Sly & Robbie “Underwater Dub”

2014年。そして続編といえるアルバムがこれ。基本路線は変わらず。いくぶんか派手めの曲が増えたような、でもアルバムの顔になるような目玉の一曲に欠けるか。一番変わったのはジャケットですか。隠しトラック有ります。

これより以前の2000年代にも、ちらほらと目立つダブ盤がありました。

Horace Andy + Sly & Robbie “Livin’ It Up”

2007年。大御所といって良いかと思われるホレス・アンディの、スライ&ロビーのバッキングによるアルバム。
70年代的な音づくりで、いくつかの曲で後半がダブに突入したり。やっぱりホレス・アンディはダブが似合う男。レコーディング風景を撮影したDVD付きで、これもグッときます。

Sly & Robbie Present Chezidek “I Grade”

2009年。通常のボーカル盤とダブ(インスト)盤のCD2枚組み。
これのプロデュースにはスライ&ロビーと共に、Alberto “Burro” Blackwood の名前が。この方、ホレス・アンディのアルバムの方にもからんでいまして。やはりどんな年代になろうと、やりたいのはダブ、という人物か(だと頼もしい)。ダブはたっぷりエコー多め。

2021年4月5日月曜日

Michael Rose / Sly & Robbie “X Uhuru”

1998年。ブラック・ウフルを抜けたその後のマイケル・ローズですが、スライ&ロビーと組んだものといえばこれ。
アルバムに先行して、スライ&ロビー名義のコンピ盤に含まれた曲があったりも。

Sly & Robbie ‎“Sound Of Sound: Volume 2”(1993年)
Sly & Robbie Present The Taxi Gang ‎“Hail Up The Taxi”(1995年)


ひたすら反復されるデジタルな打ち込みリズムは、ブラック・ウフルの頃とは違うノリ。これがけっこうアフロな何かを感じさせたりもして、中毒性も高く。
その魅力は、さまざまなボーカルの収録されたコンピ盤で聴く方が楽しいかも。スライ&ロビーのコンピ盤は90年代のものであってもやっぱり楽しい。
ただ、ベースの弦らしい(振動する)音は聴かれませんが。

後の2005年には、アルバムから7曲がダブ(インスト)としてもリリース。こちらは配信のみですが、トラックの魅力を改めて再確認。

Michael Rose + Sly & Robbie “Taxi Sessions Version + Dub”


ところで、90年代にスライ&ロビーがアルバム一枚をバッキング、プロデュースをした他の作品ですが。

Ini Kamoze “Here Comes the Hotstepper”
Yami Bolo / Sly & Robbie “Freedom And Liberation”


アイニ・カモーゼの1995年のアルバムなどは、相当に刺激的なサウンドですし。ヤミ・ボロの1999年のアルバムでは、リー・ペリーのあの “Curly Rocks” をカバーしている一方で、スティーヴィー・ワンダーの “Boogie On Reggae Woman” もファンクにカバーしていたり。
当のマイケル・ローズのソロ作以上に、これはブラック・ウフルの延長にあるかも、となんとなく感じたりも。



2021年4月1日木曜日

Gregory Isaacs + Sly & Robbie Live 85

2015年。これが配信のみですが、グレゴリー・アイザックスとスライ&ロビーの1985年のライブ。素晴らしく、気持ち良く楽しませてくれます。

まずアタマの8曲がスライ&ロビー達によるインスト・コーナー、そしてイントロをはさんでのグレゴリーの12曲。
Sly & Robbie (Taxi Gang / Ini Kamoze / Half Pint / Yellowman) “Live 86” と同じ進行が聴けるわけですが。

こちらでは、なんといってもあの “Queen Of The Minstrels” が聴けます。スライ・ダンバーのソロ作でもかってカバーされていました(Sly Wicked And Slick)。レゲエ好きで嫌いな人はいないはず、というこの曲。
そうして熱くなったところで、グレゴリーの登場となります。音も良いし、もう満足。