2025年9月28日日曜日

Lizz Wright “Fellowship”

Fellowship
Feed The Light

2010年。リズ・ライトは米国の歌手。ジョージア州出身で、ハイ・スクール時代は聖歌隊に参加だそう。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はベースで二曲に参加。といっても特に目立つこともなく、正直、彼女でなくてもという音ですが。
“Fellowship” はミシェル作の曲ですが、アルバム “Comfort Woman”(2003年)に収録されていたオリジナル版はレゲエでした。

リズ・ライトは、ミシェルとは関わりが多いよう。

ミシェルのアルバム “Bitter”(1999年)をプロデュースしたのがクレイグ・ストリート Craig Street でしたが、リズ・ライトも彼をプロデューサーとして迎えて2ndアルバムを制作。
そのアルバム “Dreaming Wide Awake”(2005年)には、“Chasing Strange” というチョコレート・ジニアスの曲が収録されていて。
チョコレート・ジニアス Chocolate Genius Inc. によるオリジナル版は “Black Yankee Rock”(2006年)というアルバムで聴けますが、このアルバムのプロデュースがクレイグ・ストリート、ミシェルもベースで参加で。

またリズ・ライトは、ザ・バンド The Band のトリビュート作に参加。アルバム “Endless Highway: The Music of The Band”(2007年)に収録されたカバー曲 “Whispering Pines” では、ジェイコブ・ディラン Jakob Dylan とデュエット、プロデュースはジョー・ヘンリーが。
で、ジョー・ヘンリー Joe Henry のアルバム “Scar”(2001年)をジョーと共同でプロデュースしたのがクレイグ・ストリート、でミシェルも一曲 “Mean Flower” でベースを。
元々、ジョー・ヘンリーはクレイグ・ストリートがプロデュースしたミシェルのアルバム “Bitter” に、一曲 “Wasted Time” にボーカルで参加していました。

そしてリズ・ライトは、ミシェル自身のアルバム “Pour une Âme Souveraine: A Dedication to Nina Simone”(ニーナ・シモン追悼作)(2012年)にゲストとして参加することに。“Nobody’s Fault But Mine” で歌っています。

なにかと接点が多いような。でもってリズ・ライトの新しいアルバム “Shadow”(2024年)では、再びミシェルがゲストに招かれています。



2025年9月14日日曜日

Karl Denson’s Tiny Universe “Brother’s Keeper”

2009年。カール・デンソンは米国のサックス吹き、兼ボーカル。
自身のアルバムや活動に加えて、ジャズ畑からロック・ポップス界隈まで数多くの(有名スター級の)方々との共演やバックを努めていて、幅広く活動している方のよう。

こちらは、自分の歌が主役のR&Bなアルバム。
全編、60-70年代のレトロなスタイルを重視したR&Bバンドといった趣きで。一曲めが、まるで往年のモータウンを思わせるような曲。まさにソウル歌手という線で歌っております。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はベースで全面的に参加。
カール・デンソンとミシェルは、これまでいくつかのアルバムで、同じゲストとして参加し名を連ねたりもしていますが、同じ曲で直に共演というのはなかったような。
ミシェルのプレイはいつも通り間違いなく。バンドの一員として収まっていますが。

収まりすぎといいますか、それ以上、を期待するとなるとどうも。バランスが大事という見方もありますが、その点は刺激に欠けるかも。
歌のない、インスト曲が一曲だけあって。ベースのリフも走りますが、この曲ぐらいはもう少し各プレイヤーたちに暴れさせるとか。歌伴ではないバンドの見せ場があっても良いかも。

ミシェルもこの時期、モータウンやスタックス、アトランティック等の、60年代末のナンバーをけっこうカバーしていますし。せっかくだから(ベース弾きという以上に)彼女を活かして、何かもう一味、レトロ趣味にプラスしていただければ。



2025年8月17日日曜日

Jason Lindner “Gives You Now Vs Now”

Worrisome
Big Pump

2009年。米国ジャズの鍵盤弾き、ジェイソン・リンドナーのアルバム。
“Now Vs Now” とは、マーク・ジュリアナ Mark Guiliana のドラム、パナギオティス・アンドリュー Panagiotis Andreou(パナギオティス・アンドレオウ、パナジョティス・アンドリオウ、ギリシャ出身らしい)のベース、というトリオを核としたグループ名でもあるよう。
「ジェイソン・リンドナーがあなたに贈る NOW VS NOW」と表記されたジャケットは、白と黒の鍵盤をシンプルに表したものでしょうか。

涼しげなラテンや激しめのロックまで、色々とやってみたという感じですが、なにをどうやっても(変なドラムとかも)安定して聴かせる実力派たちであります。
この三人だけで演奏した曲というのは一曲のみですが、それには “Friendship and Love (aka Pretty Three)” とタイトルされております。仲が良いようです。

プロデュースはミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello で、それに(with とある)ジェイソン・リンドナーと Eric Elterman という方(録音等、エンジニア系のよう)。ミックスはボブ・パワー Bob Power が。

ミシェルは二曲の演奏にも参加。“Worrisome” にはベースで、“Big Pump” にはボーカルで。といっても途中で少しだけ登場してくるとか、歌うわけではなく少しコーラスを入れたという程度。この辺り想像すると、裏方仕事にこもらずに、ここでベースでもやってみたら、という感じで楽しげな録音だったのかななんて。

ジェイソン・リンドナーとマーク・ジュリアナですが、この後、共に、D. ボウイの遺作となるアルバム製作のセッションに参加することになります。



2025年8月14日木曜日

Myron “Myron & The Works”

2008年。マイロンなる方が全曲を歌いプロデュースも本人がというアルバム。
ジャケットのデザインからするとジャズ系、少し小難しそうな印象もありますが、フックの効いたわかりやすい曲ばかり。案外に、切ない系、夏の終わりにいかがみたいな。

全9曲、チャールズ・ヘインズ Charles Haynes のドラムに、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベース、エレピ(ローズ、ウーリッツァー)でロバート・グラスパー Robert Glasper という顔ぶれ。その他のギターやシンセをマイロン本人が。

充分に、ディアンジェロ D’angelo 好きにもお勧めできるような、歌ものアルバムであります。バンドの演奏も楽しめますし。
もしもディアンジェロがもっと頻繁に、3年置きほどにアルバムを発表していたら、このような一枚もあったかも、とそんな気もしないでもないような。

シンプルにラヴソング、夏の夕暮れに、みたいな風情で、親しみやすいジャケットにしてアピールするのも似合うかも。
とはいってもこの顔ぶれですから、歌伴にとどまらずに、さらに自由な演奏も聴いてみたいところ。一曲ぐらいインストを入れるとか、もう少しジャズに寄せたような。

なお、CDトレイの内側にはギターを抱えたマイロンの写真が。お気に入りなのでしょうか、Tシャツの胸にはジミの顔が。
本国盤CDを見ると、この写真がジャケットに使用されています。ですが、モノクロ 二階調化されていて、その際に加工したのか、ジミの顔も消されて別の模様に差し替えられています。




2025年7月27日日曜日

Steve Lehman “Demian As Posthuman”

Vapors
Logic - Meshell
Community

2005年。スティーヴ・リーマン Steve Lehman はニューヨーク生まれのサックス吹き。ジャズ、それに実験的 experimental music と紹介されていますが(ウィキペディアより)。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで参加したのは3曲。ドラムはエリック・マクファーソン Eric McPherson が、2曲でピアノのヴィジェイ・アイヤー Vijay Iyer も、という顔ぶれ。それに Turntables, Electronics としてDJの Jahi Lake が変な音を差しこんできたり。

緊密な無駄のない演奏。タイトながらバネがきいているというのか、引きこまれます。
この3曲を一日で録音したと記されているのですが、何回ほど練習したのか知りたいところ。やっぱり最初は譜面を渡されるのでしょうか、事前にデータで聴いているのでしょうか。
実験的といっても小難しいわけではなく、自分にとってカッコ良い音を狙ってる感じでしょうか。

なお全曲がスティーヴ・リーマンの作とクレジットされていますが、アルバムのエンディングでもあり “Community” と題された(共同体?仲間?)曲だけは、リーマンに加えて上記の参加者4名による作となっています。澄ました顔してそこはポイントだったのかも。



2025年7月6日日曜日

Mike Stern “Who Let The Cats Out?”

KT
Texas

2006年。マイク・スターンは米国ジャズの有名ギター弾き。80年代の若手時代には、マイルスやジャコともやっているくらいですから、フュージョンとかロックといった方面は当然のこと、スタンダードなジャズももちろん。
このアルバムもギター一辺倒でがむしゃらに弾き倒すわけではなく、ベテランとして、管楽器や鍵盤も交えたバンドで、自作曲を色々と展開しています。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello は2曲に参加。
どちらの曲も7分から8分と、じっくりと聴かせる長さで。正直、似たような曲調の2曲ですが、それだけに、あえて前には出てこない、ミシェルのスタイルが堪能できます。太く重いベースで曲を支えつつ、要所では、けっこうズビズビ走ったり跳ねたり。
“KT” には、トランペットでロイ・ハーグローヴ Roy Hargrove も参加。

また、別にヴィクター・ウッテン Victor Wooten が参加の曲もあり。これもアタマにどの字が付くようなファンクなベース。ミシェルとはまた違うスタイルですが。
ヴィクターの超絶技巧ぶりに関しては、彼がメンバーであるハードフュージョンなアルバムの諸作品でたっぷりと聴くことができます。強烈です。