2024年12月15日日曜日

Joan Osborne “How Sweet It Is”

Smiling Faces Sometime

2002年。映画「永遠のモータウン」“Standing In The Shadows Of Motown” のサントラ盤と同じ年に出された、ジョーン・オズボーンのアルバム。
映画にも収録された彼女とファンク・ブラザーズの共演をきっかけに、制作された(ウィキペディアより)というこちらは、モータウンの曲を含みつつ、さらに間口を広げて60年代から70年代にかけての名曲カバー集。

“I’ll Be Around” The Spinners - 1972
“Think” Aretha Franklin - 1968
“How Sweet It Is (To Be Loved by You)” Marvin Gaye - 1965
“Smiling Faces Sometimes” The Temptations - 1971
“Love’s in Need of Love Today” Stevie Wonder - 1976
“These Arms of Mine” Otis Redding - 1962
“Only You Know and I Know” Dave Mason - 1970
“War” The Temptations - 1970
“Why Can’t We Live Together” Timmy Thomas - 1972
“Bold as Love” Jimi Hendrix Experience - 1967
“The Weight” The Band - 1968
“Everybody Is a Star” Sly and the Family Stone - 1969

あの時代、あの有名曲、な選曲でありますが、アルバムを通して聴けばごく自然に気持ち良く。ありがちな、名曲をレトロに再現しようとか、黒っぽくしようとか、あるいは自分が好きな歌への愛を形にしようとか、そういった(ちょっと外しがちな)力みがなく。
今日現在の、普段使いの曲、そんな感覚でしょうか。ジョーン・オズボーンという方、さらりと素直に歌いつつも。シンプルながら、なにかロックなところの音は伝わってきたりして。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで参加したのは、モータウンの大有名曲。オリジナルのテンプテーションズ The Temptations やアンディスピューテッド・トゥルース The Undisputed Truth のバージョンと違って、ここではノリ良くコンパクトに。
ズビズビとベースが走る上で、ジョーン・オズボーンとデュエットで歌っているのはアイザック・ヘイズ Isaac Hayes であります。そのためか、アルバムの中では黒っぽい(少し古めの)仕上がりに。

ジョーン・オズボーンにはこの後も、カバー集といったアルバムがちらほらとあって。

Breakfast In Bed


2007年のアルバム。こちらも有名どころの多数の名曲カバーが売り。少々ブルースぽく、ダウンなところがまた良い感じ。
オマケとして、映画「永遠のモータウン」のサントラ盤から、マーサ&ザ・ヴァンデラス Martha and the Vandellas の “(Love Is Like A) Heat Wave” とジミー・ラフィン Jimmy Ruffin の “What Becomes Of The Brokenhearted” のカバー二曲を再度こちらにも収録。
他にも、ブルース集やディランのカバー集などもあったりして。

彼女自身のオリジナルのアルバムの合間の仕事ですが、安定した歌手ぶりといえますでしょうか。米国の土壌というのは肥沃であります。その米国でも、ベタつかない彼女の声や感覚というのは案外貴重だったりして。アマゾンなんか見ると、日本でも隠れファン(失礼)が多いよう。



2024年12月1日日曜日

Standing In The Shadows Of Motown

The Funk Brothers With Me’Shell NdegéOcello
“You’ve Really Got Hold On Me”
“Cloud Nine”

2002年。映画「永遠のモータウン」のサントラ盤。歌と演奏のシーンから、往年のヒット曲のカバーが収録されています。
ジャケット裏の曲目を見ると、まず筆頭として Starring The Funk Brothers on all tracks と大きく明記、その次に各曲名と曲毎に参加したゲストの名前が続くというデザイン。主役なのはファンク・ブラザーズ、だから演奏を聴いてくれよ、という主張がうかがえるような。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は二曲に参加、もちろん(ベースは置いておいて)ボーカルとして。
ミラクルズ The Miracles とテンプテーションズ The Temptations の大名曲を、真っ直ぐに歌っております。どちらもモータウンという枠を越えて、60年代を代表するような大有名曲ですが。

ミシェルが主導する形であれば、もっと独創的なアレンジで歌っていたのかもしれませんが。
ここではゲストのひとりとして、ストレートな歌いぶりが聴けるのが良いところ。声量で勝負するようなタイプではないので、そこはコーラスの方々をうまく活用して歌っております。

ミシェルらしい予想外のアレンジがされたバージョン、というのも捨てがたいですが、それはまたいつか次の機会に。
ミシェルと同様に、ベース弾きではなくボーカルとしてブーツィーも参加。こちらはノベルティ系の二曲に、破壊力抜群の声で盛り上げていました。
ブーツィーの誰よりも派手な出で立ちは、映像でないと確かめられませんが。
映画を見ても良し、サントラの音だけを聴いても良しの優良コンテンツ。