2017年11月25日土曜日

William Bootsy Collins “The One Giveth, The Count Taketh Away”

1982年。ジョージ・クリントン親分の自伝を読んだところ、80年代の到来を本格的に見据えた、このブーツィー初のセルフ・プロデュース作のアルバムについて、コメントが有り(324ページ)。

親分自身の “Atomic Dog” とブーツィーの “Body Slam” が、同時にヒットチャートに昇っていたことを素直に嬉しがっているのですが、一方で、ブーツィーの(“Body Slam” 以降の)レコードを聴くと、もどかしい気持ち、複雑な心境になるとも述べています。なるほど、親分の親心が知れるコメントです。

確かにブーツィーだけでは、という面があるのは仰る通り。実際、もう少し親分に毒を盛ってもらえば良かったのかもしれません。どうすればもっと効くのか、処方箋も見えていたのでしょう。

とはいえ当の親分にも、ブーツィーにも、旅立ってしまったバーニーにも、なかなか事は思うようには運ばず。今もって、理想の音は遠く。
Pファンクのファンの皆にはとっくに聴こえているのですけどね、その音は。


2017年11月23日木曜日

Midnight Star “Victory”

“Hot Spot”

1982年。これもモロに80年代アタマの音。ブーツィーが元気よくボーカルであおるこの曲、ダンスフロア直送のサウンドでありますし、いかにもブラックなタイトルをつけられていますが、けっこう細かく聴かせたりもして飽きさせません。

ミッドナイト・スターといえば次のアルバム “No Parking (On The Dance Floor)” があまりにもヒット作。
写真は彼らの“Anniversary Collection” と題された1999年のベスト盤。こちらの選曲でもその83年以降の曲が多く。ブーツィー参加の “Hot Spot” も入っていますが、なんといっても “Slow Jam” がスタジオ版と、オマケにライブ版まで収録されていたりするのが得点高し。
彼らの場合、ダンスものばかりではね、やっぱりスロー・ナンバーが大事。

Dayton “Hot Fun”

“Krackity Krack”

1982年。Xavier(ゼヴィア、イグゼイヴィア)の “Point Of Pleasure” をプロデュースしていたラーニ・ハリス(ラーニ・ソングとも。Rahni P. Harris, Jr.)が、同じく手がけたデイトン(Dayton)の3作目のアルバム。

ジョージ・クリントン親分の初ソロ・アルバム “Computer Games” にも参加しているラーニ・ハリスですが、ブーツィーとも、つきあいは70年代末からと長いよう。ここではゲストとしてボーカルを披露しているブーツィーです。

デイトンの代表作といえばラーニが正式メンバーとして関わる次のアルバム “The Sound Of Music” が高名ですが、スライのカバーで幕を開けるこちらも80年代アタマな勢いが魅力。ジャケのイラスト通りです。


2017年11月13日月曜日

Xavier “Point Of Pleasure”

“Work That Sucker To Death”
“Do It To The Max”

1982年。ジョージ・クリントン親分と共にブーツィー、2曲に参加。
親分の自伝によると、否も応もなしに70年代の全盛期から下り坂を迎えて、なんとかソロ名義でのヒット “Atomic Dog” が生まれる前の、ちょうど谷の時期に呼ばれたゼヴィア(ゼイヴィア、イグゼイヴィア)との仕事は、自分はまだやれる、良い曲を作れると自信を持たせてくれたそう。

その言葉通りに、楽しくダンサブルの一言につきる2曲。80年代始めらしい(これホメ言葉です)シャープなノリで、ブーツィーのベース・ラインも快調に走っています。


2017年11月5日日曜日

O.G. Funk “Out Of The Dark”

1993年。ビリー “ベース” ネルソン(Billy “Bass” Nelson)も、ファンカデリックのオリジナル・メンバーだった一人。
加えて、他にはバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)、ジェローム・ブレイリー(Jerome "Bigfoot" Braily)といった(かっての)Pファンクの面々も参加したアルバム。
ビル・ラズウェルが共同プロデュース、タル・ロス(トール・ロス、Tal Ross)のソロ・アルバムに大きく絡んでいた Peter Wetherbee なる人物の名前も見えます。

ビリーを主役に立てたファンカデリックの(本家ではない一部の)再結成バンドという位置づけになりましょうか。
曲はストレートにファンカデリック。オマージュとかカバーというより、俺達の作った曲、スタイルという主張も強く。オリジナル、というバンド名の通りです。

今となっては、そのオリジナルという一言がポイントでしょうか。Pファンク好き向けだろうと、そうでない人向けだろうと、魅力あるオリジナルの音を発しているかどうかです。
例えばタル・ロスのサウンドと、やっぱり比べられたりしますし。

2017年11月4日土曜日

Tal Ross a.k.a Detrimental Vasoline “Giant Shirley”

1995年。タル・ロス(トール・ロス)はファンカデリックのオリジナル・メンバーだった一人。71年にバンドを抜けた後、何をしていたものか、実に25年ぶりに出したソロ・アルバムがこれ。
伝説的なギタリストのよみがえりでありますが、この一枚のみで今もまた沈黙を続けています。

プロデュース、および全曲をタルと共作とクレジットされている、Peter Wetherbee なる人物が仕掛け人でしょうか。ビル・ラズウェルと関係のある方のようですね。
アルバムの巻頭に置かれたのが、20秒に満たない “Ain’t No Reason” という曲。デルタなブルースです。オープニングを飾るのが役目の小品ではありますが、これでぐっと捕まれます。タイトルは “理由は無し”、ですか。このブルースにとても惹かれます。

この曲の続きだとか、他にもブルースな曲が聴いてみたいものです。元ファンカの看板に恥じない一枚だと思いますが、そこに頼らなくても、さらにこの後に2作目、3作目とアルバムが続いていたとしたら、もしかすると聴けたのかもしれません。