2024年8月29日木曜日

Bird Up - The Charlie Parker Remix Project

Me’Shell NdegéOcello
“Relaxin’ At Camarillo (August 29)”

2003年。タイトル通りの「チャーリー・パーカー・リミックス・プロジェクト」アルバム。集められた顔ぶれが、なかなか。
ハル・ウィルナー Hal Willner を始め、あのハンサム・ボーイ養成学校 Handsome Boy Modeling School の有名講師、ダン・ジ・オートメイター Dan The Automator 等々、予定調和とか自己満足とはほど遠い方々であります。単純にフロア向けにダンス・ビートに仕上げました的なトラックは一切なし。アルバムの宣伝文句によれば、
Cutting edge remixs and reconstructions

ミシェル・ンデゲオチェロが手がけた一曲はチャーリー・パーカー1947年の “Relaxin’ At Camarillo”
リミックスといっても、元曲のテーマ部分をそのまま持ってきているぐらいで、後は自分たちの考えるスタイルで演奏しています。

ひと言でいえば、Bird meets J.B
チャーリー・パーカー・ミーツ・ジェームス・ブラウン、今どきのジャズ仕様のインストであります。

クレジットでは、プロデュースに構築、つまり、つくったのはミシェル。彼女はベースも。
追加(Additional)されたその他、またプログラミングは、クリス・デイヴ Chris Dave によるもの。
そしてハモンド B-3 オルガンは、レイモンド・アングリー Raymond Angry が。数々のアーティストと関わっていて、The Roots や D’angelo ともやっている方ですが、ちょろちょろとパーラメントのあの曲を差しこんできます。

ミシェルのベースは、通低音のように音数少なくベーシックに鳴って、ずっと引き立て役ですが、徐々に変化して、ほんの少しだけ、わずかなフレーズを聴かせたりして。渋すぎる、カッコ良さ。

録音は Dave Dar とクレジット。この人物、先に挙げたソウライヴ Soulive のリミックス・アルバム “Turn It Out [Remixed]” で、ミシェルが参加した一曲 “Doin’ Something” では、ミックスを担当とクレジットされていた人物のよう。共通の顔ぶれに、録音場所も、同じ Soulive Studios とのことで。ひょっとすると、両者は並行して制作されていたのかも。

といっても、こちらは自由に制作できるのですから、入れ込み具合が違ってくるのも当然のこと。

さて、このリミックス・アルバムと同時に、チャーリー・パーカーの元曲の方を集めたコンピ盤も発売されています。いずれも1945年から48年にかけて録音された11曲。

Bird Up: The Originals

オリジナルのベスト盤としては曲数が少ない、ですが各リミックス曲の想像力の源泉、ソースですから、これは楽しいです。安さにつられて購入した次第ですけども。

チャーリー・パーカー Charlie Parker Jr. の有名な愛称「バード」というのが、彼の演奏が「羽ばたく鳥のように自由で華麗だった」から、そう呼ばれるようになった、と言われています。
実際の真偽は不明とのこと、それでも楽譜から飛び出して、その場かぎりの、その瞬間のひらめきに忠実に、即興で多彩なフレーズを繰り出すジャズのプレイや感覚を見事に言い表わした愛称であります。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello の名前と同じ。ウンデゲオチェロ、ウンディジオチェロ、なんと表記すれば良いものか(もうずっと)疑問ですけど。



2024年8月22日木曜日

Soulive “Turn It Out [Remixed]”

Doin’ Something Remix

2003年。米国はニューヨーク出身のソウライヴ。ギター、ドラム、キーボードの三人組みというジャズ・ファンク系のバンドだそう。これは1999年のデビュー・アルバム “Turn It Out” をリミックスした曲が主に集められたアルバム。
ウィキペディアでは次のように表現して、

Each tune was reworked, remixed and replayed

つくり直し、リミックスし、再演奏し、、、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はこの新たなトラックに参加。ボーカルおよび、追加(additional)されたベースとウーリッツァー、とクレジットがあり。

シンプルなヒップホップのビートが5分ほど続いて、前半はラッパーたちが。ちょうど半分の2分30秒過ぎからミシェルの声が登場。さらに3分20秒ほどになってベース・リフも乗っかってくる展開。引き立て役ですがウーリッツァーのエレピも少し小さめの音で。

ミシェルの登場するパートがもう少し長くても良いかも。10秒かプラスして、ミシェルのベースが好き勝手に動きまわったりするとか。終わりまぎわにそんなサービスがあると、それで落ち着くといいますか、締めになるような。

リミックスでも何でも(リマスターでもサンプリングでも電子音楽でも打ち込みでもオリジナルでも)出来たものが気にいるかどうかですが。とにかくアルバム一枚として新装開店といいますか(後に)再発売ができるのだから、人気もあったようです。何故そうしたのかは?。



2024年8月15日木曜日

Basement Jaxx “kish kash”

Right Here’s The Spot
feels like home

2003年。ベースメント・ジャックスは電子音楽系のダンス・ユニットと紹介される二人組み。
2002年3月から2003年7月の間に英国でレコーディングされた、と記されているアルバムは、ベースメント・ジャックス本人たちによるプロデュース。これが騒々しい、あわただしい曲が目立つもの。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は二曲に参加。

“Right Here’s The Spot” はミシェルはボーカルのみ。オープニング曲に続いての二曲めで、アルバムの騒々しさを体現するような、例えばアフリカ出身の歌手がテンション高く歌っても似合いそうなノリの良さ。
“feels like home” は一転して、アルバムのエンディング、締めくくりとなるスローな曲。こちらは陰というか。プロデュースにはミシェルの名前もあり。ボーカルに加えてブチブチと不気味なベースも聴かせます。

この二曲はミシェル自身も作曲のクレジットに名を連ねていて、動と静にくっきりと分かれるもの。陽と陰、あるいはそう & うつ、とまるでアルバムが持っている振幅の両端にあるような落差の大きさですが、その点、ベースメント・ジャックスもミシェルに大役を任せたなといいますか。

ミシェルもきっちりそれに応えた形でありますが。
“Right Here’s The Spot” で聴かれるようなエスニックといいますかアフロ・ポップな感じというのは、2000年代に入ってからのミシェルにはますます重要なサウンドですし。
“feels like home” も、ミシェルならではの(幽玄とまではいかないけども)静けさで。
いつも通りに、なにか出し惜しみしたとは思えないコラボであります。それだけに、(欲張りなことに)もしもミシェル単独で仕上げていたら、どうなっていたのかな、という考えが。



2024年8月3日土曜日

Lamb “What Sound”

Sweet

2001年。英国はマンチェスターで結成されたという男女二人組みのラム。いわゆる電子音楽なこのアルバムの一曲に、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello もベースで参加。

アルバムのスタイルに関しては、Leftfield, Trip Hop, Downtempo 等々と紹介されているのを見かけますが。アルバム全体としては、女性ボーカルの抑えた(詩を大事に歌う)声がまず前にきて。ビートもクールな、文学系かしらんという印象を受けますでしょうか。
ジャケットのデザインは、デジタルな、とんがったサウンドを連想させますが。ゲストに、アート・リンゼイ Arto Lindsay が参加した曲もあったりします。

ミシェルが参加した曲 “Sweet” は、アルバム中に唯一これだけ、ドラムとベースが揃って人力であるという曲。
弦をはたいたりひっかいたりする様子が見えるような、勢いのあるベース・ラインが聴けます。シンセではない、弦の振動が伝わってくるような。ビンビン響く弦を、もっと荒々しい、ノイズ感たっぷりの、ダーティというぐらいの音質でミックスしても良いのに、などと思いつつ。

ところで、レフトフィールド leftfield とは何でしょう? 主流じゃない、ちょっと変わったもの、だそう。支流、傍系でありますか。このアルバムがそうなのか、言葉も知らなかったくらいだから、判りませんけど。