2023年9月24日日曜日

Stolen Moments: Red Hot + Cool

Me’Shell NdegéOcello Featuring Herbie Hancock
“Nocturnal Sunshine”

1994年。ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello の、彼女自身のアルバムには未収録の曲や、ゲスト参加をしたような曲が、見逃がすには惜しいと気づかされたのは、この曲からだったような。
こっちの水も甘くて、そして深かったというか。

ミシェルのベースとクラビネットに、ハーヴィー・メイソン Harvey Mason のドラム、ワーワー・ワトソン Wah Wah Watson のギター、という顔ぶれに、仕上げにハービー・ハンコック Herbie Hancock のピアノを乗せて。
プロデュースは(キーボード&プログラミングも)デヴィッド・ギャムソン David Gamson。
彼も関わったミシェルのファースト・アルバム “Plantation Lullabies”(1994年)から、地続きのサウンドを聴かせてくれます。ミックスはボブ・パワー Bob Power 。

あのアルバムのカッコ良いところを、ここにぐっと凝縮したような。それともアルバムの全曲を、もしもこちらのメンバーでやっていたらどうだったろうか、みたいな。一度限りだからこその名人芸、ではありますけども(ハービーのピアノはちょっと五月蝿いけど)。

このコンピ盤は、ほかの曲も聴きごたえのあるものが多く。
バーニー・ウォーレル Bernie Worrell も参加した曲もあって。
Groove Collective With Bernie Worrell “Rent Strike (DJ Smash Remix)”

2023年9月18日月曜日

Higher Learning (Music From The Motion Picture)

Me’Shell NdegéOcello
“Soul Searchin’ (I Wanna Know If It’s Mine)”

1994年。ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は自分のアルバムでは独自のアーティスティックな方向や、内省的な世界へどんどん踏みこんでいきますが、それがこういったコンピ盤に提供したような曲では、案外と親しみやすかったりも。
自分のアルバムには未収録も多くて、結果として、別の流れができています。

1995年に公開された映画のサントラ盤に収められたこの曲も、イントロから気持ち良く誘いこまれて、ミシェルのボソボソとした呟きボーカルとブチブチのベース・ラインが始まります。
基本的な演奏はミシェルひとりによるもの。タイトルを直訳すれば、ソウルを探す(それは私のものなのかどうか)。自分探し。
プロデュースはミシェルと連名でデヴィッド・ギャムソン David Gamson 。印象的なイントロはおそらく彼によるもの、それにドラムも。90年代のミシェルにとってキーパーソンのひとりでしょうか。

ミシェルのアルバムには未収録、なのですがアルバム “Peace Beyond Passion” (1996年)の日本版CDにはボーナス曲として収録。続けて聴くには少々の違和感も。美しいイントロですし、ミシェルのボーカルも聴きどころ多し、やっぱり単独で聴きたいところ。

このサントラ盤には他にも、ラファエル・サディーク Raphael Saadiq “Ask Of You” や、スタンリー・クラーク Stanley Clarke “The Learning Curve” など、今でも聴ける傑作な曲が多々有り。



2023年9月9日土曜日

Harvey Mason “Ratamacue”

Scream

1996年。米国は西海岸を代表するという人気ドラマー、ハーヴィー・メイソン。あの70年代アタマのヘッドハンターズでの演奏などは、ファンク好きにもようく知られたところ。
この90年代半ばのアルバムでは、スムース・ジャズや、あるいはヒップホップ/ファンクの人気ぶりを横目に見ながらの、王道フュージョンを聴かせてくれます。

かなりポップな曲やボーカル入り曲もあって、全曲飽きさせないよう工夫されていますが。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで参加したこのインスト曲では、彼女のズビズビとうごめくベースが聴きどころ。音もくっきりとして聴きやすく。

ところで日本盤CDのオビには、主な参加メンバーの名前が。その数も多めながら、ここにミシェルの名はなし。当時まだ若手のミシェルよりも実績あるだろうベテランの方々が列挙されていて。ハーヴィー・メイソンのCDを購買するようなファン層には、彼女の存在はアピールしないと判断したということでしょうか。

確かにアルバムとしては、(実験的とか意欲的というよりは)全方位的な安定感あるサウンドでありましょうか。先に挙げたボニー・ジェイムスに続けて聴いても、ドラムの音量も大きめ、曲調も多彩ではありますが。



Boney James “Seduction”

Got It Goin’ On

1995年。「スムース・ジャズの人気サックス奏者のヒット作」と日本盤のオビに売り文句が有り(2015年の再発盤CDに)。確かにボニー・ジェイムスという方、現在までコンスタントにアルバムを発表して、本国では売れているようです。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで参加した曲はアルバムの2曲め。オープニングの曲と共に、リズミカルにバウンスして、心地良くこちらを持ち上げてくれます。ボーカル無しのインスト、タイトルの “Got It Goin’ On” とか “Who - Hoo” とか、いかにも90年代なノリで掛け声が入りますが、あくまでジェントルに、ソフトに。
もしもミシェルがらみでお気に入りの曲を集めたベスト盤を自作するなら、これはオープニングの1曲めに続いての2曲めが似合うでしょうか。

この曲以降は、穏やかめの同じような曲が多く。スムース・ジャズという音楽スタイルははっきりと分かりませんが、カフェで流しても邪魔にならないような。でも艶やかなサックスの音色とか、フレーズとか。アルバム・タイトルは「誘惑」、「そそのかし」。ですが朝に聴いても良い感じ。
アルバム全体に柔らかな流れが続く中で、ホール&オーツの「サラ・スマイル」も同様にカバーしています。