2025年2月23日日曜日

Interpretations: Celebrating The Music Of Earth, Wind & Fire

Me’Shell NdegéOcello
“fantasy”

2007年。アース・ウィンド・アンド・ファイアー Earth, Wind & Fire のカバー集。
モーリス・ホワイト Maurice White の名前まで(エグゼクティブ・プロデューサーと)クレジットされています(が実際になにを務めたのかは不明)。これが2006年に再始動した新生スタックス・レコード Stax Records から発売された初の新録アルバムとのこと。

どれも有名、聴いたことがあるような曲ばかりで。真面目に、良いメロディを良い歌で伝えようとカバーしたものが多く。直球ど真ん中狙い、というのがこのアルバムの Interpretations(解釈とか理解)ということになりましょうか。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello だけは、遊びというかひねりを効かせた、アルバムのラストに配置するしかないような変化球に仕上げてきました。
ミシェルのこのカバー、プロデュースの名義が、A Different Girl (Every Night) となっております。

同じ年に、ミシェルのオリジナル・アルバム “The World Has Made Me the Man of My Dreams”(2007年)、邦題「夢の男」が発売されており。
日本版に収録されたボーナス曲のタイトルが、毎晩違う女の子、A Different Girl (Every Night) であります。
歌詞としては、あんたは毎晩違う女の子がお望み、こっちは毎晩違う女の子になりたいの、みたいな。ミシェルがなにやらリスナーに向けてぼやいたような内容ともとれる歌詞であり、で、You’re a fucking cunt と言っていたりも。 
その通りに、確かに聴き手であるこちらは毎晩のようにCDを取っ替え引っ替えしてはあれこれとリスニングしたいですから。そしてこのアルバム「夢の男」で目立つのが、ロックな曲、激しめのアレンジであったりします。私は違う女の子になりたいの、という通りに、これまでのミシェルのアルバムとはまた違う音を鳴らしています。

アースのカバーにしても一筋縄ではいかない、とんがったものに。
ベース、ドラム、ギター、パーカッション、ボーカルは、アルバム「夢の男」の方にも共通して参加している面々で。特にドラムのディアントニ・パークス Deantoni Parks は、アルバムの数曲で叩いていて重要な役割を担っています。

他の曲の、良い歌をまっすぐに聴かせようという、当たり前な判りやすさと比べれば、ミシェルはやはりカーブ球でありましょうか。これをキレ味鋭いと取るか、危険球すれすれと取るかは聴き手次第。
そんなオルタナティヴな役割の曲をもう少し数曲ほど入れていたら。そうすると理解されない、売れない?
ミシェルの場合はけして引き立て役では終わらないのは確か。



2025年2月8日土曜日

Soul Men: Original Motion Picture Soundtrack

Me’Shell NdegéOcello
“Water”

2008年。映画「ソウルメン」のサントラ盤。監督はスパイク・リーの従兄弟のマルコム・D・リー Malcolm D. Lee ですが日本未公開、日本語版のDVDあり、という作品。

サントラは2006年に再始動したスタックス・レコード Stax Records からの発売。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello による往年のスタックス・ナンバーのカバーを一曲収録。
ミシェルがカバーしたのは、エディ・フロイド Eddie Floyd の1968年の曲。作者はスティーヴ・クロッパー Steve Cropper とエディ本人。エディといえば、“Knock on Wood”(1967年)でも知られる往年のスタックスの看板シンガーのひとり。

なにしろこの大元が相当にカッコ良いですから。ミシェル版にしても、オリジナルにならったようなアレンジで、往年のソウルな感じをそのまま持ってきて歌っております。
映画は未見ですから、どのように使われているものか、当時風のアレンジなのにも理由があるのか、不明ですが。オリジナルと聴き比べてしまうと、少々、落ち着きすぎのようにも。プロデュースはミシェル。

同じこの監督の映画では、先に「ベストマン」The Best Man (1999年)のサントラ盤にも、ミシェルのアルバム未収録曲が収められており。また、映画「アンダーカバー・ブラザー」Undercover Brother (2002年)のサントラ盤には、ブーツィーが参加というありがたい監督であります。

映画「ソウルメン」には、アイザック・ヘイズ Isaac Hayes が(本人として)出演。サントラにも彼の歌う一曲が収録されていますけれど。
ヘイズといえばやはり「黒いジャガー」、あのテーマ曲であります。
ニューヨークの街角をジョン・シャフトが歩くオープニングのシーンは忘れられませんとも。ヘイズが担当したサントラ盤 “Shaft”(1971年)は、往年のスタックス・レコードを代表するような一枚でありますが、新生スタックスからも、ヘイズの新作を出す予定があったそうです。2008年にヘイズは逝去。