2025年10月19日日曜日

Madeleine Peyroux “Standing On The Rooftop”

2011年。この年から翌2012年にかけて発表された、クレイグ・ストリート Craig Street のプロデュースによる女性歌手のアルバム3種に、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで全面的に参加しており。その内のひとつがこちら。

マデリン・ペルーは米国の歌手。ジャズ系と紹介されることが多いようですが、つまりブルースからカントリーにロック、ポップスまで幅広く歌いこなすわけで。
その声や歌に、よく引き合いに出されるのがビリー・ホリデイ Billie Holiday の名前。本人も相当に意識しているようですが、嫌みは感じられず。

完全に歌が主役の、落ち着いたスロー系のアルバムですから、バンドのバッキングも過度に前に出ることはなく、ミシェルのベースも控えめですが、とはいえ。

ドラムはチャーリー・ドレイトン Charley Drayton で、しぶい仕事ぶりを多々見せる技巧派。一方で、キース・リチャーズ Keith Richards のソロ活動バンドや、ロベン・フォード Robben Ford のアルバム “Tiger Walk”(1997年)では、スティーヴ・ジョーダン Steve Jordan とバーニー・ウォーレル Bernie Worrell を相手にベースを担当したりも。
ギターの Christopher Bruce (Chris Bruce) は、かってPファンク一派の若手バンド、インコーポレーテッド・サング・バンドで活躍していたお方。アルバム INCorporated Thang Band “Lifestyles Of The Roach And Famouth”(1988年)でもしっかり弾いていました。
他にギターではマーク・リボー Marc Ribot や、またピアノでアラン・トゥーサン Allen Toussaint といった名前も。
ひと癖ありげな独特の顔ぶれでしょうか。マデリン・ペルーの自作の曲と共に、ビートルズやボブ・ディラン、ロバート・ジョンソンのカバーも交えながら、最後まで飽きさせません。

クレイグ・ストリートらしいダークさも良い塩梅で。彼のプロデュース作品でも、カサンドラ・ウィルソン Cassandra Wilson や、ミシェルのアルバムに比べれば、こちらは気軽に手に取りやすく。長く聴けるアルバムなのは同じ。