2018年。トランペットでニルス・ペッター・モルヴェル(Nils Petter Molvær)、ギターでアイヴィン・オールセット(Eivind Aarset)、そしてヴラディスラヴ・ディレイ(Vladislav Delay)という北欧組みと、スライ&ロビーが組んだ一作。
ジャズ屋として評価も高いニルス・ペッター・モルヴェルですが、自分のアルバムを発表している傍ら、ビル・ラズウェルがらみのダブ盤に参加していたり。“Dub Chamber 3”(2000年)や、“Radioaxiom:A Dub Transmission”(2001年)。後者ではすでにスライ・ダンバーと共演していました。改めて、満を持してのスライ&ロビーとの共同作業といったところでしょうか。
良く練られた曲が並びます。きちんと展開、盛り上がりもあって。薄明の、ダークな音には違いありませんが、暖かみもあります。
これはスライ&ロビーとしても2010年代を代表するような、ミュージシャンシップに溢れた一作となりましょうか。真面目すぎて、ちょっと遊びが足りないぐらい?
続きの次作も期待されるところですが、それは果たして何年後か。続編ではありませんが、オマケ的な一枚も有り。
Vladislav Delay / Sly Dunbar / Robbie Shakespeare “500-Push-Up”
2020年。こちらはヴラディスラヴ・ディレイとスライ&ロビー連名の一作。
ダブという以上に、音響効果の歪んだノイズに、電子音が吹き荒れます。連名とはいえスライ&ロビーによる演奏も、そのリズムまでも、加工するための素材に過ぎず、であります。
その点、ダブといえども踊りたいもの、という向きには、少々ノリが悪いと感じてしまうかも。