2024年1月28日日曜日

Rahzel “Make The Music 2000”

Steal My Soul

1999年。ラゼール Rahzel はその筋では高名な、ヒューマンビートボックスの演奏者。90年代の後半には、ザ・ルーツ The Roots のメンバーとして活躍。このファースト・ソロ作の裏ジャケットにも、しっかりとザ・ルーツものと証明する “okay player.” のマークが。
ヒップホップ畑は特殊技能度の高い方が多い業界かと思われますが、中でもビートボクサーというのは相当に難易度の高い部類でしょうか。いつでもどこでもの、ガチのエンタメ。

アルバムは参加ゲストも多彩で。ライナーには曲毎に細かくクレジットが記載、それによるとこの曲は、
プロデュース、コンポーズ、アレンジはボブ・パワー Bob Power とラゼール。
ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello はボーカルで、またブランフォード・マルサリス Branford Marsalis もサックスで参加。
そしてラゼールは様々な役割を担当していると。Vocal Horns, Vocal Bass, Vocal Rohdes, Vocal Wawa とのこと(よく分からないものも)。

さらに、次のような英文が↓

This track contains no instruments, but Branford Marsalis on saxophone this is why they call Rahzel “The Bobby McFerrin of Hip-Hop”. incrediblel!!!

つまり、ブランフォードのサックス以外は、すべてラゼールがやっていると。ボビー・マクファーリンの名前も引き合いに出されていますが、ともかくすべてボーカルによる演奏だよ、というトラック。
incrediblel!!! 信じられない!とまでありますが、確かに言われなければ、これドラムやシンセだと普通に聴いてしまう音です。
さらにさらに、次のような文章も↓

I love it when Rahzel and Branford trade Riff for Riff, I think rahzel put the heat on Branford, what do you think???

ラゼールのボーカルとブランフォードのサックスがリフをやり取り、ということで。これもボーカルなのかとサックスやら楽器やら(と思って聴いていた)音にじっくり細かく聴き入ってしまいます。
何度もリピートして、ボーカルなのか楽器なのか判別しても、実際もう意味ないか。

ジャケットのデザインを見ると、楽器を持ち運ぶようなクッションの中に、自分(の顔)を収めているラゼール氏です。「自分自身が楽器」というアイデア、デザインや印刷にも、この頃はお金かかっています。
アルバムのタイトルですが、ビートボクサーであるラゼールにとっては、“Play The Music” でも、まして“Sing A Song” でもなく、やはり “Make The Music” ということなのでしょうね。80年代ヒップホップのスーパー・クラシック、Biz Markie “Make The Music With Your Mouth, Biz” のリメイクもやっています。

なによりもこの曲、良い曲です。派手すぎず、じわじわと染み出すカッコ良さ。曲の終盤には、遠いご先祖であるドゥーワップの歌を匂わしているようなベース・ラインも(はっきりボーカルと分かるように)聴かれます。



2024年1月6日土曜日

Lilith Fair (A Celebration Of Women In Music) Volume 3

Me’Shell NdegéOcello
“Soul Record”

1999年。リリス・フェアという音楽フェスから、出演者のライブを収録したコンピ盤。ミシェル・ンデゲオチェロ Me’Shell NdegéOcello も1曲が収録。
これが、ファースト・アルバム “Plantation Lullabies”(1994年)に収録された “I’m Diggin’ You (Like an Old Soul Record)” のライブ版となります。

ミシェルがこのフェスに参加したのは(Wikipedia によると)98年、99年らしいですが。
CDにはバンド・メンバーのクレジットはなし、ちなみに同じこの曲の97年だという動画を見てみると、ジーン・レイク Oliver Gene Lake のドラム、Allen Dariest Cato のギターと紹介していて、おそらくこの二人はこちらにも。

曲タイトルにある “Dig” はカッコ良いとか気に入ってるとか、掘る探すみたいな意味、“Old Soul Record” のようなとありますが、ライブ版では、御大ジェームス・ブラウン必殺の曲名も連呼したりと、アルバム版に比べてより強力にブラックネスへの共感を表明するアレンジに(どの曲名かはライブによって色々のようですが)。ただ、やはり(今はない)ソウルを探してということなのかも。
ここに収録されたバージョンは(編集もされているのか)短めですが、動画では後半の演奏や煽り部分がもっと長かったりも。

ミシェルのライブ音源ですが、まとまった形でのリリースは今だになし。
90年代のダンサブルな音源も良いのですが、新作アルバムという形でも、ライブ盤を出していただいて良いのでは、と思うのですが。
ミシェルの歌とベースに、ピアノだけといったシンプルな組み合わせとか、ジャズでよくありますでしょ。あるいはバンドによる思いきりファンキーな、JB御大の踊れるカバー集とか。ミシェル本人は興味ないか。