2024年4月27日土曜日

Holly Palmer “Holly Palmer”

Come Lie With Me
Lickerish Man

1996年。ホリー・パーマーは米国の女性シンガー。フォーキーながら案外ダンサブル、穏やかめのロック、といったところのデビュー作。2曲にミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello が参加。

デビュー作という割には、ジャケットが地味なイラスト、ポートレートの写真ではないの的な、カントリーのような、70年代のような。
ホリー・パーマーはカリフォルニアはロサンゼルスを拠点に活動、生まれも海に面した街サンタモニカだそう。
ミシェルといえば、どちらかといえば東海岸なイメージでしょうか。陽光きらめく西海岸の女性ボーカルとの組み合わせでありますが。あくまでイメージですが、米国の東と西というのは、ジャズでもヒップホップでも匂いや肌ざわりの違いがつきものでした。

強烈なキャラとか声高になにか主張するといったタイプではないホリー・パーマーですから、この2曲もさらりと聴かせてくれる良い曲。
“Come Lie With Me” の出だしで、歌の裏にベースが入ってくる瞬間などはミシェルの細やかなプレイが聴けて、“Lickerish Man” では童謡のようなメロディをプリンスを思わせるようなファンク仕立てに。
なおこの2曲にはマーク・プラティ Mark Plati も参加、90年代にボウイと多くの仕事を行った彼とのつながりで、後にボウイのアルバム “hours...” と、そのツアー(1999年)にホリーが参加することになったのかも。

ミシェルにとってはマドンナだろうとホリーだろうと(呼ばれさえすれば)関係ないのでしょうけれど、彼女が後に三作めのアルバム “Bitter”(1999年)のプロデュースを、クレイグ・ストリート Craig Street に頼むことになるのも、案外こんなところからつながっていったのかもしれません。



2024年4月20日土曜日

Madonna “Bedtime Stories”

I’d Rather Be Your Lover

1994年。ヒップホップが全盛という時期のマドンナのアルバムに、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースのゲスト・プレイヤーとして、一曲に参加。

contains a sample of “It’s Your Thing” performed by Lou Donaldson, used courtesy of Blue Note Records

ルー・ドナルドソン Lou Donaldson の “It’s Your Thing” をサンプリングしているよとのこと。元々はアイズレー・ブラザーズ The Isley Brothers 1969年の代表曲ですが、これを同じ年にジャズ屋のルーがカバーした、インスト・バージョンであります。
えらくモダンなセンスといえましょうか。チャールズ・アーランド Charles Earland のオルガンにもしびれます。
これが収録されているルー・ドナルドソンのアルバム “Hot Dog” 自体が、ヒップホップ好きにはたまらない定番ネタの宝物庫で。

“It’s Your Thing” をストレートに使ったこのトラックに、ミシェルもカッコ良いベース・ラインを乗っけています。

Special guest on bass and in your face: Me’Shell NdegéOcello

クレジット上で、ベースはゲストとしてミシェル、どんなもんだ!みたいな紹介をしておりますが、それも納得のプレイですが。
どうだといっているくらいなのだから、これで終わらせずに、もう少しミシェルを目立たせても良いでしょ、とも。もっとベースを前に出したインスト版、あるいはもっと自由にプレイさせたジャズ版、そんなバージョンがあれば理想ですが。このトラックがすべて、みたいな曲ですし。

それにしても主役のボーカル、無表情であります。



2024年4月7日日曜日

John Mellencamp / Me’Shell NdegéOcello “Wild Night”

1994年。ジョン・メレンキャンプ John Mellencamp とミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello 連名のシングル。

ジョン・メレンキャンプはアメリカ合衆国はインディアナ州シーモア出身なのだとか。
ほぼ白人ばかりの州とか、ラストベルトとか、草の根の置いてけぼりされた人たち、共和党にトランプ氏とか、そっち系のキイワードにも事欠かないかと思いますが。

このジャケットのモノクロ・ポートレートにも、驚かされた方が多いような気がしますけれど。

曲は、ヴァン・モリソン Van Morrison が1971年に発表したロックンロール・ナンバーのカバー。
Wild night is calling 荒っぽい夜が呼んでるぜ、という書を捨てよ、町へ出よう的な歌詞。イントロのミシェルによるベース・ラインからしてワクワクのノリノリの。ちょっとモータウンっぽいアッパーな誘われかたで。

ミシェルにしてみればファースト・アルバムを出した年で、すでに様々な人と共演していて、すでに相手を選ばないわけでありますが。それでもこの仕事は小さくはなかったのでは。
(珍しくも)かなり弾けたボーカルも聴けて楽しいですし、それだけでも特別です。

John Mellencamp “Dance Naked”


Wild Night
The Big Jack

1994年。メレンキャンプ氏の同年のアルバムには、もう一曲ミシェルが参加しています。 こちらも一直線なロックンロール・ナンバー。ミシェルは歌わずにノリの良いベースに専念。歌詞に、ビジネススーツで固めた日本人、なんて一節があります。

こちらのアルバムのジャケットも、インパクト大。ミシェルとのポートレートといい、メレンキャンプ氏としては何かチャレンジだったかと思われます。
そしてこの後も、接点もなさそうな、縁遠いような界隈の方々とも広く交流していくミシェルであります。