“Relaxin’ At Camarillo (August 29)”
2003年。タイトル通りの「チャーリー・パーカー・リミックス・プロジェクト」アルバム。集められた顔ぶれが、なかなか。
ハル・ウィルナー Hal Willner を始め、あのハンサム・ボーイ養成学校 Handsome Boy Modeling School の有名講師、ダン・ジ・オートメイター Dan The Automator 等々、予定調和とか自己満足とはほど遠い方々であります。単純にフロア向けにダンス・ビートに仕上げました的なトラックは一切なし。アルバムの宣伝文句によれば、
Cutting edge remixs and reconstructions
ミシェル・ンデゲオチェロが手がけた一曲はチャーリー・パーカー1947年の “Relaxin’ At Camarillo”
リミックスといっても、元曲のテーマ部分をそのまま持ってきているぐらいで、後は自分たちの考えるスタイルで演奏しています。
ひと言でいえば、Bird meets J.B
チャーリー・パーカー・ミーツ・ジェームス・ブラウン、今どきのジャズ仕様のインストであります。
クレジットでは、プロデュースに構築、つまり、つくったのはミシェル。彼女はベースも。
追加(Additional)されたその他、またプログラミングは、クリス・デイヴ Chris Dave によるもの。
そしてハモンド B-3 オルガンは、レイモンド・アングリー Raymond Angry が。数々のアーティストと関わっていて、The Roots や D’angelo ともやっている方ですが、ちょろちょろとパーラメントのあの曲を差しこんできます。
ミシェルのベースは、通低音のように音数少なくベーシックに鳴って、ずっと引き立て役ですが、徐々に変化して、ほんの少しだけ、わずかなフレーズを聴かせたりして。渋すぎる、カッコ良さ。
録音は Dave Dar とクレジット。この人物、先に挙げたソウライヴ Soulive のリミックス・アルバム “Turn It Out [Remixed]” で、ミシェルが参加した一曲 “Doin’ Something” では、ミックスを担当とクレジットされていた人物のよう。共通の顔ぶれに、録音場所も、同じ Soulive Studios とのことで。ひょっとすると、両者は並行して制作されていたのかも。
といっても、こちらは自由に制作できるのですから、入れ込み具合が違ってくるのも当然のこと。
さて、このリミックス・アルバムと同時に、チャーリー・パーカーの元曲の方を集めたコンピ盤も発売されています。いずれも1945年から48年にかけて録音された11曲。
Bird Up: The Originals
オリジナルのベスト盤としては曲数が少ない、ですが各リミックス曲の想像力の源泉、ソースですから、これは楽しいです。安さにつられて購入した次第ですけども。
チャーリー・パーカー Charlie Parker Jr. の有名な愛称「バード」というのが、彼の演奏が「羽ばたく鳥のように自由で華麗だった」から、そう呼ばれるようになった、と言われています。
実際の真偽は不明とのこと、それでも楽譜から飛び出して、その場かぎりの、その瞬間のひらめきに忠実に、即興で多彩なフレーズを繰り出すジャズのプレイや感覚を見事に言い表わした愛称であります。