2024年3月30日土曜日

Marcus Miller “Tales”

Rush Over

1995年。マーカス・ミラーのアルバム、その内の一曲にミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello が参加。
マーカスとミシェルの共作という一曲ですが、彼女はボーカル、シンセ・ソロとクレジットあり。ミシェルらしい、暗いながら美しい曲、といいたいところですが、どうもそこまでは。ひと味足りない按配、でしょうか。

有名ベーシストのマーカスですが、いわゆるフュージョンな音、ベースが主役のお披露目会というアルバムであります。
どの曲にしても、とにかくベースを聴かせたくてしょうがない、というご様子。ミックスにしても、そこまで、というほどベースの音がでかいし。押しの強さは充分、まるでヒップホップの親分ラッパー並み。

これならミシェルの繊細な歌や語りよりも、、、(以下略)。惜しいかな、聴かせたいばかりで、踊らせたいわけではなく。



2024年3月16日土曜日

Eric Benét “A Day In The Life”

Ghetto Girl

1999年。エリック・ベネイのセカンド・アルバム。プロデューサーやプレイヤー、ボーカル等々のゲストが色々と招かれていますが、その内の一曲にミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello もベース、ボーカルで参加。

ミシェルのベースに関しては、この曲では主張することはなく。シンセ・ベースのような音をボンボンボンと鳴らしていますが、それ以上の進展はなく。

歌ものアルバムなのだから当然なんでしょうけれど、歌が主役という主従関係がかっちりと固定されて揺るぎませんので、もういっそ無駄な音は出さない方が良し、と徹したのか、あるいはカットされたりしたのか。
ミシェルの声も少し登場しますが、さほど活かされているとは。

曲のタイトルや歌詞にあるゲットーの彼女、とそのように呼びかけられて、これはピンとくるのでしょうか。ほめ言葉なのでしょうか。
リアルな彼女が必要なんだと訴えかけますが、それもたっぷりの感情をこめて揺るぎなく歌われているだけに、どうなんでしょうか。



2024年3月9日土曜日

Lynden David Hall “Medicine 4 My Pain”

Sexy Cinderella

1997年。ロンドン生まれのリンデン・デイヴィッド・ホール、UK発のデビュー・アルバム。本人のプロデュースですが、数曲にボブ・パワー Bob Power もプロデュース、ミックスで参加。そのつながりか、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がこのシングル盤にもなった曲でベースをプレイ。

この曲、ディアンジェロ D’Angelo のあの曲 “Brown Sugar” を連想させます(と言いきって構わないでしょう)、どちらもボブ・パワーがらみということでは、その1995年のディアンジェロのデビュー・アルバムに、もしやミシェルが参加していたかもという可能性が(少しは)あったのか、なかったのか、と想像してしまうのですが。

ディアンジェロの “Brown Sugar” を含むアルバムを今聴きますと、ジャズの部分が隠し味という以上に強く感じられるような。その辺りは、こちらのリンデンの曲には匂わないような。
リンデン・デイヴィッド・ホールはディアンジェロに比べれば薄口の旨味(と言いきって構わないでしょう)、それだけに、日本ではまた独自の人気を集めたかもしれませんけれど。

ミシェルのベースに関しては、この曲では主張することはなく。文字通りにベーシックな音(だけ)で縁の下を支えていますが、それ以上、そこから出てくることもなく。
 (惜しいことに)もしやディアンジェロのバックを彼女が務めていたらどんな音に、という模擬にでもなっていたら、という淡い期待にはまったく。

セクシーなシンデレラという表現ですが、これは、UKではピンとくるのでしょうか。ほめ言葉なのでしょうか。
もしかするとブラックのシンデレラということを伝えたかったのかもしれませんが、この曲ではそんなことを歌っていることはなく、ただ逃げないでという歌詞だけのようです。



2024年3月2日土曜日

Inner City Blues: The Music Of Marvin Gaye

Nona Gaye
“Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)”

1995年。1984年にマーヴィン・ゲイ Marvin Gaye が亡くなってから10年あまり、モータウンからリリースされた(邦題もそのままの)マーヴィン・ゲイ・トリビュート。ロック、ポップス方面から参加の顔ぶれも半分ほどというコンピ盤。マーヴィンのファンやR&B好きに絞らない幅広い層向け、というのもモータウンらしいでしょうか。
オープニングを飾る曲を歌うのがノーナ・ゲイ Nona Gaye です。
父親がマーヴィン・ゲイ、祖父はジャズ・ミュージシャンのスリム・ゲイラードだというから、これはおそろしい限り。まさに叫び出しそう Make me want to holler! です。

1971年に発表されたマーヴィンのこの代表曲、2024年の今年に聴いても突きつけられるような歌詞を持っていますが、こちらのカバーは。
プロデュース、ベースはミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello によるもの。
そして副プロデュース、ギターのウェンディ・メルヴォイン Wendy Melvoin と、キーボードのリサ・コールマン Lisa Coleman という、つまりウェンディ&リサも参加。
また、ハイハットとして Terry Linn Carrington(Terri Lyne Carrington)やパーカッション等にジャズ屋の名前が。顔ぶれを見ても楽しそうな、単なるゲスト・プレイヤーの集まりではないような。ミックスはボブ・パワー Bob Power です。

マーヴィン・ゲイに関しては、これまでも歌詞に名前が出てきたり、ベース・ラインがとある曲そっくりに似せた曲があったりと、ミシェルも思い入れが強いのではと思われますが。
トリビュートに参加できて、この曲のカバーを仕切ったことは喜ばしい限り。ではありますが、これよりさらに、これ以上に、となると。
もしもミシェル自身がボーカルをやって、もっとメンバー各自が好きにプレイしていたら、などと想像してしまうことも確かで。やっぱり、そちらを聴いてみたい気持ちに。

曲がエンディングを迎える最後の引き際になって、静かにミシェルの声が聴こえます。Listen, Listen to me と歌います。Yes, もちろん貴女を聴いています。