彼のファンクなベースは、グループがファイブ・エレメンツと名づけられてから最初の三枚のアルバムで聴けます。
そして1989年にリリースしたのが、初のソロ・アルバムであるこれ。
ケヴィンと民兵団(Militia)なんて物騒な名前ですし、ベースの音はもちろん大きめ。ベースのみという曲があったり、デヴィッド・ギルモア(David Gilmore)がロックなギターを鳴らしたり。とサービスはしてくれますが。ではありますが、これは普通にフュージョンでありましょうか。
なるほど策士スティーブ・コールマンが関わるか否か、活かすも殺すも深謀次第、でしょうか。残念なことに、“Sine Die” 以降のファイブ・エレメンツのアルバムには参加していないケヴィン・ブルース・ハリスであります。
それ以降の彼のベースを楽しむには、カサンドラ・ウィルソンの1990年代前半、彼女がブルーノートに移る前までの諸作が最適となるでしょうか。
Cassandra Wilson “Jumpworld”
1990年。このアルバムにはスティーブ・コールマンを始め、一派のメンバーも多数参加、改めてファンクしています。
それから1991年のライブ盤 “Live” も。“Sine Die” から等、ファイブ・エレメンツの曲をやっていたり。バンドの見せ場もしっかり用意されています。
とはいえ、ボーカルの伴奏であります。演奏だけをもっと集中して聴きたいと思っても、そうはいきません。
やっぱり、“Sine Die” 以降にも、ケヴィン・ブルース・ハリスが参加したファイブ・エレメンツのアルバムが(もう一枚か二枚ぐらい)あれば理想的でしたか。スティーブ・コールマン的には、単なる繰り返しかもしれないですが、ファンクな奴が。
Kevin Bruce Harris “Folk Songs - Folk Tales”
1994年。そしてそして登場した、二作めのソロ・アルバム。これが、さらに普通のフュージョン。穏やかめ、軽やかな曲ばかり。ファンクを期待すると不発。あのベースが鳴ってはいるのですが、もう一歩も二歩も、ファンク寄りでお願いしたいところ。