2025年11月27日木曜日

Laïka “Nebula”

Visions

2011年。ライカ(ライカ・ファティエン Laïka Fatien の名前でも)はフランスはパリ出身の歌手。
アルバムはミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello によるプロデュース。ミシェルはアレンジと、また一曲のみベースのクレジットもあり。

なぜこのスローな曲(スティーヴィー・ワンダー Stevie Wonder “Visions” のカバー)だけベースをプレイしているのかは不明ですが、好きで選曲をしたとか、案外、最初はゲスト参加のつもりが結局はプロデュースまで手がけたとか。
ミシェルのプロデュースといっても、ミシェル自身のアルバムで聴かれるような音ではなく。ここは裏方で応援、主役の舞台設定を整えてあげたような感じで。

聴いていて気持ちの良いアルバムです。ジャズ・ボーカルのアルバムには違いありませんが、もっと広くに聴かれて欲しいような。ミシェルの狙いとしてもそんなところなのかも。
ビョーク Björk の “Boga” もやっておりますが、テンポを落としてこれも聴かせるカバーであります。

ミシェルのこの時期のオリジナル・アルバム、“Devil’s Halo”(2009年)、“Weather”(2011年)に参加し、ミシェルを支えた顔ぶれがこちらの方でもプレイしており。
ドラムのディアントニ・パークス Deantoni Parks に、ギターの Christopher Bruce (Chris Bruce) や、鍵盤の Keefus Ciancia の三人。
それにミックス、マスターはボブ・パワー Bob Power による、というミシェル陣営の顔ぶれ。

ミシェルのプレイした一曲を除いて、基本のベースは The Roots のマーク・ケリー Mark Kelley が担当、ドラムにはケンドリック・スコット Kendrick Scott の名前も。
またホーンで、三曲にオリヴァー・レイク Oliver Lake が。彼の息子でドラムのジーン・レイク Gene Lake とミシェルは度々共演していてお馴染みでありますが。

この時期、クレイグ・ストリート Craig Street によるプロデュース仕事にも密接に携わったミシェルですが、その良い影響、大げさにいえば共振も聴かれるような。アルバムは日本版もあり。


2025年11月22日土曜日

Amy Cook “Summer Skin”

2012年。前年の2011年から発表された、クレイグ・ストリート Craig Street によるプロデュース、そしてミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで全面的に参加、という女性歌手のアルバム3種の、そのひとつ。

エイミー・クックは米国の歌手。クレイグ・ストリートのプロデュースしたアルバム3種の中では、彼らしいカントリー・テイストも溢れつつ、これがもっともロック寄り。ドラムとギターの音がでかく、なにより腹にぐっと力を入れて声を出しているボーカル。
ゲストには大御所のロバート・プラント Robert Plant も二曲に参加。超有名な方ですが、ミシェルとの組み合わせというのも意外で面白いところ。

今作ではところどころでサイケ風味も聴かれて。ジャケットを見ると、これもサイケなデザインに思えてくるような。
写真のエイミー・クック氏が化粧というかペイントをしていて、額から鼻筋に引かれた線が、なんだか昔の70年代初期のSF映画を思わせるような。
フェイス・ペインティングは、ミシェルもアルバム “Comet, Come to Me”(2014年)でやることに。ミシェルの場合、未来のSFぽくもあり原始部族ぽくもあるデザインで。

さて、クレイグ・ストリートと密に関わったミシェルでありますが、この時期のオリジナル・アルバムというのが、
“Devil’s Halo”(2009年)、“Weather”(2011年)、それに、“Pour une Âme Souveraine: A Dedication to Nina Simone”(2012年)(ニーナ・シモン追悼作)。

これらの3作品と、クレイグ・ストリートのプロデュースしたアルバム3種は、幾人かの演奏者が共通していて。例えばギターの Christopher Bruce (Chris Bruce) は、アルバム6種のすべてに参加していたり。

ミシェルのこの時期の3作品に加えて、その前の “The World Has Made Me the Man of My Dreams”(2007年)でもドラムを叩いていたのが、ディアントニ・パークス Deantoni Parks という方であります。
ミシェルの4枚ものアルバムで、最重要ポジションである、ドラムという大役を務めた実力と実績。ミシェルを支えた重要人物のひとりといえますが。

なのですが、このドラマーに限っては、クレイグ・ストリートのプロデュース作品には、どこにも名前がなし。
この方、とあるインタビューで、ポップにはまるで興味がなしと言いきっていた人物であります。見事に対象外というのを徹底しているようで。



2025年10月29日水曜日

Alyssa Graham “Lock, Stock & Soul”

2011年。この年から翌2012年にかけて発表された、クレイグ・ストリート Craig Street によるプロデュース、そしてミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで全面的に参加、という女性歌手のアルバム3種の、これもそのひとつ。

アリッサ・グラハムは米国の歌手。さわやかなクセのない声、カントリー・テイストをうまくフォーキーに仕上げて、ゆったりとしたメロディで。このアルバムは日本版も発売。
逆にクレイグ・ストリートということでは、彼らしいダークな面までも期待すると少々物足りないかも。夜半ではなく、良く晴れた日中にも聴ける作品ということで。

ミシェルが目当てとなると、また違う聴きどころが。
クレイグ・ストリートのプロデュースしたこちらのアルバム3種には、ミシェルだけでなく、この時期のミシェルのオリジナル・アルバムの制作に携わったバンドの顔ぶれも幾人か参加していて。

ミシェルのこの時期のアルバムというのが、
“Devil’s Halo”(2009年)、“Weather”(2011年)、それに、“Pour une Âme Souveraine: A Dedication to Nina Simone”(2012年)(ニーナ・シモン追悼作)。

ギターの Christopher Bruce (Chris Bruce) は、ミシェルのこの3作品と共に、クレイグ・ストリートのプロデュースしたアルバム3種にもすべて参加。
かってPファンク一派の若手バンド、インコーポレーテッド・サング・バンドの一員だったギター弾き。アルバム INCorporated Thang Band “Lifestyles Of The Roach And Famouth”(1988年)でもしっかり弾いています。
ミシェルとPファンクのつながりや、しかも相当に頼りにされたというのが嬉しいところ。

それどころか彼は、ミシェルの “Comet, Come to Me”(2014年)、“Ventriloquism”(2018年)、“The Omnichord Real Book”(2023年)、“No More Water: The Gospel of James Baldwin”(2024年)とその後も現在までアルバムに参加し続けているのが驚き。ミシェルの女房役なのか懐刀なのか、その変化にずっとつき合っているのは確かで。
彼の場合、ミシェルに限らずかなり広い範囲の音楽家の方々ともやっておりますが。

鍵盤の Keefus Ciancia も、“Devil’s Halo” と “Weather” に参加、そしてこちらのアリッサ・グラハムのアルバムにも。
クレイグ・ストリートとミシェル陣営はこの時期とても密だったようです。



2025年10月19日日曜日

Madeleine Peyroux “Standing On The Rooftop”

2011年。この年から翌2012年にかけて発表された、クレイグ・ストリート Craig Street のプロデュースによる女性歌手のアルバム3種に、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで全面的に参加しており。その内のひとつがこちら。

マデリン・ペルーは米国の歌手。ジャズ系と紹介されることが多いようですが、つまりブルースからカントリーにロック、ポップスまで幅広く歌いこなすわけで。
その声や歌に、よく引き合いに出されるのがビリー・ホリデイ Billie Holiday の名前。本人も相当に意識しているようですが、嫌みは感じられず。

完全に歌が主役の、落ち着いたスロー系のアルバムですから、バンドのバッキングも過度に前に出ることはなく、ミシェルのベースも控えめですが、とはいえ。

ドラムはチャーリー・ドレイトン Charley Drayton で、しぶい仕事ぶりを多々見せる技巧派。一方で、キース・リチャーズ Keith Richards のソロ活動バンドや、ロベン・フォード Robben Ford のアルバム “Tiger Walk”(1997年)では、スティーヴ・ジョーダン Steve Jordan とバーニー・ウォーレル Bernie Worrell を相手にベースを担当したりも。
ギターの Christopher Bruce (Chris Bruce) は、かってPファンク一派の若手バンド、インコーポレーテッド・サング・バンドで活躍していたお方。アルバム INCorporated Thang Band “Lifestyles Of The Roach And Famouth”(1988年)でもしっかり弾いていました。
他にギターではマーク・リボー Marc Ribot や、またピアノでアラン・トゥーサン Allen Toussaint といった名前も。
ひと癖ありげな独特の顔ぶれでしょうか。マデリン・ペルーの自作の曲と共に、ビートルズやボブ・ディラン、ロバート・ジョンソンのカバーも交えながら、最後まで飽きさせません。

クレイグ・ストリートらしいダークさも良い塩梅で。彼のプロデュース作品でも、カサンドラ・ウィルソン Cassandra Wilson や、ミシェルのアルバムに比べれば、こちらは気軽に手に取りやすく。長く聴けるアルバムなのは同じ。


2025年9月28日日曜日

Lizz Wright “Fellowship”

Fellowship
Feed The Light

2010年。リズ・ライトは米国の歌手。ジョージア州出身で、ハイ・スクール時代は聖歌隊に参加だそう。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はベースで二曲に参加。といっても特に目立つプレイではなく、正直、彼女でなくてもという音ですが。
“Fellowship” はミシェル作の曲で、彼女のアルバム “Comfort Woman”(2003年)に収録されていたオリジナル版はレゲエでした。それが少し重めのゴスペルに。

リズ・ライトは、ミシェルとは関わりが多いよう。

ミシェルのアルバム “Bitter”(1999年)をプロデュースしたのがクレイグ・ストリート Craig Street でした。リズ・ライトも彼をプロデューサーとして迎えて2ndアルバムを制作。
そのアルバム “Dreaming Wide Awake”(2005年)には、チョコレート・ジニアスの “Chasing Strange” という曲が収録されていて。
チョコレート・ジニアス Chocolate Genius Inc. 本人によるオリジナル版は “Black Yankee Rock”(2006年)というアルバムで聴けますが、このアルバムのプロデュースがクレイグ・ストリートであり、ミシェルもベースで参加で。

またリズ・ライトは、ザ・バンド The Band のトリビュート作に参加。
アルバム “Endless Highway: The Music of The Band”(2007年)に収録されたそのカバー曲 “Whispering Pines” では、ジェイコブ・ディラン Jakob Dylan とデュエット。プロデュースはジョー・ヘンリーでした。
で、ジョー・ヘンリー Joe Henry のアルバム “Scar”(2001年)をジョーと共同でプロデュースしたのがクレイグ・ストリート、でミシェルも一曲 “Mean Flower” のベースで参加で。
元々、ジョー・ヘンリーはクレイグ・ストリートがプロデュースしたミシェルのアルバム “Bitter” では、一曲 “Wasted Time” にボーカルで参加もしていました。

そしてリズ・ライトの3rdアルバム “The Orchard”(2008年)も、引き続きクレイグ・ストリート Craig Street によるプロデュースでした。
これにミシェルは参加しておりませんが、彼女を長年に渡って支え続ける懐刀である、Christopher Bruce (Chris Bruce) が全面的に参加。ギターにベースとミシェルに代わって活躍しております。 
そうして、この4thアルバム “Fellowship”(2010年)でミシェルと直接に仕事をしたという流れで。タイトルを直訳すれば、「仲間」「友情」「共同体」であります。

この後、リズ・ライトは、ミシェル自身のアルバム “Pour une Âme Souveraine: A Dedication to Nina Simone”(ニーナ・シモン追悼作、2012年)にゲストとして参加することに。“Nobody’s Fault But Mine” で歌っています。

なにかと接点が多いような。でもってリズ・ライトの新しいアルバム “Shadow”(2024年)では、再びミシェルがゲストに招かれています。



2025年9月14日日曜日

Karl Denson’s Tiny Universe “Brother’s Keeper”

2009年。カール・デンソンは米国のサックス吹き、兼ボーカル。
自身のアルバムや活動に加えて、ジャズ畑からロック・ポップス界隈まで数多くの(有名スター級の)方々との共演やバックを努めていて、幅広く活動している方のよう。

こちらは、自分の歌が主役のR&Bなアルバム。
全編、60-70年代のレトロなスタイルを重視したR&Bバンドといった趣きで。一曲めが、まるで往年のモータウンを思わせるような曲。まさにソウル歌手という線で歌っております。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はベースで全面的に参加。
カール・デンソンとミシェルは、これまでいくつかのアルバムで、同じゲストとして参加し名を連ねたりもしていますが、同じ曲で直に共演というのはなかったような。
ミシェルのプレイはいつも通り間違いなく。バンドの一員として収まっていますが。

収まりすぎといいますか、それ以上、を期待するとなるとどうも。バランスが大事という見方もありますが、その点は刺激に欠けるかも。
歌のない、インスト曲が一曲だけあって。ベースのリフも走りますが、この曲ぐらいはもう少し各プレイヤーたちに暴れさせるとか。歌伴ではないバンドの見せ場があっても良いかも。

ミシェルもこの時期、モータウンやスタックス、アトランティック等の、60年代末のナンバーをけっこうカバーしていますし。せっかくだから(ベース弾きという以上に)彼女を活かして、何かもう一味、レトロ趣味にプラスしていただければ。