2024年6月29日土曜日

Joe Henry “Scar”

2001年。ジョー・ヘンリーのアルバム、プロデュースは彼とクレイグ・ストリート Craig Street によるもの。

Dedicated to... The vision of Richard Pryor, The invention of Ornette Coleman, And the memory of Neilo Anthony Ciccone (1925-1999).

リチャード・プライヤーのビジョン、 オーネット・コールマンの発明、 そしてネイロ・アンソニー・チコーネ(1925-1999)の思い出に、捧げる
と記載されたこのアルバムに、ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello がベースで参加。ミシェルのアルバム “Bitter”(1999年)をクレイグ・ストリートがプロデュース、ジョー・ヘンリーもボーカルで参加したつながりからでしょうか。

オルタナ・カントリーのイメージもあるジョー・ヘンリーが、ここではジャズやソウル・ミュージックに接近した、といいますから(ウィキペディアより)、ミシェルにはうってつけの役割でしょうか。

アルバムの中でもノリの良い “Rough And Tumble” やインストの “Nico Lost One Small Buddha” などは、ミシェルのベースでありましょうか。
基本的にバックは歌の邪魔をしないよう抑制された演奏ですし、ミシェルのプレイが他の曲から浮いてしまわないよう(もう一人のベース・プレイヤーもいますし)出すぎない塩梅ではあります。

ライナーノートには、リチャード・プライヤーを始めとして、“Further Listening”(もっと深く聴くなら)として、このアルバムにゲスト参加したオーネット・コールマン Ornette Coleman やミシェルのアルバム等が紹介されています。わざわざ1ページを割いて奨めているのが、プロデューサーとしても活躍するジョー・ヘンリーの感覚でしょうか。
こっちのアルバムの中で、バランスとか構わずミシェルにプレイさせるとか、ジャズしちゃえば手っ取り早いのに、、、とか、、、。




2024年6月22日土曜日

Just Because I’m A Woman - Songs Of Dolly Parton

Me’Shell NdegéOcello
“Two Doors Down”

2003年。ドリー・パートン Dolly Rebecca Parton へのトリビュートであるアルバム。ドリーの曲はそもそも誰彼となくカバーされて、多数ヒットもしていました。
映画の主題歌になって特大ヒットした “I Will Always Love You” とか、Zapp まで濃厚なカバーを披露していましたが。カントリー畑とソウル畑は隣りあわせの結びつき、という良い例でもあります。
こちらのアルバムは、そのドリー本人まで参加で一曲歌っていますから、まさに公認でしょうか。

ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello が、数あるドリーの曲の中でもこれをカバーすることになったのは、元曲の方に2バージョンがあって、アルバム版と、加えてディスコティックなシングル盤向けバージョンがあるから、でしょうか。単純にミシェルにぴったり、なんて理由かもしれません。
なんにしても、ミシェルはこの歌を自分らしい色に染めあげていますけど。

元曲にある、いつまでも閉じこもっていないで(ふたつドアを挟んだ向こうの部屋で開かれている)パーティに、思いきって顔を出しにいこう、という前向きさ、健康さはまるで失せています。
同じ曲、歌詞でも、立場の違う者が歌っているという感じ。

同じ2003年に発表されたミシェルのアルバム “Comfort Woman” は、ミシェルと Allen Dariest Cato のプロデュース、それにドラムのクリス・デイヴ Chris Dave を交えた三人が核となって作られたものでした。
ドリーをカバーしたこちらの一曲では、クリス・デイヴとミシェルの二人のみ。ドラム以外の、ギター、シンセ、プログラム、それにボーカルをミシェルが担当している形となっています。
この顔ぶれでの流れを引き継いで、今回もまたソリッドな。歌のバックでざくざくと鳴るミシェルのギターも印象的、ロックしてる感じ。

さてミシェルの色といいますが、説明するとなると難しい。



2024年6月8日土曜日

Disappearing Acts

Black Beautiful & Independent (Remember)

2000年。米国のテレビ放映向け映画、日本語版は「フェイス・イン・ラブ」の邦題でDVDとビデオ化もされた、というドラマのサントラ盤。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello の、アルバムには未収録の一曲がここに。

ミシェルの作、プロデュースはミシェルと Allen Dariest Cato 。
二人としては、先に映画「ベストマン」のサントラ盤 “The Best Man: Music From The Motion Picture”(1999年)に収録された、ミシェルの “Untitled” に続いての仕事です。曲のタイトルは “Remember” の場合もあり。

シンプルなビートに、起伏の少ないメロディ。ほのかな甘さと、セクシャリティ。じわじわと染みこんでくる良い曲であります。
抑えに抑えた音ですが、それでもいける、という自信もうかがえるような。

ライブでも主にギターを担当することが多い Allen Dariest Cato は、ミシェルとはバンド仲間で身内のようなものでしょうか。この二人が組むと、独特のソリッドな音になるようです。かなり、貢献の男。

この後、二人は “Cookie: The Anthropological Mixtape”(2002年)、続いて “Comfort Woman”(2003年)と二枚のアルバムをプロデュース。外部からのプロデューサーの力を借りることなく、自分たちでまとめ上げることに。
ファンカデリック Fankadelic の曲のカバーを含んだり、ラッパーをゲストに招いたり、あるいはレゲエしながら、自分たちにしか出せない音で、ひとつの節目になるような作品にまとめ上げます。